55話 久しぶりー!!
(ではではでは…)
私達の記念すべきお宅訪問の第1軒目に、いざ出発です!!
さぁ、行くぞオオオオー!!
私は、気持ちを押し上げて出発します。
~10分後~
「…」(私)
私達は…その1軒目に向かう道中で、すでに躓いていました。
「あの~、ゼニィーさん…」
「これ、どうするの…?」
「ん~、困ったね~!!」
傍観しながら、言うゼニィー。
私達は…沢山のゴーレム兵と巨大サラマンダーに、取り囲まれていました。例えるならば、ライオンの群れに囲まれたウサギみたいな感じがします。
もう、どうする事も出来ません…
「ゼニィー!!」
「アンタ、何か攻撃とか出来ないの!?」
「いや、ボクは防御専門の非戦闘員だからね~!!」
「イブが何とかしてよ~!!」
「いや、私も非戦闘員よ…」
私達は、当たり前の様に言います。
そもそもですが…こうなってしまったのも、全てはアイツの仕業です。アイツの妨害が無ければ、歩みが遅いゴーレム兵やサラマンダーの隙をついて、順調にお宅訪問が出来る予定でしたのにっ!!
そのアイツは…
建物の屋上から、私達を見下ろしていました。
「「「「メラメラメラメラ!!」」」」
【ジィィィィィィィィィィィィィィィィー】
―燃えるローブを身に纏い、赤黒く不気味に輝いた杖を持ちながら、怪しげな呪文を唱えている。その姿は、文献で見ました当時のバルキード王国軍の2人いる最高幹部の内の1人である『焦熱の魔術師サルジャール』と同じでした。
―同一人物なのか!?
あのヘンテコローブに見つかってしまったおかげで、私達の行動は常に監視されている状態でした。更にサルジャールは、火の魔獣を呼び出す事が得意で、私の行く先々に数多のサラマンダーを召喚して、行く手を阻んでいました。そして…私達がもたついている間に、あっという間にゴーレム兵達に取り囲まれてしまったのです。
「「あのヘンテコローブをどうにかしないと、この先お宅訪問なんて…まともに出来ないわよ!!」」
何とか接近して、唯一の武器の剣で攻撃するしかないですけど…
しかし、サルジャールは地味な妨害を続けるだけで、直接こっちには来ませんでした。
―近付こうとしても、一定の距離を保ち続けている。
まるで…
悪霊に憑りつかれているかの如く、振り払えず永遠に見られている感じです。
「…」(私)
(いや、それよりも…)
沢山のゴーレム兵とサラマンダーは、私達に一斉攻撃をしようとしている。
「流石に、これは大丈夫なの…?」
不安になる私…
「まぁ、バリアには影響は無いけど…」(ゼニィー)
ゼニィー曰く…
C4(カテゴリー4)以下の害獣やそれに値する攻撃では、バリアには与える影響は殆んど無いとの事です。巨大サラマンダーやゴーレム兵は、所詮C3(カテゴリー3)程度の実力との事で…それらが、いくら総攻撃をしようとも、バリアはビクともしないとか。
しかし、あまり喰らいすぎるとバリアの表面に傷がつく事があるらしいが。
「な、なるほど…」
(ゴクンっ―!!)
―私は覚悟を決めて、総攻撃を受けようとしている時でした。
「「「大丈夫かアアアアアアアアアアアー!!」」」
「「!!」」
誰かが、空から舞い降てくる。
「「「「「ヴアアアアアアアアアアアアア~ンっ!!」」」」」
そして、辺り一面が爆炎に覆われて…
私達を囲んでいたゴーレム兵やサラマンダー達を吹き飛ばした!!
「「ヒィィィィィィィ~!!」」
私は、吹き荒れる熱風に飛ばされない様に身を伏せます。
―そして、しばらくして風が静まる。
その人は、女性で…
私の目の前に立っていた。
黒色のカチューシャに、銀色の髪をキラキラと靡かせている。
私の中の時間は、しばらく止まった。
「あっ…」
「「「ル、ルイアじゃんっ!!」」」
「「「久しぶりー!!」」」




