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ネプチューン王国  作者: 橘みかん
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風魔鳥ーヨーキー王子と会話ー

『岩の間』をでた反対側の小さな小屋にはペガサスが二頭いる。

ナオの愛馬、エメとパリスが部落をまわる時に使うティトゥリーだ。

ティトゥリーはまれに産まれる小さなペガサスで飛ぶのは上手くないが険しい山もかけめぐる駿足を持っている。

ただ自由きままな性格なので大人しく小屋に入ることがあまりないと言うのがけってんだ。

「ティートゥリーいるか?」

呼びかけるとトコトコと出てきた。

『お久ぶりだねパリス。』

寝ていたらしく体に寝床にひいてやっている乾燥した藻がついていた。

「ついてるぞ。」

とってやるとフンフンと匂いを嗅ぐ。

『姫のとこによったからピンときたんだ。みまわり行くついでに僕がスターからきいた話をしてあげるよ。』

ナオは聖獣達にも好かれる

気まぐれなティートゥリーでも口笛と呼び声ひとつで来るぐらいだ。

「スターが来ていたのか。つかまってなければいいが。」

ネオスの光をまとうペガサスは目立つ、つかまっていないか心配だ。

『スターは捕まらないさ。つかまったとしてもスターを捕まえたやつはとんでもないめに合うだろうね。ベガ様を怒らせたら大変だよ。』

確かにベガを敵にまわしたら下手すれば龍族の一部もだまっていないだろう。

「ティトゥリー、気をつけろよ。どうやらタイガーの精気をとるぐらいの闇の力を持つものがいるらしいからな。ああ行く前にエメに伝言しとこう。」

小屋に入るとうす緑色の藻の上で気持ちよさそうにエメがくつろいでいた。

パリスにチラと目線をなげかけただけですぐに目をつぶった。

「うちの姫様が逃走しないように気をつけてくれよ、闇の者が背後にいるから何をするかわからない。あいつは魔術が使えないからな、いざとなれば湖の底に連れていってくれ。頼んだぞ。」

首をシャンとあげて目があった。

『わかった。ちゃんと帰ってきてよ。』

ナオと同じことをいう。

「ああ、ホセもいるからだいじょうぶだ。」

小屋からでてティトゥリーに乗る、まずはバードの村、『雲の里』に行ってティアに会うつもりだ。

聖獣達の安否はティアにきくのが一番だ。

闇の魔術師がいなければナオを連れて行く方がティアと話しやすいが、いざという時のためにも岩の間にいる方が安全だ。

ホセは『風の丘』にいるようだ。行きがてらに合流できるだろう。


『風の丘』そこは『リバー』の中で一番高い山、『フジ』のわきにある小高い丘だ。

山頂は硬い氷が張っていてそこからこの星の川の源流に水が流れている。

氷の張っていない山頂から少しくだった頂の黒い岩の上にホセはたっていた。

『ワッ悪いけど僕は麓の森でまってるよ。』

ホセの前にいる尾が紫と赤で輝く金色の鳥をみてティートゥリーが言った。

「そうだな、また正気にあてられたら困るからな。」

風を操りティートゥリーから降りる。

遠目から見ても美しい鳥はネプチューンの王子、ヨーキーの使者だ。

風魔鳥のすざましい精気は聖獣達を酔わしてしまう。

一度、あてられたらティートゥリーは気絶してしばらくおかしくなったことがある。

ヨーキーがホセに直にヴィーナスをおくって来るなんてなにかあったな。

気まぐれな王子がたいした用もなく様子が見たいがためにヴィーナスに意思を乗せてきた可能性もあるが。

「オウ、パリスやっときたか。ラクールが現れたんだってな。」

美しい風魔鳥からヨーキーの声がする。

「何かあったのか?」

「別に俺や母上に何かあったわけじゃねえだけどよ。何とか闇のおおもとを追い返したくてヴィーナスに載ってきたんだ。ラクールのやつ想像以上に危険だ。このヴィーナスの気を少し持っていきやがった。まあ風魔鳥の力は綺麗な心じゃねえやつには牙を向くからな。うまく自分のものにできてもやつが痛い目にあうだろうさ。」

首をあげて宙を睨む。

赤い瞳は怒りの現れだ。ヴィーナスもおこっている。

この星はヴィーナスにとっても大切な癒しの場で、涙をわけ与えるほどティティ一族と深い絆をもつバードの一族を愛している。

風魔鳥は情が深い、愛が深い、愛する者を殺したラクールに激しくおこっている。

パリスも少し距離を置かなければ闇の深くに意思を持っていかれそうだ。

「ヴィーナス、我が子をうちの姫にくれてありがとう。」

ナオの膝の上で眠るフェニックス、腕に抱かれて甘えている姿を気の結晶石をかかげて送ると赤い目が済んだ青に変わった。

「フェニックスて名前か。不死鳥かいい名前だな。」

巨大な翼が結晶石に触れた。

淡い紫の光が翼を優しく照らす。

「すごいな姫は怒りを鎮めてしまうとわ。」

ホセがホーと息をつく。

「ああやっぱり怪我したか。何なんだあれはただの銃弾じゃねえ。」

翼の下が一部黒ずんでいた。

「恐らくヤツの濁った気だな。ただの銃弾ならヴィーナスは怪我なんてしない。ああだめだ俺じゃ治療させてくれないな。」

ホセが傷に触れようとした瞬間、突風で飛ばされホセとパリスは背後の岩に叩きつけられた。

「だいじょうぶだ。ミィスリルまでなら飛べる。 パリス、ラクールは今は強い力を使えねえはずだ。俺はこいつをミィスリルにおくったらおおもとをヒディーと抑えにいく。あいつらを食い止めたら王宮に姫を連れてこいよ。」

ムチャなことをしようとしているが止めても無駄だろう。

「くれぐれも死ぬようなことはしないようにな。お前が死んだら俺はネオスに帰れなくなる。」

ホセが苦笑しながら言った。

「ああ、いざとなればヒディーに犠牲になってもらうさ。あいつは不死身だからな。」

ヒディーが気の毒なとパリスも苦笑した。

光の尾をなびかせ去っていくヴィーナスを見送りホセとパリスは風を呼んだ。

「まったくむちゃくちゃな王子さまだな。ヒディーもむちゃくちゃな龍だけどな。 きいてくれよパリス、この前、娘を怒らせたときにヒディーのやつに世界のはじまで飛ばされてマシェに助けられたんだ。俺の面目まるつぶれだ。」

思わず笑ってしまった。

「俺もきをつけなきゃなあ。俺の姫を怒らせたら『闇の宮』行きになりかねない。」

パリスの冗談にホセも笑った。

「闇の宮か、いっかい訪問しなきゃならんかもな。あのバアさんと旅するのはごめんだが、今回の一件なんで起こったのか根元を掘り出さないとウニバルゾ自体が危うくなりかねない。」

ホセが、ふと真顔になってつぶやく。

「ああ、サターンがなぜくいとめなかったのか俺も不思議だ。」

ウニバルゾに闇の力が入るのを防ぐのがサターンの務めだ。

まさか、サターンじたいヨーキーのいっていたおおもとの人物に取り込まれのか?

恐ろしい想像を振り払うようにパリスは風の力を強めた。



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