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高校以来小説を読まなかった理系が、小説を作るために作った分析日記  作者: 相馬ゆう
8, 名作の再現性についての多角的分析(分析60/物語40%)
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51話 時代ごとの物語のアップデート~『君の膵臓をたべたい』

今日ヒューマンドラマに引っ越してきました。


エッセイのようで、新人作家→連載作家の変化を理系の目線で書いています。


今日は『世界の中心で、愛をさけぶ』→『君の膵臓をたべたい』の変化はあるの?です。

初期で話したかもしれませんが、

世の中の物語は、だいたいいくつかの組み合わせでできているそうです。

それを時々、破壊する『文学』とよばれる作品が生まれ、やがてまた収束していく——。


音楽も同じで、いわゆる「カノンコード」は日本人にとても好まれるようです。


ギターでも、

Am、C、Dm、Em、F、G

このあたりのコードを覚えると、それっぽい曲がすぐ作れて楽しかった記憶があります。

Fコードだけが壁だった、指の短い相馬ゆうです。


耳なじみのある音楽に、突然不協和音が入ると、妙に印象に残ることがあります。

Gm7とか、そういうやつです。


今回紹介する『君の膵臓をたべたい』は、

まさに「最後に不協和音が鳴る文学」だと感じました。

ラノベ由来の読みやすさの中で、それがとても素直に伝わってくる。


**********


あらすじは——


母校に赴任した教師が、図書館という場所で、

かつての「死」にまつわる純愛の記憶を、同じ場所でたどっていく。

そして、その「死」の結末とは。


**********


……なんだかデジャヴですね。


「大人、俺が言ってはいけないこと言っちゃうけど♪」

——『世界の中心で、愛をさけぶ』と、同じプロットじゃないか。


でも、これはむしろ肯定的に捉えるべきだと思います。


物語の普遍性は、何千年前から変わっていない。

構成も、ほとんどは使い古された型の組み合わせです。


しかも、これはラノベを原作とした作品。


ならば、二つを重ねてみることで、

時代がどのようにアップデートされたのかが見えてくるのではないか。


そう考えて、少し深めてみます。


**********


まずラスト。


『世界の中心で、愛をさけぶ』は、

「予定されている死」です。


だから物語は、

「あのとき、こうしていれば」という後悔、

答えの出せない余白へと侵入してくる。


人の心の中にある、不可逆な時間の感覚そのものに触れてくる。


一方で『君の膵臓をたべたい』は、

同じく予定された終わりを持ちながら——

そこに「不確実な要素」を入れてくる。


不確実性によって、

日常が偶然に支配されていること、

計画外の出来事が答えを奪っていく感覚。


その結果、

「余白」に、さらに深く踏み込んでくる。


**********


これは、かなり大きな違いだと思います。


つまり、

時代が抱える「不確実さ」そのものがアップデートされている。


過去① → 過去② → 未来、

ある程度は予測できていた流れが、


・不確実性がさらに膨らみ

・他者との距離が曖昧になり


社会構造そのものが変わってきている。


転生ものの成熟、

悪役令嬢もの、

「ざまぁ」に象徴される感情の扱い——

こうした文学トレンドも、その延長線上にあるのかもしれません。


このあたりの厳密な分析は、社会学者に任せます。


ただ、

2000年代、2010年代、そして今。

何が本質的に変わってきたのか。

何が求められているのか。


それぞれが、何となく感じていることはあるはずです。


**********


私は、短編集をまとめる際、

「余白を大切にしたい」というテーマを掲げて、とりあえず書き上げました。


一話の冒頭が、五話のラストにつながる。

そんな構造とアイデアを考えたのです。


でも、人間は、

明らかなラストでさえ、余白を埋めようとする。


そして時代は変わり、

物語は、いつの間にか社会そのものを語り始める。


……自分でも、少し分からなくなってきました。


今、新しく七話目を書くべきかどうか。

正直、かなり迷っています。


葛藤ばかりの相馬ゆうです。


次回は、

「同じ雛型が、時代によってどう踏襲され、どう変形されるのか」

という話に、もう少し踏み込みたい。


文学以外の領域——

たとえばスポーツなんかも、

意外と分かりやすい例かもしれません。テニスとか??


あと、幕間もかきたい!


それでは、また。

皆さんはこれからどんな作風が伸びると思いますか?

新年は『歴史』と私は予想しましたが、時々ブレブレになります。


ヒューマンドラマですね~


ブクマや★評価で応援してもらえると励みになります(気が向いたときで大丈夫です)。

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