187話 墓場の理由
「ガラガラガラガラ…」
「ガラガラガラガラ…」
一瞬、何が起きたのか分からなかったが…
私はどうやら下に落とされたみたいだった。
頭上から埃がパラパラと落ちて来る。
辺り一面は砂埃で覆われている。
「イテテテテテテ、何が起きたんだ!?」
「ここは…」
また迷宮に落とされたんでしょうか!?
いや、違いました。
突然、床が開いて私は下に落とされたみたいでした。
上を見上げればドップス、ギレン、カミューラがいます。
こ、これは凄い大きな落とし穴ですね(汗)
まさか、こんな仕掛けもあるなんて忍者屋敷もビックリです。
そして…
落とし穴の中は黒いススに包まれていました。何かを燃やした跡でしょうか。ここは焼却炉か何かでしょうか…!?
(ゴツゴツゴツゴツ…)
「…」(私)
と言うか下が凄いゴツゴツしていますね。
見れば真っ黒になった木の枝?が沢山あります。
それがお尻に突き刺さって痛いです。
全く何だこの枝!?
「…」(私)
しかし、よく見ますと…
「「ううう…!!」」
私は思わず声を出してしまう。
よ、よ、よ、よく見るとそれは-
(((うううううううう…!!)))
【イブ君、何故ここは墓場になっているかと思いますか!?】
【ああ、勿論オークションのお客様に楽しんで貰える様にお化け屋敷しているからと言う理由もありますけど、それ以上に本当にね…】
【ここは墓場なんですよえええええ~】
【優秀な魔法具を生み出す為に生け贄になった人達のね-】
息を吹き返したドップスは私を見下ろしながら言う。落とし穴の中にあったのは、沢山の黒い骸骨であった。
(((な、何ておぞましい光景なんだ!!)))
私は震えが止まらない。
【では、黒炎を点火します】
【今回は装置が発動する火力だけでは足りませんので、私の魔力も注ぎ火力を強化しましょう】
何かの操作レバーの前にいるカミューラは言う。
「こ、黒炎て何…!?」
「黒炎は、生け贄の儀式に使われる闇属性の炎だよ~!!」
「普通の炎より高温で、消すには光属性の水が必要で~す。普通の水だと消すのがとても困難です。そして、黒炎で燃やされ者は黒く光る骸骨になり、呪具を産み出したりする素材になるんだ。生の死体と違って、置く場所も取らないし長期保存も出来るから、良く使われている魔法ですよ~!!」
「そ、そうなのね…」
ここでゼニィーの解説が入ります。
「普通の黒炎ならバリアが防いでくれるけど…」
「今回の黒炎はカミューラが発動するから、ちょっと危険かもね(汗)!!」
「な、なるほど…」
「アンタのバリアがあっても、悠長な事は言ってられないのね」
【【ハハハハハハハハハハ~!!】】
【【燃やされるなんて良い様だアアアア】】
【【あばよ、ガキイイイイイ】】
「ん…!?」
私の隣で怪しい3人組がゲラゲラと笑いながら言ってますけど…
彼らも一緒に落とされていたみたいです。
あの~ドップス様、味方も一緒に落ちてますよ。
この方達を先に助けた方が…
【ああ、ごめんなさいね君達…】
【私が宝具を持っている事を知って良いのは、この場ではギレン君だけなんですよ。ウッカリしてペラペラ喋ってしまったので、君達も生け贄になって貰います。口封じでね!!】
【【【【【えええええええ~!!】】】】】(怪しい3人組)
【【そんな事、言わないで下さいドップス様!!】】
【【絶対、誰にも言いませんからアアアア~】】
【【助けて下さアアアア~い(泣)】】
怪しい3人組は懇願している。
ドップスのウッカリによって処分されてしまうなんて、敵だけど同情してしまうわね。
「それでどうするんですか~!!」
「…」(私)
ゼニィーは困った顔で言いますが…
【!?】(カミューラ)
私は今日一番の笑みでカミューラを見つめます。
カミューラは鍵に仕掛けられたトリック魔法とゼニィーのマネーバリアを警戒しているみたいですけど、それは間違いですよ。
アナタが本当に気を付けないといけない魔法は…
-魔獣使役の魔法よ-
それは-
魔力が皆無の私が使う小型犬までしか効かない激弱の魔法である。
私は澄ました顔でカミューラを軽く睨み付けますと…
「「ビシイイイイイイイイイイ-!!」」
ドップスが持っている呪いカメラのレンズにヒビが入ります。
同時に、墓場で騒いでいた愉快な人形達の動きが全て止まる。
-さて悪い事をした子達にはしっかりとしつけをしましょう-
-しつけの時間開始だ-
-魔獣使役の超高位魔法 発動-