125話 悪霊の王
「「ガキキキキ-ン!!」」 「「ガキキキキ-ン!!」」
「「ウギャアアアアアアア-!!」」
「「キャアアアアアアアア-!!」」
「「グロオオオオオオオオオ-!!」」
時間は、お昼前だったでしょうか。
それは、突然と訪れた。グリフィンの群れが押し寄せて、村を襲ったのだ。
村人達は、武器を取って闘った。
辺りは-
瞬く間に、修羅場となり、グリフィンと村人達の怒号と血が飛び交う。
私は、丁度その時…家から少し離れた野原で、お花を摘んでいた。
お花を編んで、カラフルなお花の王冠にしようと思って…
私は恐怖で震えて、動く事が出来なかった。
それで、たまたま通りかかった副村長のオバサンに、無理やり手を引っ張られて、連れてかれた。
「「ハァハァハァハァハァ…」」
「「急いで、ミズナ!!」」
戦闘の混乱の中を-
ひたすら、走り抜けていく私。
そして、何とか集会所に着いた。
私達、子供やお年寄りは、村の中心にある集会所に避難したのだった。
お母さんと、お父さんはどこに-
両親と散り散りになり、私はすぐにでも、探しに行きたかったが。
そんな無謀な行動は勿論、皆に止められた。
「「「「「ドドドドドドドドドドドドドドドドドド-!!」」」」」
「「「「「ガシャアアアアアアアアアアアアア-ン!!」」」」」
そして、その直後-
グリフィンが放った竜巻が直撃したみたいで、集会所は大破する。
避難していた人達は、空高く宙を舞っていた。
そんな私も吹き荒れる風で、舞い上がっていた。
そこで、私の意識が途絶えた。
「…」
「…」
「…」
(ん、ここは…?)
気付けば-
私は、星屑の天蓋が横たわっていた。
どうやら…ここまで、飛ばされて来たのかな。
お気に入りの白いワンピースは、多量の血と泥にまみれていた。
大怪我をしているはずなのに、何故か痛みも何も感じない。
((グスン、グスン、ううう…))
いや、それよりも-
寂しい気持ちで、いっぱいだ!!
お母さんと、お父さんさんに会いたい。
死んでしまったら、もう会えなくなってしまう。
「誰か…この傷を…治して…」
「助けて…」
私は薄れる意識の中で、必死にもがいていると。
「ザっザっザっザっザっザっ-」
誰かが、草原の上を歩いているのでしょうか?
足跡が聞こえる。
それは、私の目の前で立ち止まった。
その人は…私と同じサンダルを履いていた。
そして、私みたいな可愛らしい足をしていた。
「て、天使なのさん…?」
力無く、横たわっている私は…
その顔は見えなかったが、白いワンピースを着ている事も分かった。
「ヒュウウウウウウウウウウウウウ-」
「ヒラヒラヒラヒラヒラヒラ-」
星屑の天蓋に吹く、そよ風は草原を生い茂る草花をユラユラと揺らす。
それと同じ様に、純白の綺麗な布もヒラヒラと靡いていた。
その人は-
晴天の空から、降り注ぐ日差しを浴びながら
私を見下ろしている様であった。
天使が、迎えに来たのかな…?
「フフフフ、正直に言うけど、天使じゃないわよ」
「私は、ミイラの悪魔…ん~、または大怨霊リッチとも呼ばれているわね。まぁ、まだその前の段階、卵の状態なんだけどね」
私みたいな人は言う。
「悪魔…怨霊…?」
「まぁ…今は名前なんか、どうでも良いわ」
「それより、貴方…とても可哀想ね。正直に言うけど、貴方のお母さんとお父さんは、もう先に死んでしまったわ。グリフィン達に襲われてね。だから、例え…貴方の傷が治ったとしても、どっちみち会う事は出来ないわよ。残念だけどね」
「そ、そんな…」
私は、泣きじゃくる顔で言う。
「…」(私みたいな人)
「ほら、これは貴方の物でしょう。竜巻でバラバラに分解しちゃったけど、私が掻き集めて、直しといたわよ」
そう言って…
その人は、私の目の前に、お花の王冠をポトリと落とす。
「今は、お花の王冠を直す事だけで、精一杯だけどね」
「フフフフ、だけど安心しなさい。私が復活さえすれば、貴方のお母さんとお父さん…いや、村人達、皆を生き返らせる事が出来るわよ!!」
「えっ、そうなの…?」
「本当よ!!」
「私はね、あらゆる願いを叶える事が出来る、世界で最高の魔法使い…の卵なのよ。私が復活すれば、貴方の願いは簡単に叶うわよ!!」
「その王冠は、その日の為に大事に持っていなさい」
「あっ、そうだ-!!」
「私が復活するまでの間は…貴方が好きな、お人形遊びでもして、どうか寂しさを紛らわせていてね」
「えっ…」
「何で、私がお人形遊びが好きな事を知っているの…?」
「それはね」
「私は、貴方自身だからよ…」
(私自身…?)
「ほら、もう泣かないで!!」
「そうだ、泣かない良い方法があるから、教えてあげるわ!!」
「私の顔を見てみなさい」
彼女は、天使の囁きみたいな声で言う。
私は泣きじゃくる顔を、必死に見上げると-
【【【目が無ければ、涙を流さなくて済むわよ-♪】】】
「「「!!」」」(私)
それは、目が嵌まってない私であった!!
禍々しい姿の私が、私に言う。
【【【さぁ、唱えなさい!!】】】
【【【私を復活させる為の、有難き神の御言葉を-】】】
(((神の御言葉-!?)))
何、それっ-!?
いや、違う。ペラペラと不気味な声で話しているのは-
私の方だった!!
私は、横たわった自分の亡骸に話しかけていたのだ。
私の亡骸は…両目が潰れて真っ赤に染まっていた。
その亡骸の手には、草花で編んだ王冠が握られている。
そして-
亡骸の口は、ブツブツと怪しい呪文を呟いていた。
◯
途切れ途切れになっていた私の生前の記憶は-
今、鮮明に思い出していた。
「!!」(私)
あっ、そういえば…草花の王冠は、何の為に作ったんだっけ!?
自分が被る為…
いや、自分ではない。誰かに渡そうとしたんだ。
誰に、渡そうとしたんだっけ?
私が、大切に思う存在の誰かだった様な気が-
お母さん-? お父さん-?
いや、違ううう!!
思い出せそうで、思い出せない-!!
(((((お母さんとお父さんと同じか、それ以上に-!!)))))
(((((私は、一体誰に渡そうとしたんだアアアア-!!)))))
「ウォン!!」
少し、離れた場所で小さな子供のグリフィンが吠えた。
「あっ、グリンちゃん!?」




