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182話 中途半端




(あっ、やった…)


私は呆然と舞台に立ち尽くしていますと…

無事に呪いのカメラに鍵が突き刺さりました。

そして、鍵は気持ち良くグルンと回ります。



(ナ、ナイスです。ゼニィー)




どうやら、本当に呪いのカメラの鍵だったのですね。最初に鍵を手に入れた時は、お宝の鍵だと思いましたが…



いやいや-

ある意味、本当にお宝の鍵でしたね!!

だって、呪いのカメラは『宝具』と呼ばれるこの王国の宝ですからね、ハハハハ。


とりあえず、これで人形にされた人達は元に戻りますでしょうか。期待と心配が入り交じる私。





「!!」(私)





「「「「ジリリリリリリリ~ン!!」」」」


「「「「ジリリリリリリリ~ン!!」」」」



呪いのカメラからは、まるでパチンコ台を開けた時の様な大きな警報がなっていた。




【【ヤバい、ヤバいですよ~!!】】

【【皆、元に戻ってしまいますよ。私が今まで作り上げてきたコレクションが…全て水の泡になってしまう。というか何故、鍵が抜けんのだ。チクショオオオオオオオオオ~!!】】



【ド、ドップス様、落ち着いて下さ~い!!】



ドップスは一生懸命、鍵を抜こうとしているが何故か抜けないみたいです。怪しい3人組も手伝い、一生懸命それに夢中になっている。






「「「「ジリリリリリリリ~ン!!」」」」


「「「「ジリリリリリリリ~ン!!」」」」




「…」(私)


それで周りを見る限り…

今の所、大広間にいる客役の人形達に変化はありませんね。これ、本当に元に戻るんでしょうか…!?






「「イブさん!!」」


「「!!」」(私)


と思ったら、背後から懐かしい声が-!!

後ろを振り返ると、そこにはサーラちゃんの姿がありました。




やっぱり、やっぱり戻ったみたいですね。




良かった…



(ウルウルウル…)




「「イブさん」」

「「助けに来てくれて、有難う」」


「サーラちゃん、無事で良かったわ」


私達は再び会えた事の喜びながら抱き合います。

まさか、また生きて会えるなんて思っても無かったですから。


サーラちゃんの救出は無事に完了ですね!!





「「「「ジリリリリリリリ~ン!!」」」」




「「「「ジリリリリリリリ~ン!!」」」」






(さ、さてと…)




「…」(私)



で、ですが…


他の人形達には一向に変化はありませんね。

今の所、戻ったのはサーラちゃんだけみたいです。


他の人達はまだ戻らない。ポップコーンが弾けるみたいに、これから次々と戻るのでしょうか。






【【ゴオオオオオ~ン!!】】  【【ゴオオオオオ~ン!!】】



【【ゴオオオオオ~ン!!】】



【【ゴオオオオオ~ン!!】】  【【ゴオオオオオ~ン!!】】





そう思ってますと…


大広間の大時計が鳴り響き、深夜0時を知らせます。

その音色はまだまだ夜は始まったばかりであると、私に教えてくる様でした。大時計の針はガタガタと震えて、時計の仕掛けでしょうか…時計の中から首が欠けた天使の人形が出てきて踊っています。




(ゴ、ゴクン-)


そして、人形達をまた見ますと…

全く生気を感じない青白く光る目で、私の事を一直線に睨み付けていた。こ、これは背筋が凍ってしまう。元々暗く不気味だった会場の大広間は、更に不気味な空気に包まれる。



何でこんな中途半端な戻り方を…





「イブイブ~!!」

「多分、呪具を壊して、その所有者であるドップスも殺せば皆戻るんじゃないかな~!?」


ゼニィーは言う。



「な、なるほど」


でも、ちょっと待って!!

相手が極悪人だろうと殺すなんて-



「さっきのギレンへの一撃はとても良かったよ。トコナッツ君は燃え尽きて、もう無いけど…そうだ、剣でズバっと斬っちゃえばいいよ~!!」


「いや、ギレンの事はもう言わないで~(泣)」




まぁ、確かに…


前世の私だったら悪人をズバズバと斬り捨てていたけど、今は地球の私だ。ゴブリンならまだしも、人を斬るなんて…仮に覚悟を決めて殺るにしても、手の震えが止まらない。こんなんじゃ、どっちみち剣なんて持てないよ。




そんな事なんて出来ないよ(泣)!!



(アワアワアワ…)



私はアワアワと何も出来ずにオロオロしている。



そして…


ドップス達の方も鍵を抜くのに必死で私どころではない様子であった。お互い、目の前の事を考えるのに精一杯で膠着状態になっていた。








「「イブさん逃げましょう!!」」


「えっ、サーラちゃん!?」


私が棒立ちしていると、サーラちゃんは私の手を掴み走り出します。ちょっと待って、まだ考え中なんだけど!!


ですが-

私は抵抗する間も無く一緒に走り出す。




「「ハァハァハァハァ…」」

「「私はここの地下空間の出口を知っているわ!!」」



「えっ、そうなの!?」



「ここに連れて来られた時に通った出入り口があるのよ。それはオークションの客用の出入り口であって、この地下空間で唯一の出入り口でもあるとドップスは言っていたわ。人形になってもね、力尽きて死ぬまでは意識はそのままなのよ。だから、私はここに来たまでの経路を-」


「「しっかりと覚えているわ-!!」」



走りながら真剣な顔で言うサーラちゃん。

なんか逞しいです。私の方が助けられてるみたい。




「そ、そうなのね…」


確かに私が通って来た出入り口は消えてしまったのでした。とりあえず、まずは出口を確保するべきでしょうか。


そして…

サーラちゃんを地上に避難させてからドップス達と決着をつけようかしら…サーラちゃん、私の腕を掴んで離してくれないし。




「ハァハァハァハァハァ…」


私はサーラちゃんの言われるがままに進んでいくと-



目の前に古びた扉が迫ってくる。




「「あの扉よ!!」」

「「あの扉が地上へと繋がっているわ!!」」


「ハァハァハァハァ、そうなのね…」


やった、出口の扉みたいです。

そして扉は自動ドアみたいに開き始めます。

手を引っ張られながら全速力で駆けて行く私は、その勢いのままに扉の中に飛び込みます!!









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