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高校以来小説を読まなかった理系が、小説を作るために作った分析日記  作者: 相馬ゆう
8, 名作の再現性についての多角的分析(分析60/物語40%)
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50話 お知らせ(ジャンル変更について)

業務連絡です。


「文学ポンコツの観測者」だった私が、気づけば——

「構造をわかり始めた今」の自分になっていました。


この連載で私は、ずっと言ってきたつもりです。

構造ひとつで、人も、物も、作品も、見え方すら変わってしまう。

同じ出来事でも、枠が違えば意味が変わる。

結末の置き方ひとつで、途中の景色は別物になる。


……で、ここで気づきました。

それを論じてきた自分自身が、もう昔の「新人の観測者」には戻れない。


二週間。たったそれだけで、私はもう別人になってしまった。


「文学処女を卒業した」という言い方が正しいのかは分かりません。

純愛に行くのか、ピッチに行くのかも分からない。


でも、どちらにせよ——

今の私は、もう“評論のふり”だけでは書けない。


これはヒューマンドラマだと思うのです。


**********


今回、ジャンルを引っ越そうと思った理由は二つあります。


一点目は、「比較の条件」の話です。


たぶん多くの方は、作品をある程度書き上げて、少し時間が空いたときに、エッセイを書いている。

作品と距離ができて、落ち着いてから、振り返るように。


でも私は逆でした。


私はいま、連載と同時に、エッセイを何本も投稿している。

しかも作品と連動させたり、読者の反応で考え方を変えたり、文章の癖を矯正したり——


「作品を書くこと」と「エッセイを書くこと」を、同時進行の実験として混ぜてしまっている。


これって、冷静に考えると、同じ「エッセイ枠」で比べられるの、ズルくないですか?


完成後に振り返って書くエッセイと、

連載の熱量を背負ったまま、毎日更新の勢いで投下されるエッセイ。


同じ“エッセイ”という名前でも、やってることが違いすぎる。


実際、お正月からジャンル週間1位を連続で取らせていただいています。

さらに今この時点で、月間はすでに2位。四半期でも4位。


まだ連載2週間なのに、数字だけ見ると——

“このまま行ったら”月間や年間の上の方まで届いてしまいそうに見える。


それが嬉しいのに、同時にすごく怖いんです。

明日になれば分かる。だからこそ、いまの自分は一回ブレーキを踏みたい。


でも、もしそうなったとき。

この順位って、私の文章力だけじゃなくて、

「連載の勢い」「同時進行の物量」「連動企画」という条件が強く効いてしまっているんじゃないか。


つまり、私は“同じ土俵”にいる顔をしながら、

実は別の走り方で走ってしまっている。


それで勝ってしまったら——それは、私が欲しかった答えなんだろうか。


——そう思ってしまった。


二点目は、もっと厄介な本音です。


私は、観測者でいるつもりだったのに、

いつの間にか、自分自身が物語に侵食されていた。


揺れや葛藤を、わざわざ構造にして見せたくなる。

“作者の内面”を、ドラマとして提示したくなる。

それを解放しないと壊れそうになる。


アクセルは、

「もっと書ける」「もっと行ける」「もっと見せたい」という衝動。


ブレーキは、

「これはもうエッセイじゃない」「そのまま突っ込むのは危ない」という自覚。


だから、ブレーキを踏みたかった。

踏むために、枠を変えたかった。


***********


正直、こう思った瞬間もあります。

もういっそ、フィクションのジャンルで書いてしまおうかな、と。


枠を外してしまえば自由に書けるのかもしれない。

“観測”を捨てるのではなく、

観測者が物語に侵食されていくプロセスごと、物語として引き受ける。


そのほうが、今の自分には誠実な気がしました。


なのでこの連載は、ヒューマンドラマへジャンルを引っ越します。


これまでの斜めから見た文学批評や、構造の考察が嫌いになったわけではありません。

むしろ、あれは私の核です。


ただ、今の私は一度そこから離れて、

ちゃんと“終わる”形のドラマとして書いてみたい。


落ち着いたら、またここで——

ひねくれた目線の評論は、別の形でやりたいと思っています。


**********


最後に。


励まされて、毎日5000字近い連載ができました。

これは、たぶん私ひとりでは無理でした。

読んでくださっているのが数字で分かるからこそ、嬉しいのに、怖い。


もう少しだけ、お付き合いいただければ幸いです。


相馬ゆう


**********


ということで、次回は『君の膵臓を食べたい』でお勉強します。

『世界の中心で、愛をさけぶ』のヒットから10年。

「定められた死」は、どうアップデートされたのか。

同じテーマを追った二作を並べて、物語の“終わらせ方”の新しい形が見えてくるかも——という思考実験です。


今、書いてます。

ジャンル変更について、もしご意見があれば、教えてください。

自分がよりエッセイのなかで、自分より振れ幅高くなってきて、物語にしたいという欲が出てきました。


これからも相馬ゆうをよろしくお願いします。

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