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178話 目玉商品




天井から長く伸びるカラフルなカーテン達を潜り抜けた先は-





【ジャンジャン-♪】  【ジャンジャン-♪】


【ジャンジャン-♪】


【ジャンジャン-♪】  【ジャンジャン-♪】





(お、お化け屋敷かな…?)


とても暗い大広間でした。

外の墓場より暗いんじゃないでしょうか。

大広間は揺らめく僅かな蝋燭の灯りと共に、不気味な音楽が流れている。



そして-



【【ザワザワザワザワ-!!】】


【【ザワザワザワザワ-!!】】


そこにはボロボロのスーツやドレスを着ている大勢の人達がいまして、皆さん…楽しそうに話している。ですが、彼等が何を話しているのかは声が籠っていて何も聞き取れません。





「…」(私)


なんか流れで魔術品オークションの会場に入ってしまったみたいですが…



私はここで何をしたら良いのか、もう分かりません。そ、そう言えばマーシャルさんも見当たりませんね(汗)


後ろから付いて来たはずなんじゃ…





「わあああ、もしかしてご馳走かなアア~!!」


「「ちょっと、ゼニィー!?」」



大広間には、大きなテーブルが沢山置かれてまして…

暗くて良く見えませんが、豚の丸焼きや果物の盛り合わせ等のシルエットが見える。どうやら、テーブルの上には大皿に乗った豪華な料理が沢山並べられているのでしょうか。


そして、本能に勝てなくなったゼニィーさんは料理を食べに行こうとするが…




「おええええ~、何この料理…!?」


「うううう、そうね」

「何、この臭い…」


私達は鼻をつまみながら言う。

料理は、全て腐っているのか…

見るとどれも腐り果て、何十年放置したかと思う程…埃を被って、クモの巣まで張ってありました。


おえええ、残飯でも喜んで食べるあのゼニィーが食べられない程、傷んでいますね。





「てかゼニィー、勝手に行動しないでよ!!」


「ゴメン、ゴメン~!!」






「んっ!!」(私)



(この場所は一体…!?)



それで私はある場所で立ち止まります。


私がゼニィーを追い掛けて行った先には-



小さいショーケースが置かれていた。ショーケースの周りにはポールパーテーションが置かれていまして、周りには人集りが出来ている。うう~ん、これはショーケースの中に何やら高価な物が入ってそうな雰囲気ですね。



ショーケースを見ると-


中には、液体が入っているのでしょうか。

その液体の中には、プカプカと綺麗な赤い玉が浮かんでいる。それはルビーの様に赤々と美しく輝いていました。



これは凄く綺麗ね。

見とれてしまう…




「これは血の宝玉だね~!!」


私がウトウトしながら眺めていると、ゼニィーは言う。



「血の宝玉-!?」

「何、その物騒な名前…」




「血の宝玉は、巨大スライムの目から作りますよ~!!」


「巨大スライムは雑食で勿論人間も食べるんだけど、餌として血も好んで吸収するんだよ。そして一気に沢山の血を吸収させるとね…吸収しきれなくなった血がどんどん目に溜まり、その内に充血した様に目が真っ赤に染まるんだよ~!!」




「それは沢山の血を吸えば吸う程ね…」




「ルビーに負けない様な、いやそれ以上の輝きを持った美しい結晶になるんだよね。それが『血の宝玉』と呼ばれて、装飾品としても人気だし、呪具を生み出したりする闇魔法の儀式素材としても、とても優れていてね。どこの場所でも重宝されていますよ~!!」



「マ、マジすか…」




「ここまで綺麗な赤い目は、軽く見積もっても数百人分の血は吸っているだろうね。この輝きを生み出す為に、数百人が犠牲になった感じかな~!!」



「そ、そんなに血を吸っているの!?」




「因みにね…」

「余談だけど、この『血の宝玉』は66個以上、同じ場所に置いてはならないと言う決まりがあるんだ。沢山の『血の宝玉』を同じ場所に置いてしまうと、稀に大国を滅ぼしかねない恐ろしい魔獣を呼び寄せてしまうからなんだ。だから、殆どの国は複数の『血の宝玉』を所持する事を禁じていますよ~!!」



「いや-」

「1つでも持ちたくないわ、こんな物騒なもの!!」



「もしかして、これがオークションの目玉商品じゃないかな。目玉だけにね~!!」





「…」(私)


まぁ…これ程の曰く付きの1品なら、そう思うのが妥当ですが。




そう思うたくはなりますが。



(ゴクン-)



だが、しかし-



周りを良く見ますと…

大広間の闇に紛れて、そんな似た様なショーケースがズラアア~と沢山並んでいた。キャロットさんの話から、何となく想像はしていましたが…覚悟はしていましたが…これは圧巻な光景ですね。


まさに血塗られたオークションですね。







「イブ、これ全部壊すんでしょ!?」

「良かったね、壊し放題だね~!!」


「そ、それはそうだけど…」




オロオロとしながら言う私。

そう言えば、結局サーラちゃんはどこに…

いや、その前にリルお姉様もここに入ってきているはず。あっ、そうだ。マーシャルさんの事も忘れていた!!



((もう、どうしようオオオオ~!!))






【【【レディースアンドジェントルマン!!】】】

【【【これより、魔術品オークションを始めま~す!!】】】




【【【最高で狂喜な一時を共に過ごしましょう…】】】





((ええええド、ドップス-!?))



大広間の壇上には-

マイクを持ったドップスが立っていた。





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