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2話 忘れていた







「「バアアアアアアアアアアア~ン!!」」






廊下の先の扉を開けると-

そこには大きな広間があった。



ここは騎士団の人達が使う食堂です。

その名の通り騎士達が食事をする場所であり、大きな広間には多くのテーブルや椅子が置かれています。



そして…



内装にも凝っており、壁に施された可愛らしい天使達の彫刻や、煌びやかな装飾が魅力的なシャンデリアなどなど、それはどこか荒々しい騎士のイメージとは、まるで違い…




どこか高級なレストランを感じさせる様な造りであった。







「ファアアアア~ア…」



(何か、まだ夢の中にいる様な不思議な気分ですね…)




天使に囲まれた私は…そう思う。

アクビをしながら眠そうにね。

ボーっとして眺めていると、また夢の中に戻されてしまいそうな気がしますね。



因みに…朝食はいつもバイキング方式です。





「あら~、私達が一番最初なのかしら…?」

「まだ他の騎士達は、食堂に来ていないわね」

「私達が、一番乗りじゃないの!!」


私は、ガランとした食堂を見てそう言った。





「…」(ルイア)



「私達が一番最後なのよ…」


冷静に客観的に物事を見て言うルイアであった。

いや、私が能天気すぎるのか…


私達はすぐにお皿に各々の朝食をのせて、席に着いて食べ始める。ルイアが選んだのは…食パンとジャムとホットミルクだけであり、それを黙々と食べている。






~5分後~






ルイアは、もう食べ終わっていた様です。



「…」(ルイア)



「あの、イブ…」

「アナタ、まだ3分の1しか食べてないじゃないの…と言うか、朝から良くそんなに食べられるわね」


ルイアは呆れた感じで言う。




「…」(私)



ルイアが、食パンを食べ終わったのに対して…

私は、まだ食パンを3分の1しか食べていなかった。その他のおかず諸々も…そして、選び取った量も私はルイアの3倍多かった。もし私とルイアが逆だったら…多分、ちょうど同じ時間に食べ終わっていたのかしら。





「これ食べる?」


私は食パンをモグモグと噛みしめながら、残りのおかずをルイアに勧める。



「「いるかっ!!」」


ルイアは軽く怒っていた。




「んっ、そう言えば…」


突然だか私は、ふと思い出した。



「どうしたの…?」 


ルイアは怪訝そうな表情で言う。





(((今日…私は馬小屋の朝の餌やり当番だったのだ!!)))




「「ヤバい、餌やり忘れてた!!」」


呑気に朝食なんて食べている場合じゃなかったのだ―!!




「ハァ…」

「私、もう先に行っているわよ…」


ルイアは改めて、ため息をつくと呆れた表情で食堂から出て行ってしまった。



流石に…


手伝ってと言える空気では無かったので、私は急いで残りの朝食を口に詰めて、さながらリスの様に頬っぺたをパンパンに膨らませて、私の担当する馬小屋に向かうのであった。









         ○







「ハァハァハァハァハァ…」


「ハァハァハァハァハァ…」




馬小屋に向かって、駆けていく私。



私は-


先程の自己紹介で言った様に、この騎士団では魔獣調教士の役割を担っています。魔獣調教士というのは、なんか立派な響きなんですが、今…実際やっているのは馬小屋のお馬さんのお世話なのです。その名の通り騎士団でありますから、騎士達は馬に乗って闘います。その馬のお世話を主に私達、魔獣調教士が行っているのです。



騎士が乗る馬…



いわば騎士の足でもありますから、それは騎士団の中でも重要な役割の1つと言えるでしょう。





「…」(私)






えっ…『馬は魔獣じゃ無いよ』ですか!?

そこは問題ありません。馬は獣ですから…

魔獣という文字には、獣も入っているから大丈夫なのです!!



…と私は頭の中で頷き、納得していた(納得させていた)




「ハァハァハァハァハァハァ…」



さて…馬小屋に着いた私は、早速餌やりを始めようとします。いつもなら、私は魔獣使役の魔法 “魔獣の気持ち” を使い、お馬さんと意志疎通をしながら餌やりをするのです。例えば…「今日の調子はどう?」や「どこか調子が悪い所は無い?」などと語り掛けながら。



…実際、お馬さんと会話を出来る訳ではないのですが、魔法の力により、お馬さんの大体の気持ちが私には読み取る事が出来るのです。


しかしながら、今日の私には、そこまでする余裕は時間的にありませんでした。



しかし、餌やり場を見ると―



「あれっ…」



もう餌が置いてあり、黙々とお馬さん達は餌を食べていたのです。





「…」(私)



(誰かが、先に餌をあげてくれたのか…)


有難い事ですが、これはこれで後で怖いパターンですね。お馬さん達は餌を食べながら私に…『お前、おせぇーよ』と言っている気がした。


魔法は使って無いはずですが…




(一体、誰がお馬さんに餌をあげてくれたのだろう…?)



別の馬小屋の担当騎士が気を利かせて、私の所もやってくれたのであろうか。とりあえず…後で確認して、お礼を言わなければ。流石にお馬さん達に聞ける空気では無かったので…というか、そこまでハッキリした事までは読み取る事が出来ません。


私は首を傾げながら考えていると…



「「ああああ、ヤバい!!」」

「「急げええええ!!」」


時計を見ると、招集時間まで残り3分を切っていた!!


私は天井にぶつかりそうな勢いで跳び上がる!!

とりあえず、誰が餌をあげたのか考えるのは後にして、私は全速力で招集場所に向かうのであった。









…とまぁ、こんな感じで今日も忙しない1日が始まっていくのです。












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