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72話 茂みからの影





「テクテクテクテク…」




パーシャの町から出発して、3日目になろうとしていました。


私は、ゼニィーと共に相変わらずに寂しい草原の道を歩いています。


もう感覚的には、100km以上は歩いているでしょうか…




まぁ、詳しい距離は分かりませんけど。



(相変わらず、広大な大草原ですね…)





私は、草原と青空が交わった地平線を見つめながら、そう思います。








「ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウー」








「…」(私)


(そうそう、そういえば…)



昨日、初めて人とすれ違いましたね。草原の道でバッタリと。

その人は、荷馬車を引いた商人っぽいオジさんでした。私は…すれ違がった挨拶がてらに、そのオジさんに私達の行く道がどこに続いているのかを、聞きました。



この道の行く先に、ギルドがあるのかどうかについてを―



オジさん曰く…この道をずっと行けば、ギルドがある『サウスヴェル』という大きな町に着くそうです。そして、その道中には『天魔の山脈』と呼ばれる山々があり、その山道を越えて行く事になるとか。


徒歩だと、サウスヴェルに着くまで、1ヶ月以上はかかるそうですね。

因みに、サウスヴェルがパーシャから一番近い『ギルドがある町』との事です。




(フムフムフム…)


まぁ、急ぐ旅では無いので、時間がかかっても気にしないのですが、一応バリア代の支払期日もありますからね。移動時間だけでこれだけ要してしまうとなると、結局ギルドでは無く、途中のどこかで金策を探す必要があります。


それで、天魔の山脈に行くまでに、ポツポツと村があるとの事で…


私は、その村に立ち寄って、金策を探そうと考えていました。





なので…





とりあえず、このままこの道を進んで行きます!!






それからですが『天魔の山脈』と言いますと…


前世の私の記憶によると、前世の私がよく遊びに行っていた馴染みの場所みたいですね。なんか…オジさんからそのワードを聞いて、ふと思い出しました。そして、そこにはグリフィンとかいう空を飛ぶ、格好良い魔獣がいたわね!!



「ゼニィー!!」


「天魔の山脈には、グリフィンという格好良い魔獣がいてね。それに山の上から見る景色は、とても絶景で綺麗な場所よ!!」


私は、少しワクワクしながらゼニィーに言う。




「ふ~ん、グリフィンか…」


「ボクも、あんまり見た事ないね!!」

「グリフィンは生息地域が限られているから、希少な魔獣なんだよ~!!」



「ふ~ん、そうなのね…」



「そうだよ~!!」







            「…」(私達)








あまり会話は続かず、私達はまた黙々と道を行く。












  


              ○ 










「カアカアカアカアカァカァ―」



しばらく、歩いている内に陽が暮れ始めていました。

辺りの風景は、次第に草原の中にポツポツと立っている木々が目立つ様になってきました。所々に、林がありますね。




「ルンルンルンルンルン♪」


「ピョンピョンピョンピョン―」




「あの~、何やってるの…!?」


ゼニィーは、呆れた顔で言う。




「んっ、別に何でもないよ!!」



…私は、道を遮る木々の影を踏まない様に、ピョンピョンと飛んで歩いて行きます。誰かに見られたら、恥ずかしい光景ですけど…まぁ、誰もいませんからね。相変わらず、そんな寂しい道です。


昨日…オジさんと出会ってからは、また誰ともすれ違っていませんでした。





「ヒュウウウウウウウウウウウウウウ―」




(あ~、気持ち良い風…)




私は、夕暮れの涼しい風に包まれる。





           その昔、この道は―





パーシャの町が栄えていた頃は、サウスヴェルとの町とも往来が盛んであったとの事ですが、パーシャの町が廃れた今は、その往来は殆んど無く、寂しい道になってしまったそうです。


私は…オジさんからこの話しを聞いて、パーシャの町がこの国から見捨てられていると如実に感じまして、寂しい気持ちになりました。





「…」(私)




まぁ、それはそうと私は、そんな林の横にある道を歩いているんですが、何か…林の茂みから出て来そうな雰囲気を感じていました。



(ドキドキドキドキ…)


…そういえば、パーシャの町を出発してから3日目ですが、ゴブリンとかの害獣は一切出て来せんでしたね。流石に、これがもしゲームならば…ひたすらに草原を歩いても魔獣が一切出ないので、バグを疑いますけどね。



ですが、これは現実ですので…


まぁ、出ない事に越した事は無いんで―




(((そう思った瞬間であった!!)))






      「「ガサガサガサガサガサガサ―」」





「「「!!」」」(私)



茂みから突然、何かが飛び出してきたのだ!!

私に、久しぶりに緊張が走る。







        「「なっ、コイツは…!?」」









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