54話 お宅訪問
「ハァハァハァハァ…」
私達は…適当な建物の中で、息を潜めていました。
曲がり角でぶつかったゴーレム兵からは、その後5~6回ビームの直撃を喰らいましたけど、何とか追撃を振り切って、適当な建物に逃げ込んで隠れていました。
「ハァハァ…何とか、逃げ切れたね」
「そ、そうだね~!!」
私達は…やっと、落ち着く場所を見つけて、息を整えます。
と言いますか、ごく普通の感じになっていましたが…改めてゼニィーのバリアは、凄いと感じていました。サラマンダーやゴーレム兵の攻撃が、何度も直撃していましたが、問題無く防いでくれていましたし…とても、頑丈なバリアなんですね。
「…」(私)
ゼニィーのバリアが無かったら…
何回ゲームオーバーになっていた事やら。
ゲームで言いますと、無限コンティニューが出来る感じですかね。
それか…アクションゲームが苦手な人でも、安心して楽しめる事が出来る『お助けモード』でしょうか。『これで、難しいダンジョンも簡単に攻略が出来るぞ~!!』という気分ですね。
「ハァハァハァハァ…」
「ふぅう…」
そんな強気な希望も沸いていましたけど…
「「「「「ゴオオオオオオオオオオオオオオオ―!!」」」」」
「「ガシャアアアアアアアアア~ンっ!!」」
「「ガシャアアアアアアアアア~ンっ!!」」
「「ガシャアアアアアアアアア~ンっ!!」」
私は、恐る恐る窓の外を覗きますと…バルキードのゴーレム兵達がゾロゾロと燃える町を歩いているのが見える。その中には…巨大サラマンダーを巨大な首輪と鎖で繋いで、引き連れているゴーレム兵もいる。
あの巨大なサラマンダーをー
飼い慣らしているのでしょうか。
火の海を悠然と歩くゴーレム兵と巨大サラマンダーの行進は、この世の終わりではないかと思う程に、恐怖に圧倒されます。文献では…バルキードは、あんな感じで数多のサラマンダーを引き連れて、ヴェル王国の町々を襲ったと書かれていましたけど…
(ゴクリっ―)
まさに、文献通りの光景でした。
まるで、当時にタイムスリップしている感じです。
「ど、どうしよう…?」
私は、漠然とした現実を目の当たりにして、ここはゲームの世界なんじゃないかと思う。そんな幻想を抱き、途方に暮れます。
ですが…
ここは、どうやら現実らしいー
死んだら、もう終わりです。
「とりあえず、ここにルイアって人がいるのならば、地道に1軒ずつ回って確認していくしかないかもね~。もしかしたら、この町のどこかに呪具と一緒に暮らしているかもよ~!!」
「えっ…」
1軒ずつ回るって…ここには、一体どれ程の建物があるんでしょうか。
数百、数千…下手をしたらそれ以上の建物が―
途方もない作業ですけど…
それに町中には、ゴーレム兵や巨大サラマンダーがウヨウヨと歩いているので、それに見つからない様にしながらとか難しすぎる。
「ハァ…」
ですが…
これしか方法は無いのならば、仕方がないですね!!
まぁ、ゼニィーのバリアもありますし…
やっぱりー
簡単には、クリアが出来そうにないかもね。
「では、行ってみましょうか!!」
「はいよ~!!」
私達は、ルイアを訪ねて1軒ずつお宅訪問をしていく事に!!




