表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/137

58話 当時の記憶(前編) 





眩しいサラマンダーの火炎を見た後に、私は気を失っていました。





        「ガヤガヤガヤガヤ…」



        「バタバタバタバタ…」




沢山の人が…慌ただしく動いている様だ…





「「おい、そっちの手当てを早く頼む!!」」 


「「沢山の回復薬が必要だ!!」」 「「分かったわ!!」」  


「「こっちも重症だ。早く診てくれ!!」」  


「「ちょっと、待って下さい!!」」


「「早く回復薬を持って来い!!」」 「「今、持ってきます!!」」





        「「!!」」(救護所の人達)





「「あっ、ルイアさんが目を覚ましたわ!!」」


「「本当だ、良かった…」」






目が覚めたら、私はパーシャの町の救護所のベットに寝ていた。

動こうとすると、全身に痛みが走り…身動きが出来なかった。






「…」(私)




(私は、何故ここに…)




(あ、そうだった…)





私は、徐々に記憶を思い出していた。


私は、手で頭を抱える。




救護所の人から話を聞くと、私は巨大サラマンダーが吐いた爆炎の余波で吹き飛ばされて、気を失っていたみたいだ。そこをサニーさんに助け出されて、今に至るらしい。



そして…


私達を襲った暴走した巨大サラマンダーだが、その後…編成を組み直したパーシャ騎士団が、何とか鎮圧したとか。





「そうなの…」


私は、ボンヤリと呟く。




しかし、そんな話しは…

今の私にとって、どうでも良かったのかもしれない。 







「イブさんは―」



救護所の誰かが、そう言った。





私を助けてくれたイブは、やっぱり死んでいたそうだ。


それは、誰かに聞かなくても…もう、分かっていた。






―目が覚めたら、只の悪い夢であって欲しかった。





しかし、これは現実であった。


夢だと思ったが、夢でなかった。








その後―



イブに、遠くまで突き飛ばされた私は全身に打撲を負っていたので、しばらくの間は、救護所のベットで静養して過ごしていた。私は、何もする気力も無く、失意にくれていたが…





「ルイアさん…」


「イブさんの事は残念ですけど、私がイブさんの代わりになりますよ。だから、私達で亡きイブさんの思いを受け継いで、イブさんとの約束を果たしていきましょうよ!!」


お見舞いに来たキャロットさんは、私に言う。




「代わりって…」


相変わらず、キャロットさんは予測が出来ない事を言う。










私は救護所のベットに座り、窓の外を眺めながら―



「でも、ありがとう…」



そう微笑んで返した。


キャロットさんの言葉で、私は少し元気になった気がした。





「…」(私)




私的には…てっきり、キャロットさんは『元気が出る魔法薬』とか、そんな類いの怪しい魔法薬を持って来て、私を励ますのかと思いましたけど、どうやら違ったみたいですね。



「あっ、そうでした…」

「元気が出る魔法薬を持って来たので、飲んで下さいね!!」


キャロットさんは、私に怪しい魔法薬を手渡す。





             「…」(私)





「フフフ…」

「やっぱり、キャロットさんですね」


「あれっ、飲まないんですか…?」


「もう、元気が出たから大丈夫よ!!」

「お見舞い品なら、普通に果物とかで大丈夫ですよ…」


私はまた微笑みながら、キャロットさんに言う。





「ハァ…」






           (そうね…)





        (私は、まだ終わらない…)








       (((まだ、終わらないわ―!!)))







私は―


亡きイブとの約束を果たす為、騎士として再び立ち上がったのだ!!





「「「「「ドカアアアアアアアアアアアアアアアア―ン!!」」」」」


「「「ギャアアアアアアアアアアア―!!」」」


「「「ウギャアアアアアアアアアア―!!」」」


「「「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ―!!」」」






しかしー


それから、すぐにバルキードとの戦争が勃発した。


パーシャの町は、バルキードとの国境沿いの町であり、いち早くその戦火にのまれていった。私達…騎士は町を守る為に、バルキードの軍勢と闘い、私の他の第2分団のメンバーも、最前線で闘っていた。


しかし…バルキードの頑丈なゴーレム兵は、私達の魔法や武器が殆ど通じず、パーシャの騎士達は次々と命を落としていった。その時の私は、まだイブから突き飛ばされた傷が完全に癒えてなかったので、町の人達の避難誘導を行っていた所であった。




  「「「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ―!!」」」



       「「「メラメラメラメラメラ…」」」 

 

       「「「バチバチバチバチバチ…」」」





燃え盛り、火の粉が雨の様に降り注ぐ町を―



私は、エスターナさんと一緒に、孤児院の子供達や町の人達を安全な場所に誘導していた。しかし…




「「「「「グウオオオオオオオオオオオオオオオ―!!」」」」」



     「「サラマンダーだアアアア!!」」



「「逃げろオオオオ!!」」 「「キァアアアア~!!」」




「「!!」」(私)


行先に、サラマンダーが数体現れる。

それは大きいワニの如く、体長は5~6メートルで、体表には禍々しい火炎を纏っている。サラマンダーはC2(カテゴリー2)である。それは全快の私でも、なんとか1匹に勝てるかどうかの強さであった。



それが、数体も―


そして、今の私は手負いである。


((一体、どうすれば―!?))




「「ここは、私に任せて先に行きなさい!!」」


エスターナさんは、剣を握りながら言う。



「「でも、エスターナさん―」」


「「ルイア!!」」

「「貴方は、皆を早く安全な場所に避難させなさい!!」」


エスターナさんは、私の言葉を強く遮る。





「大丈夫よ…私は昔、騎士だったのよ」

「少なくも今のルイアよりは、強いわよ!!」


そして、続けて言う。


そんなのは、初耳だったけど…



「「「さぁ、早く行きない!!」」」


「「クっ…」」(私)


(ごめん、エスターナさん)



私達は、サラマンダーに立ち向かうエスターナさんを背に、再び町を駆けていった。


そして―



私達は、この町の緩やかな丘を上り


町の裏側から町の外に出ようとしていた。




途中までは、順調だった。


このまま町の外に出られると、皆がそう思っていた。




―しかし、丘の頂上付近の教会を通過した所で足が止まった。




「「クソっ!!」」

「「何だ、これは…!?」」







  「「「「「ゴオオオオオオオオオオオオオオオ―!!」」」」」




       (ゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロ…)






丘を見下ろせば…

町の裏側の方からも、ゴーレム兵達が迫っていたのだ。

もう、すぐ私達の目の前まで迫っている。


最初から、この町はバルキードの軍勢に包囲されていたのだ!!


町を抜けられないと悟った私達は、咄嗟に教会の中に皆と閉じ込まる。

私達は、教会の大広間に集まり、内側からバリケードを作って、入口を出来る限り固めた。




それは、籠城している間にー


誰かが助けに来てくれる僅かな望みにかけて。




しかし、それはすぐに恐怖と絶望に変わる。


ゴーレム兵達は、外側から凄まじい火炎で、この教会自体を焼いたのだ!!






「「「「「バリイイイイイイイイイ―ン!!」」」」」


「「「「「ゴオオオオオオオオオオオオオオオ―!!」」」」」



業火に包まれる教会―


窓ガラスは激しい熱で飛び散り、シャンデリアは真っ赤に染まり渦巻く火炎の中を激しく揺れている。


教会の内部は、高熱に熱せられた窯の中と同じ状態になり、叫び声すらも、出す事が出来ず、全員の身体がみるみる内に焼き焦げていく。 


涙さえ、すぐに蒸発して流す事も出来ない。




(((み、みんなアアアア―!!)))



私は、声にならない悲痛な声で必死に叫んだ。



叫びながら、次第に私の意識も遠のていった。












             「…」












             「…」














             「…」












気付くとー


私は、黒焦げになった教会の中で倒れていました。

 


どれほどの時間が経ったのだろうか。



教会の中には、まだ炎の余熱が酷く渦巻いていた。







       私だけが…何故か、生きていた。 






これは…私は火の魔法の使い手だから、火に対する耐性がそこそこあったからだろうか。



だが、しかし…


私は、一歩も動く事が出来ずに瀕死であった。



どっちみち全身を焼き焦がれた私は、間も無く死ぬだろう。





結局、この国の平和どころが、目の前の誰一人も助ける事が出来なかった。結局、あの人との眩い約束は、何も果たす事が出来なかった。






私の目には、焼き焦げた血が溶けた様な赤黒い涙が滲み、拳を強く握る。






私に、もっと、もっと、もっと力があれば。


猛炎の如く、全てを焼き払う力があれば―








        【ああ、なんと可哀想な…】






「「「!!」」」(私)




その時、私の目の前に巨大な目が出現した。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ