7、感覚
「そぅ、で?」
呆れたように望絵が切り返す。
これもまた婉曲的だがストレートな意思の伝達手段だろう。
そんな思いを含ませ、望絵は歩を直視する。
歩も目線を外さずに応える。
しかし、歩は笑顔のまま、まるで望絵の意図は伝わらないらしい。
歩は、躊躇い気味に問い掛ける。
「え~っと、何しようか?」
望絵の言葉に真面目に答えようとする。
もちろん望絵は、何も求めていない。
「えぇ…、そうね…」
歩の雰囲気に望絵は調子を狂わせられる。
なんとなく歩の鈍感さに呆れたらしい。
そんな望絵の調子もいざしらず、青年は同じ雰囲気で会話を繋げる。
「良かったら何か学校の話しでもを聞かせてよ」
歩は、単純に望絵の話しを望んで提案する。
そんな普遍的な提案だが、望絵は即座に答える。
「なんでよ、嫌だわ。」
望絵は、率直な返答を首を大きく振って却下する。
どこか深刻そうな面持ちだ。
「あっ、嫌だったらいいんだ。ゴメン」
歩は、望絵の思いもよらない反応に戸惑う。
(聞いちゃいけなかったのかな?…)
自分の言動で、望絵の気分を損ねさすものが有ったかを振り返る。
(気をつけなきゃな)
感想とか評価とかもらえたらすごいうれしいですw