48話 結末を明示する作品~『世界の中心で、愛さけぶ』~
今回は結末は誰しもがもつ心の余白を浸食するかもというお話。
あと泣けない自分の一人語りです。
皆さんは泣きたいときってありますか?
私は人前でどうしても泣けない性格です。ましてや、泣くために映画を見に行くなんて、狂気の沙汰。
最後に泣いたの、いつだろう……。
おそらくアレです。
私は教育実習で教職免許を取った翌年、大学院に行ったのですが、東京に出てきて結構つらかった。
どこまでも深く続く地下鉄のエスカレーター。夢を持って東京の大学院に来た自分が、どんどん何か大きなものに取り込まれていく……。
そんなとき、教育実習時代に教えた学生さんから、手紙が突然届いたんですね。(個人情報、筒抜けだな……)
でも、刺さった。
「がんばってるの、相馬の性格から分かるから。がんばってね」みたいな内容で、涙が止まらなかった。
それ以来ですね。
冷たい人間だと思われるかもしれませんが、涙は人前でも一人でも流さない……というか、泣けない相馬ゆうです。
自分語りが長くなってしまいました。
本日は、泣かせることを宿命づけられた名作『世界の中心で、愛をさけぶ』です。
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あらすじは――
場面は未来から始まります。
婚約者の突然の失踪をきっかけに地元へ戻った主人公が、高校時代に燃えたあの恋を思い出す。
余命いくばくもない彼女の、ある「夢」を叶えるために精一杯生きた、あのときの混じり気のない純愛の記憶が――。
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この物語は、物語の初期に、あの頃の恋の結末が語られます。
つまり、どんな普通の日常も「終わり」を想起させるトリガーになっている。
だから、楽しいシーンも悲しいシーンも、結末で上書きされて切ない。
時間って不可逆だって、誰でも知っている。巻き戻せない。そして終わった答えは絶対に変えられない。
これは、いわゆる「転生」と真逆。不可逆の隠喩という構成。
・あの時もっとこうしておけばよかった。
・あの時なんであんなことを言ってしまったんだろう。
・もっと素直になっていたら違った未来だったはず。
・なんで、こんな買い物してしまったんだろう。
・あいつ、ギャンブルとかバカ?
そういった時間の不可逆性って、誰でも大なり小なり経験している。
それをメタに気づかせる。
すべて切なさにつながる。
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そんなこと関係なく、ラストを知っていること自体が、物語の推進力になっている。
結末を描くことで、物語の“中”の余白は少ない。
でも自分に当てはめると、「あの時……」という余白につながるんです。つまり誰でもある『自分の心の余白』にじわじわ侵食していくんです。
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それを安易な「お涙頂戴」という意見も多い。実際、大ヒットにもかかわらず、映画好きの評価って意外と高くない。
でも、その割り切りゆえ、まっすぐさゆえ、心に刺さる。
私はこの映画では泣けなかったけど、ちゃんと私の過去の小さなIFに突き刺さった。
物語に余白は必要ない――こともある。
余白が好きな自分も、その物語の力には抗うことはできない。
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以上、改めて「余白ではない」、結論から語られた物語の考察です。
余談ですが、長澤まさみさんと森山未來さんの当時の演技。あの年齢の、あの時しか描けない演技。
もう一度見たら泣けるのかな……。
と、自分の考えをアップデートさせざるを得ない相馬ゆうでした。
次回は、ちょっと幕間をはさみ、『世界の中心で、愛をさけぶ』と同じ構造の『君の膵臓をたべたい』。ライトノベルから映画へ。10年の時を越え、このジャンルはどう進化していったか……。
これを考察することで、未来のヒット作も考えられるのかもしれません。
幕間を含め、乞うご期待!
結構古い作品ですよね。
「悲しいラスト×お仕事」ならさだまさしさん原作の『アントキノイノチ』という、映画もよかった。榮倉奈々さん、かわいい。岡田将生さんや松坂桃李さんも出てる作品。
タイトル、あのレジェンドプロレスラー意識してますよね。
私の知らない作品いろいろ教えてください。レコメンドだけが友達では悲しすぎです。「助けてください!助けてください!(世界の中心から、愛をさけぶより)」
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