表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/137

70話 設定 






「記憶が戻って、良かったね~!!」


ゼニィーは、私に言う。




「そうね…」


私は、草原を歩きながら言います。





「でもボクは、もうボンヤリとしか覚えてないけどね~!!」






ゼニィーは…私と一緒に見た『私の記憶』の夢をボンヤリとしか、覚えてないみたいでした。






「…」(私)






まぁ、私もそんな感じなんですけどね…


私も、夢で甦った記憶の殆どを忘れていました。


まるで、今日見た夢をその内に忘れてしまうみたいに。



…勿論、ルイアとか他の第2分団の皆の事とかは、しっかりと覚えていますけど。そして、それはもう忘れる事も無いと思いますが。

しかし、あとの部分は…うろ覚えか、もしくは忘れてしまっていました。







            と言いますか…







そもそも私は、イブでは無いのです。






勿論、外見は『イブ』という女性の身体ですが、その中身は地球にいる30歳過ぎのオッサン間近のフリーターの青年である。それ以下もそれ以上でも無いのです。


…ですけど、私はルイアに出会ってから、別れる時まで、本当にこの女性の身体『イブ』という人物になっていた感覚で動いていました。そして、ルイアや他の第2分団の皆と会った時は、心の底から嬉しかった。


それは-





まるで、自分の事の様に嬉しかった。




久しぶりに、自分の家族や仲間達と再開したみたいな気持ちです。




これは只…単純に、この『イブ』という人物の記憶と感情が流れ込んで、そう錯覚したに過ぎないのでしょうか。今の地球の私は『イブ』という人物の身体になっていますので…








それとも―














『イブ』という人物は、かつての私だったからでしょうか。



それはつまり、前世の私って事になりますね!!





「…」(私)





まあ、そんなの分かりませんけどね。仮に、そうだったとしても…魂が同じだったとしても、生まれ育った星や環境とか、性別とか、性格とか、年齢とか、価値観とか、趣味とかなどなど、全てが違うのです。


それは最早、どっちみち…


別人の人生と変わらないのでしょう。







「サアアアアアアアアアアアアアア―」



―日差しに照らされた暖かい風が、私に当たる。


私の目の前に広がる景色は、雄大な雲が漂う青空の空色と、色鮮やかな草原の黄緑色だけです。





(ふ~ん…)



相変わらず、のどかなで綺麗な景色ですね。



もう、この景色も見慣れてしまいました。







              「…」(私)








どうやらー

もう地球には、戻れそうにないわね。


このまま、この異世界の星で、ずっと暮らしていく事になるのでしょうか。私は、どこまでも続く草原の道を見ながら考える。






この道をどこまで行こうが、故郷に辿り着く事は決して無い。




私もカコシと同じ様に…夢の中でしか、故郷に帰る事は出来ないらしい。




…まぁ、地球に戻っても大してやる事は無いんですけどね(ハハハっ)

そうそう、来週発売する新作のゲームが買えなかった事は残念でしたね。あれ、前から楽しみにしていたのに!!


「う~ん…」


この星に、郵送して貰えないだろうか…




「…」(私)






それは、さておきまして…


私は、ルイアや第2分団の皆の他に、もう1つハッキリと覚えている事がありました。それもまた…ルイアや第2分団の皆と同じ様に『今後、忘れる事は無いでしょう』と言える自信がある事です。




それは―




この『イブ』という人物の夢である









         『この世界を旅して周る事』










「…」(私)




そうだ!!


『イブ』という人物は、前世の私という設定でいきましょう!!


そうしましょう。


―私は突然に閃いて、そう決定した。



そして、そして―


自由気ままに、のんびりとこの世界を旅をしながら、前世の私の夢を叶えていきましょうか。あとですが…『この世界を救って!!』というお告げも気になりますが、これは多分『世界中に散らばる、数多の呪具をどうにかして!!』と言っている気がしました。


旅をするついでに、これも確かめにいきましょうか。


まぁ、ゼニィーもいますから、大丈夫でしょう。

私は、少し前をパタパタと飛んでいるゼニィーを見つめながら、そう思う。






「んっ、どうしたの~!?」


ゼニィーは、問う





「フフフ、何でもないわ…」


私は、少し微笑んで返します。












そんな設定(思い)で、私は草原の道を行く。














~70話


第0章  ゼニィーとの出会い ~雨降る町にて~



71話~ 


第1章 ???



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ