怪しい町の冒険(part1) ~電話~
※第1章が本格的に始まります!
サルチカの町を出発して、数日後-
「チュンチュンチュンチュン-」
「ファアアア~ア…」
眩しい朝陽の中で、アクビしながら目覚める私。
今日も相変わらずの天気は、晴天ですね~!!
晴天の空の下には、のどかな田舎の風景が広がります。
「ヒュウウウウウウウウウ-」
そして-
そよ風が、自然豊かな草木の匂いを運んでくる。
「う、う~ん…」
「気持ち良い風ね!!」
もう一度、身体を思いっ切り伸ばす私。
もう見慣れた風景と嗅ぎ慣れた匂いです。
今日も道端の草原で野宿をしていました。今は…朝の7時ですね。
そうそう、いつもは遅く目覚めているんですけど、ここ最近は早く起きていました。何故かと、言いますと-
(うう~、眩しい陽射しね!!)
早速、空に手をかざす私。
差し込む陽射しは、まだ朝なのにギラギラと力強く感じます。
あんまり、遅くまで寝ていると…
直射日光が暑くて、寝てられないのですよ。
まぁ、サウスヴェル(とその周辺)は1年を通して温暖な気候ですからね。今日のサウスヴェルの最高気温は30℃みたいです。軽い夏って感じですね。納得の暑さです。
距離的に言えば、今日の午後には到着出来そうかな。
そして…
サウスヴェルに着いたら、ちゃんとした宿に泊まって、お風呂とか入って、ゆっくりとしたいですね。その後は市場でも巡って、美味しい海の幸を頂こうかしら。そうそう、お土産は何にしようかしら。あっ、そうだ…あとギルドにも行ってみたいね!!
(ウキウキウキウキ-!!)
「…」(私)
えっ…『お金はあるのか!?』ですか。
そうですよね!!
ですが、それは心配ありません。そう、私は先日のサルチカの町での巨大ゴブリン討伐の報酬として、卵オジサンから10万Gを貰っていました。
つまり…卵オジサンは私達に報酬として350万の魔剣と10万Gを渡したという事になるのです。いや~、本当に卵オジサンは太っ腹過ぎる。
金の卵オジサンですね!!
とまぁ、そんな感じなので無一文ではないのです。
なので、しばらくは野宿生活から開放されそうね!!
私は-
眠い頭を活性化させる様に、今日の予定を頭の中で思い描きます。でも、やっぱり…まだ眠いですね。
「ファアアア~ア…」
「おはよう、ゼニィー」
(シ~ン…)
「!!」(私)
ゼニィーからの返事は無い。
またゼニィーの姿が見当たらない。数日前の事がありますからね。心配になる私。また変な事をしていなければ良いのですが…
「おはよう~!!」
「珍しいね、今日も早く起きたんだ~!!」
「あっ、ゼニィ-」
ゼニィーが、パタパタと何処かから飛んで来ました。
「アンタ、どこに行っていたのよ…」
「また変な事をしてないわよね!?」
「ちょっと、そこで電話してただけだよ~!!」
「「えっ、電話-!?」」
ちょっと、驚く私。
「まぁ、普通の電話じゃないけどね~!!」
「銭の魔法のマネーテルと言う、テレパシーを使った交信だよ。精霊の国と電話していました~!!」
「へぇ、そうなんだ…」
「因みに、どんな事を話していたの!?」
「家の玄関の鍵をちゃんと掛けていたか、心配になってね…知り合いの精霊に電話して、確認して欲しいとお願いしときました~!!」
「「えええっ、家の鍵の掛け忘れの確認!?」」
「「てか、今更ですか-!!」」
「…」(私)
「アンタが、ここに来てから…」
「もう1ヶ月位は、経っていると思うけど」
精霊の時間感覚は相変わらず理解出来ない。
もう泥棒に入られ放題じゃん…
いやいや、それよりも-!!
「というか、マネーテルって…」
「銭の魔法だから、有料なんでしょ!?」
「値段とか、大丈夫なの!?」
私は不安になって、聞きます。
「マネーテルは、全然高くないから大丈夫だよ~!!」
「1回10Gで電話が出来ま~す!!」
「精霊の国でも、たまに仲間と電話をしていたからね~!!」
「ふ~ん、そうなんだ…」
まるで、公衆電話の様な金額設定ね。
まぁ、その位の値段ならば安心だけど…
私は念の為、財布の中を見てみる事にします。
「パカっ-!!」
財布の開けると-
「「「!!」」」(私)
(((あれっ、お金が入ってないよ!!)))
それも1円も!!
眠気が一気に吹き飛ぶ私。
まさか、まさか…いや、そんなはずは-!!
これって、夢じゃないよね。そして、財布の中には…お金の代わりに紙が1枚入っていた。
これはマネーテルの領収書でしょうか…?
私は、恐る恐る領収書を見てみますと。
『領収書』
マネーテル使用料…10万G
合計 10万G
※料金の詳細は、下記の早見表で確認して下さい。
【マネーテル料金早見表】
相手との距離が100km以内 10分10G
相手との距離が1000km以内 10分100G
相手との距離が1万km以内 10分1000G
相手との距離が10万km以内 10分1万G
相手との距離が10万km以上 10分10万G ←今回はここだよ!!
「…」(私達)
「あの~、ゼニィーさん…」
「これは、一体どうゆう事ですか!?」
私はゼニィーに聞く。
ゼニィーは、しばらく沈黙が続いた後に。
「まさか…この場所が精霊の国から、こんなに離れてるんなんてね~。隣町だと思ってたよ…と言うか、そもそも料金表がある事自体、知りませんでした~!!」
「ハァ…」
ゼニィーの言い分に…
言い返す気力が無い私は、ため息だけを吐く。
この世界に来てから、もう何回ため息を吐いたでしょうか。
ああ~、またお金が無くなった。
サウスヴェルには結局、無一文で行く事になるわね…
○
「そうそう、皆にイブの事も話したよ~!!」
「皆、イブに会いたいって言ってましたよ~!!」
「へぇ、そうなんだ」
「今度、煎餅も送ってくれるってさ~!!」
「へぇ、それは楽しみね」
「でも…10万km以上離れた、この場所までどうやって送って貰うの!?」
「そこは問題ないよ~!!」
「準備が出来次第、発送するとの事で~す!!」
「ふ~ん…」
いつも通り…
のどかな田舎道を歩く私に、ゼニィーが話しかける。先程の電話の事もあり、話題は精霊の国になっていました。私も暇潰し程度に、ゼニィーの話しを聞いています。
ゼニィー曰く…
ゼニィーは、いつも恵みの精霊のコメタロウと、紙袋の精霊のフクローズと言う高位の精霊達と煎餅を作ったり、販売をしているみたいです。
フフフ、何てマイナーな精霊でしょうか。
その変な3匹?が集まり、化学反応を起こした結果…お煎餅の販売をする事になったのでしょうか。ちょっと、納得してしまうメンバーですね(笑)
「煎餅を作っているのはコメタロウで、包装しているのはフクローズだよ。そして、僕は試食と販売担当だよ~!!」
「ハハハハ-!!」
「皆、それぞれ役割があるのね」
「それも、名前に合った適役な役割なのね…」
「クィ-オ」 「クィ-オ」
「クィ-オ」
「クィ-オ」 「クィ-オ」
「クィ-オ」 「クィ-オ」
「クィ-オ」
「クィ-オ」 「クィ-オ」
「ワイワイワイワイ…」
「ガヤガヤガヤガヤ…」
そして-
のどかな田舎道は、その内に舗装された大きな道路に合流します。
そこから、一気に人通りが多くなる。
人もですが、交通量も多いですね。
まぁ、交通しているのは、車じゃなくて馬車ですけど。荷馬車や普通の馬車に加えて、ちょくちょくと綺麗な装飾が施された馬車も通り過ぎて行きます。毛並みがツヤツヤと煌めく優雅で逞しい黒馬に牽引された、その馬車の中をチラっと流し見ますと…豪華そうな服を着ている人がいました。
多分、貴族とかが乗っているのかな。
地球と違い、身分があるので結構面倒臭そうかも。
逆らったら、すぐに処刑されそうで怖いわね…
「!!」(私)
あっ、冒険者のグループも歩いています。
地球だったら、映画の撮影の人かと思ってしまうわね。私もあの中の一員に入りたいよ~!!
そして、騎士の姿も見えます。
ああ~、格好良い!!
隊服が昔と変わってますね。
まぁ…140年も経っていれば、そりゃそうか。
ですが、相変わらず隊服には、ヴェル王国の紋章が堂々と刺繍されています。今の方が、格好良いデザインね!!
「ふぅ、あ~あ…」
やっぱり…
ここは、地球じゃないんだな。
分かっているけど、改めて感じる私。
「クィ-オ」 「クィ-オ」
「クィ-オ」
「クィ-オ」 「クィ-オ」
「クィ-オ」 「クィ-オ」
「クィ-オ」
「クィ-オ」 「クィ-オ」
私は-
皆の通行の邪魔にならない様に、自然と道の端っこを歩いていました。顔を横にすると、少し先にはキラキラと輝く海と砂浜が見えます。
カモメも、沢山飛んでいる。
砂浜には、ヤシの木も生えてます。
チラホラとサーフィンをしている人も見かけますね。
涼しい風が運ぶ、潮の香りを堪能しながら
私達は人の流れに乗って、海沿いの街道を行く。
そして-
私達がサウスヴェルに到着したのは、15時過ぎでした。
町の入り口にある大きく立派な看板には…
この町のイメージキャラクターでしょうか…?
カモメと海の絵と共に、ヤシの実に手足が生えたキャラクターが描かれていた。
その彼は言う。
-常夏のリゾート地サウスヴェルへようこそ-
-優雅な一時を貴方へ-




