六話 小説のイマジナリーライン後編(実践)
12月、なろうで小説を始めました。新人作家のチラシの裏です。
小説は未経験のまま、構造から入ってみた記録です。
※今回の実践編は、伏せ字作品を借りた「日常ワンシーン(全年齢)」です。
ちょっと“腐”っぽい空気は出ますが、目的は恋愛じゃなくて、視点=カメラ位置の違いで読後感がどう変わるかの比較です。
苦手ならここは飛ばして、次回から戻ってきてください(笑)
前回は、小説におけるカメラワーク――
私の造語「小説のイマジナリーライン(読者の頭の中のカメラ位置)」の定義についてお話ししました。
今回は実践編。
私の愛読書「ハ●●ュー!!」の、ちょっと腐った妄想で体感してもらいます。
登場人物は黒●と研●だけ。
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A:外カメ(定点)っぽい書き方
自販機で買ったペットボトルを手に、黒●が戻ってくる。
キャップを開け、渇いた喉に冷たい液体を一気に流し込んだ。
「次、強度上げる! 拾えないのは才能じゃない、覚悟だ!」
「うっす!」
部員たちの返声が響く、そのすぐ横。
研●が無言で手を差し出した。いつも通りの無表情、いつも通りの距離感。
「……なに」
黒●が問うと、研●は淡々と答えた。
「それ、ちょうだい」
「は? 自分で買え」
「今はいらない。……それがいい」
黒●は舌打ちしそうになるのを堪え、理屈では説明のつかないまま、飲みかけのボトルを差し出した。
つい数秒前、自分が口をつけたばかりのものだ。
研●はキャップを外すと、研●はキャップを外すと、そのまま一口飲んだ。
上下に動く研●の喉を、黒●の視線が追ってしまう。
――そこは、さっき黒●が口をつけた場所だ。
「……研●」
「なに」
「そこ。俺、さっき飲んだとこ」
「うん。知ってる」
事もなげに答える研●。
その表情はぴくりとも動かない。
平然とした研●の佇まいとは対照的に、黒●だけがその場で目線のやり場を失っていた。
……というやりとり。
飲みかけのペットボトルを奪って飲む、そんな(※個人の感想ですが)平和な日常です。
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B:黒●の一人称カメラ(私の推し研●にフォーカス)
俺は自販機で買ったペットボトルを手に戻ってきて、キャップを開ける。
喉が乾いてる。だから一口だけ、強く飲む。冷たいのが落ちる。
キャップを締めて、次のメニューを頭で組む。まだ上げられる。
「次、強度上げる! 拾えないのは才能じゃない、覚悟だ!」
「うっす!」
その横。
研●が無言で手を出す。いつも通りの顔。いつも通りの距離。
「……なに」
「それ、ちょうだい」
「は? 自分で買え」
「今はいらない。……それがいい」
言い方が淡々としてて、逆に厄介だ。
俺は舌打ちしそうになって、やめた。
意味が分からないのに、渡してしまう。俺がさっき飲んだばかりの、飲みかけのボトル。
研●はキャップを外して、普通に一口飲む。
喉が動く。
それを、見てしまった。
――そこ、さっき俺が飲んだところだ。
「……研●」
「なに」
「そこ。俺、さっき飲んだとこ」
「うん。知ってる」
知ってる、で終わらせるな。
顔色ひとつ変えないな。
こっちは、目線の戻しどころを失うんだよ。
研●は何事もなくボトルを返してくる。
俺は受け取って、キャップを締めた。
喉は渇いてる。
でも、すぐ飲めない。今じゃない気がする。
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やりとりも、会話の内容も変えていません。
どちらが、より没入できますか?
イマジナリーラインを活用した意図は、こうです。
読者様は、
黒●は「そこにいる」んだけど、
黒●の器を借りた“私”が立ってる感じ、しませんか?(主観)
作者としての没入も、ちょっとだけ混ぜられている気がします(照)
もちろん、異論は認める!!
でも──
「イマジナリーライン(=カメラ位置)」が違うだけで、
読後感って、こんなに変わりませんか?
これが使えると、
キャラが生きるだけじゃなく、
説明を増やさなくても
“作者の意図”が、読者に届く気がしています。
……という相馬ゆうの、腐った発見でした。
次回は、とうとう人物!
キャラを生かすための「チラシの裏」登場です!とうとうキャラに踏み込みます。
みなさん、目線誰の時が多いですか?
また、妄想したりしますか。。
いろいろコメントで聞かせて下さい。
ちなみに、メイン作品は
『ゲームチェンジャー』
です。
作者プロフィールからよろしければ読んでください。一話完結短編好きはep16がおすすめです。
追伸:エッセイなので、いったんの区切りはあっても「終わり」はありません。
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