表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/137

56話 やっぱり… 






―私の目の前に立っていたのは、ルイアでした。




140年ぶりでしょうか。




私は…


久しぶりを通り越して、何とも言えない気持ちになっていました。






まさか、また、また、また会えるなんて…



夢にも思いませんでしたから。









           ― 今だ!! ―








「「「!!」」」(私)


「「「パアアアアアアアアアアアアアアア―!!」」」



突然、頭の中で声が聞こえる。

その直後、私の首に掛かっていたネックレスが光を放つ!!

このネックレスは、指輪をネックレスにしたものです。最初から私の首に掛かっていたもので、特に気にしていなかったのですが…思い出すと、これは身代わりの指輪という魔法具でしたね!!




(どうやら、その身代わりの指輪が発動したみたいですが…)


でも何故、このタイミングで発動を―!?



只の誤作動でしょうか。




そして、更に私は…

辺りの時間が、完全に止まっている様な不思議な感覚になる!!



(私以外、動いていない…!!)


(この感覚は…)








「ブウウウウウウウウウ~ン!!」




(んっ…?)







私の胸元で、蝿が飛んでいる様な羽音が聞こえる。

私は、胸元を見てみますと…



「「「!!」」」(私)


身代わりの指輪に小さな翼が生えて、ハチドリみたいに飛んでいる!!

えっ、どうゆう事―!?

私は、訳が分からずにいると…指輪はネックレスを引き千切り、私の近くを素早く飛び回ります。まるで、指輪が本当に生きているみたいです。



しばらく飛び回った後、動きが停止したルイアの方に飛んでいく。


そして…


ルイアの近くまで行ったら、指輪は消えてしまいました。








「…」(私)




指輪が、消えると普通の感覚に戻っていた。


辺りにも、特に変化とかは起きていない様ですが…







         (今のは、一体…!?)








いや、そんな事よりも!!


(ウルウルウルウル…)


私はルイアを見て、自然と涙ぐむ。

だか、しかし―





     「君は、私の名前を知っているのか!?」



ルイアは、首を傾げて言う。





「「「!!」」」(私)


ル、ルイアは、私の事を忘れているのか―

私が抱いていた不安は、的中してしまいました。




「「ルイアっ、私よ!!」」

「「イブ、イブよ―!!」」


私は、繰り返しルイアに訴えるが―


「君の名前は、イブと言うのか…」

「子供が、こんな所にいたら危険だぞ!!」



(((カチンっ―!!)))



私の中の時間は、またしばらく止まる。


いや…今は、記憶を失っているから仕方がないぞ!!(怒)





「!!」(私)






(ゾロゾロゾロゾロ…)


私達の周りには、またゾロゾロとゴーレム兵やサラマンダーが集まり出していました。しかし…




サルジャールの姿は、消えています。




「アイツは魔術には長けているが、それ以外は軟弱な奴だからな…」

「私に恐れをなして、逃げたんだろう!!」


ルイアは、言う。

更に聞きますと、いつも闘うルイアを陰ながら妨害してくる面倒臭い奴との事です。





「少し、待っていてくれ…!!」




ルイアはそう言うと、迫り来るゴーレム兵とサラマンダーの群れに、剣を握り締めて向かっていく。





まさか、1人で相手にするのか―





そのまさかであった。








「ル、ルイア、待っ…」


「「「!!」」」(私)






ルイアの剣は、淀んだマグマの如く―


赤黒い不気味な光を放つ。



その不気味な光は…


引き留めようとした、私を躊躇させた。










「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオ―!!」」」」」



「「「ズバン―!!」」」   「「「ズバン―!!」」」


「「「ズバン―!!」」」   「「「ズバン―!!」」」



「「「ズバアアアアアアアアアアアア~ン!!」」」




「「「!!」」」(私)


ルイアが、剣を振るうとゴーレム兵や巨大サラマンダーは、軽々と切り裂かれていきます!!



文献によりますと…

ゴーレム兵は攻撃力と頑丈さを重視した分、そのデメリットとして動きが鈍くなったそうですが。因みに…サラマンダーのスペックもそんな感じとか。しかし、その自慢の頑丈さも全く意味が無い様で…動きが鈍いデメリットだけが残り、ゴーレム兵やサラマンダーは反撃の隙も無く、スパスパと切られていく。





「凄い、ルイア…」






(メチャクチャ…)






(メチャクチャ…)






(((メチャクチャ、強いじゃん!!)))





私は、呆然として見ていた。










               ○













「「ハァハァハァハァ…」」


「「こっちだ、こっちに来い!!」」



「「は、はい…」」

「「わかりましたアアアア!!」」



その後ー


私とルイアは、ひたすらに町を駆けていた。




「「「ピカアアアアアアアアアアア―ン!!」」」


「「「「「「「ドゴオオオオオオオオオオオオーン!!」」」」」」」


私のすぐ横をゴーレム兵のビームが通過する!!




「「「オラアアアアアアアアアアアアアアア―!!」」」



「「「ズバン―!!」」」   「「「ズバン―!!」」」


「「「ズバン―!!」」」   「「「ズバン―!!」」」


     「「「ズバン―!!」」」





駆けている間にもー


ルイアは、幾度となく襲い来る、ゴーレム兵やサラマンダーを迎撃していきます。ルイア曰く『敵を全て倒すまで、私から離れるな!!』との事ですが。




一体、いつになったら敵を倒し尽くすのでしょうか…?



何か、無限に沸いてくる様な気もしますけど…



ルイアは、この場所でずっと闘っているのでしょうか。






「この人が、ルイアなんだね~!!」

「呪具の事とか聞かないとね!!」



「あっ、ゼニィー…」



(そ、そうです!!)


ルイアに、呪具の事を聞かないといけません!!

そして、何故…この場所で闘い続けている理由についても。まぁ、ルイアの記憶が戻らないままですけど…とりあえず、本題に入りましょうか。



私は、早速ルイアに聞きますと―




「「私は大切な人との約束で、この町の中心にある魔法陣を敵から守っているのだ。それは、この王国を…いや、この世界を平和にしてくれるという魔法陣なのだ!!」」



「「だから…」」

「「魔法陣を壊そうとする奴らを全て倒しているのだ!!」」




「そ、そうなの…」




「「「そうだよオオオオ!!」」」

「「「オラアアアアアアアアアアアアアア―!!」」」



「「「「「ヴアアアアアアアアアアアアアア―ン!!」」」」」


ルイアは、巨大サラマンダーの攻撃を跳ね返しながら答える。








「…」(思考)






大切な人って、多分私の事ですよね…


この王国を平和にするとか、そんな約束もしていましたから。






「その魔法陣って…」

「多分、カコシを発生させる魔法陣だよね~!!」

「イブって、そんな約束をしてたの~!?」



「じゃあ、黒幕はイブなんじゃ…」






           「…」(私)





「「んな訳あるかっ!!」」


私は、気まずそうに言うゼニィーに啖呵をきる。



これは―


私の約束が、得体の知れない誰かとの約束にすり替わっている!?






ルイアは、悪魔とでも約束をしたのでしょうか。





「「ルイアっ!!」」

「「貴方が約束した相手は、誰なの!?」」

「「その平和にしてくれる魔法陣は、具体的にどんな効果なの!?」」


私は、ルイアに詰め寄る。








          「それは、勿論…」






            「勿論…」






            「えっと…」












          「何だっけ…???」








「「「何でだ、何で…思い出せないのだアアアア!!」」」

「「「私は、一体何でこんな事を―」」」


ルイアは、急に頭を抱えて自問自答をしている。

今まで何も考えずに、ずっと闘ってきたのでしょうか。

私は咄嗟に提案を交えて、ルイアに教える。




「「ルイアっ!!」」

「「貴方が約束したのは、悪魔で…貴方が守っているその魔法陣は、パーシャの町の呪いの元凶となっている恐ろしい魔法陣よ!!」」


「「今すぐに、私とその魔法陣を壊し―」」










           【壊すだと…】








「「「!!」」」(私)


ルイアが禍々しい声で言った、その瞬間ー



「「「ヴアアアアアアアアアアアアアアアアーン!!」」」


「「ギャアアアアっ!!」」


ルイアから熱風が発せられる。

私は熱風に吹かれて、尻餅をついていた。


そして…

ルイアは急に鬼の様な顔になり、私を見下ろしながら言う。






      【あの魔法陣を壊そうとするのか―】



        【お前も、敵だったのか…?】



      【二度と私の前に、姿を見せるな…】










     【【【【【次に会ったら、殺す!!】】】】】









そう言って、ルイアは背を向けて炎の中に消えていきました。








「ル、ルイア…??」


私は…力が抜けてヘロヘロになり、地べたに座り込んだまま動けないでいました。





「まぁ、こんな事だろうと思ったけどね~!!」


ゼニィーは、私の隣で言います。


「ゼ、ゼニィー…」

「それは、一体どうゆう事なの…?」


私は、力無く言う。




「呪具の所有者はね~」






             「…」(私)





ゼニィー曰く…

呪具の所有者はその代償として、大切な記憶や正常な思考が闇の魔力に侵食されて、奪われていくとの事です。




「でもでも、さっきのイブの発動させた指輪の魔法で、思い出す可能性も期待していたんだけどね~!!」


「えっ、指輪…!?」


「只の身代わりの指輪だと、思っていたけど…」

「まさか、ここでこんな魔法具をお目にかかれるなんて、感動を通り超して、背筋が凍ちゃったよ~!!」


「ホラっ、これこれ!!」

「さっき、役目を終えてルイアの身体から出てきたよ~!!」


ゼニィーは、真っ黒になった指輪を私に見せる。





「…」(私)




これは、さっきルイアの近くで消えた身代わりの指輪でしょうか。


でも、あれっ…最初は、青白い綺麗な指輪でしたけど。





「これは、身代わりの指輪DX+α(安心設計で使いやすさが更にUP!!これで、どんな人でも楽々お助け可能!!)と言う魔法具だね~!!」


「「「身代わりの指輪DX+α(安心設計で使いやすさが更にUP!!これで、どんな人でも楽々お助け可能!!)!?」」」






「…」(私)





(なんか、変な名前になっているしっ!?)


(てか何なの、そのキャッチコピーみたいなのは…!?)




「この指輪はね―」



ゼニィー曰くー


この指輪は、身代わりをしてくれる魔法具の中では、最上位の性能と効果があるそうです。それは、あらゆるダメージ…傷、病気、状態異常、呪具を使っている代償(例えるならば、重度の精神疾患みたいな感じ?)でさえ、肩代わりをしてくれるとか。悪人が、この魔法を喰らった場合は、あらゆる負の精神状態が改善されて、生まれ変わった様な善人になるらしい。


まぁ、ザックリな表現ですけどね!!




呪具の所有者ならば…


今までの事を悔い改めて、自ら呪具の使用を放棄するそうです。


地球で言うならば、悪人が自首する感じでしょうか。




そして、肩代わりしたダメージは…

普通の身代わりの指輪の様に、自身の身体で肩代わりするのでは無く、指輪自体が肩代わりをしてくれるみたいです。




「おお…」


(安心設計で、使いやすさがUPしている…)






       いや、それは最早、身代わりなのか―






肩代わりをされる方からしたら、どんな心身の状態も回復する事が出来る、究極の回復魔法と同義である。この世界には、あらゆる魔法があるらしいが…この様な呪具の所有者を倒さずに、使用を止めさせる事が出来る魔法は、指で数える程しか無いらしい。




更に―



「悪人に使う時は、指輪が悪人の体内に転移で、潜り込んでから発動させま~す。それは指輪との距離が近い程、効率良く肩代わりが出来るみたいだからで~す!!」




「…」(私)


(ふ~ん、そうなのね…)


素直に、頷くだけの私。

とりあえず、悪人を善人に変えてしまうチートな魔法具という事でしょうか。因みに…指輪の魔法を発動させた術者は、時間が止まった様な不思議な感覚になるらしいです。







「じゃあ、この指輪が黒くなったのは…?」


「これは、カコシの呪具の代償を指輪が吸収したからだね~!!」



「そ、そうなんだ…」





(代償って、あぶらとり紙みたいな感じで吸い取れるんだ…)






「だけど、それでも無理だったけどね~!!」

「それ程に、カコシの呪具の力が大きいって事だよね~!!」



「そ、そうなんだ…」



ゼニィー曰く…




普通の呪具の所有者に使えば、一発で善人にさせる位の力はあるとか。









「ルイアって人は…もう完全に、心が闇に呑まれてしまっているよ」

「もう、どんな手を使っても、記憶を取り戻す事は出来ないね~!!」








        「残念だけどね!!」










「「で、でも…また(指輪を)使えないの!?」」



「もう上限ギリギリまで、ダメージを吸収しているからね~!!」

「まぁ…多少の物理的なダメージならば、まだ吸収する事が出来ると思うけど、ルイアを改心させる様な力は、もう残って無いね~!!」










            「…」(私)








「そ、そうなのね…」



「パキ―」


(あっ、何か割れた…)


私は指輪を手に持って、呆然と眺めていると…

指輪は、パキっと真っ二つに割れてしまう。

私は慌てて、セロハンテープでくっつけます。



「そう、だから…」

「ルイアを元に戻す事はもう諦めて、呪具の所有者であるルイアを殺して、魔法陣を破壊する方向で考えよう!!」






「…」(私)






そんな、ゼニィーの考えた作戦はこうです。


ルイアを殺すと言っても…ルイアは見た感じで、とても手強い。なので、正面から行っても一掃されるだけでしょう。ここは、ルイアから姿が見えないゼニィーと…まだルイアに知られていないバリアを使って、ルイアの虚を衝いて、仕留め―



いやいやいやいや、ちょっと待ったアアアア!!



「「ルイア…」」

「「折角、会えたのに!!」」





      「「「私は、絶対に諦めないわ!!」」」







「イブ…」


「でも、次に会ったら殺されるんでしょ~!!」

「それに、指輪はもう使えないし…」



「「ゼニィー!!」」


「「貴方のバリアは、高性能なんでしょ!!」」

「「殺されたって、死なないのならば、ルイアが思い出すまで…私は、何回でもルイアの所に行くわ!!」」







     「「「指輪なんて、関係無いわ!!」」」







本当に何回でも―


その回数が、たとえ数百、数千…いや、それ以上になろうとも







「イブ…」



「ハァ…じゃあ、やるだけやってみれば~!!」


ゼニィーは、ため息をついて言いました。






「ありがとう、ゼニィー…」








(ではではでは…)


という訳で、ルイアを目覚めさせに、いざ出発で~す!!













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ