Quark Roulette In A Small World
この物語は、レプトン、ボゾン、ハドロンからなる世界で、ハドロンのなかのバリオンとメゾンの織りなすメルヘンです。
バリオンとメゾンはハドロンの舞台で踊る
三つのクォーク、結びつき手を取る
六つのフレーバーが舞い上がる香り
アップとダウン、軽やかに回る
チャームとストレンジ、奇妙な魅力
トップとボトム、重く深い調べ
ルーレット回し、運命を問う
アップ、アップ、ダウン、
君にはプロトンの快活さを
アップ、ダウン、ダウン、
君にはニュートロンの落ち着きを
バリオンとメゾンはハドロンの舞台で踊る
ペアのクォーク、結びつき手を取る
六つのカラーが真白にまざる
赤、緑、青、バリオンの三原色
反赤、反緑、反青、メゾンの反対色
クォークがつくる真白の混色
ルーレット回し、運命を問う
アップ、反ダウン
君にはπ+パイオンの勇しさを
アップ、反ストレンジ
君にはK+カノンの繊細さを
フォトンやニュートリーノと出会うたび
君はルーレットを回して変身する
六つの香り 六つの色
小さな世界の不思議なルーレット
素粒子のうち、バリオン(陽子や中性子)とメゾン(中間子)はハドロンと呼ばれます。バリオンは3つのクォーク、メゾンは2つのクォーク(クォークと反クォーク)からなります。クォークのフレーバーとカラーの組み合わせで、陽子や中間子の種類が決まります。ここで、クォークの持つフレーバーやカラーは、本当の香りと色ではなく、考案者(ゲル=マン、ツヴァイク)の思考過程で名付けられたものがそのまま学術用語として採用されています。フレーバーをあらわすチャームやストレンジも同様で、アップ、ダウンすら何らかのアップダウンですらありません。あはは。なんのこっちゃです。
後書きで、素粒子の詳細を書こうと思いましたが、このままで作者は楽しいので、そのままにします。
お読みいただきありがとうございました。
*前書きの「メルヘン」は、メルへ粒子ではない。