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160話 ギルドの秘密





巨大な掲示板を興味津々に見つめる私でしたが…



《依頼》


町に落ちている小銭を探せ。


~推奨~

誰でも良いよ。


~報酬~

飴玉

※カエルの場合もあります。





「…」(私)




「えっ、何この依頼…?」


私は唖然とします。

そこには変な依頼が混じっていました。



「あ~、それそれボクが書いた依頼だよ~!!」


「えっ、ゼニィーが!?」


「そうそう、受付の所に依頼用紙があったから、ボクからの依頼をちょっと考えて書いてみました~!!」




「「いや、遊ぶなアアアア!!」」



私はゼニィーに怒るが…





「ジロジロジロ…」 「ジロジロジロ…」



  「ジロジロジロ…」





「…」(私)


アアア~しまった。また、やってしまった…!!

すぐに我に返る私。ゼニィーの姿は周りからは見えないのです。つまり、私は群衆のど真ん中で、いきなり1人で大声を出した人に見える訳なのです。



周囲の人は-


突然、大声を出した私の事を気まずそうに見ています。私は苦笑いを浮かべて…その人達に手をフリフリと振る。




「ハハハハハ…」


((ちょっと、ゼニィ~!!))




「そうそう、イブ用の依頼も考えてみたよ~!!」


「えっ、私用の…!?」





《依頼》


王国を巣食う3つの宝具を破壊せよ!!



~推奨~

☆×6以上

        

~報酬~

500G





「…」(私)




「へぇ~面白いわね…」


「ねぇ、そうでしょ、そうでしょ~!!」



「でも報酬が500Gって、安過ぎない!?」

「ボランティアじゃないんだから…」


「ボクにとったら大金だよ~!!」



「ハハハ、そうなのね…」


う~ん、どうやら…


ゼニィーは冗談で無くて、本気で考えて出した報酬みたいですね。私は…また苦笑いを浮かべる。


とりあえず、この依頼書は回収がてらに…初めてギルドに来た記念として取っておこうかしら。そう思い、私はポーチに変な依頼書達を仕舞います。





「ワイワイワイワイ-」


「ガヤガヤガヤガヤ-」





それで本題なんですが-





巨大な掲示板には数十、数百…


まぁ、とても沢山の依頼がある訳なのですが、どうやって依頼を受けるのかしら。システムが良く分からない。私的には、世間から英雄の上の存在とされる『シックススター』である事がバレてしまうので、ギルドカードを提示は避けたい所ですが…


ギルドカードが無くても、依頼は受けられるのかしら…!?




(ううう~ん…)





「おやおや、どうしたんだい…」




「!!」(私)


私が巨大な掲示板を見上げながら、考えていると…

黒いローブを全身に纏った年配のお婆さんが、私に話しかけます。


このお婆さん何か、とても怪しい格好ですが…

まぁ、丁度良いですから質問してみましょうか。



「お婆さん、こんにちわ…」

「私の名前はイブと言います」




「ほう、そうかい、イブちゃんかい…」

「わたしゃの名前はザアアアアア-と言う」




「…」(私)


んっ、お婆さんの名前が良く聞き取れなかった。

周りの音が、うるさ過ぎて聞こえなかったのか…

まぁ、こんなお婆さんの名前なんて聞き返さなくても良いかな…




「お婆さん、あの~」

「それでなんですけど、私…ギルドに来るのが初めてでして、どんな感じで依頼を受けるんでしょうか!?」


「ほうほう、ギルドに来るのが初めてなのかい…」

「それじゃあ、まずはギルドカードを作らないといけないね。ギルドカードが無いと、依頼は受けられないよ」





「…」(私)





「やっぱり、ギルドカードが無いと依頼は受けられないんですね…」





「うん、そうなんじゃよ~」

「この王国では…基本的に依頼を受けるには、ギルドにてギルドカードの提示が必要なんじゃよ。まぁ、国によっては簡単な依頼ならば、ギルドカードが要らない所もあるにはあるが、ヴェル王国はその辺の決まり事には、特に厳しくてな…」



「へぇ、そうなんですね…」




「因みに…」

「サウスヴェルみたいな大きな町で仕事をする場合にも、ギルドカードが必要なんじゃぞ。そして…その様な仕事は全てギルドが紹介している。この王国のギルドは、どちらかと言うと依頼よりも一般の職業の紹介の方が多いかもしれないのう。と言うのも、この王国の騎士はとても優秀でな。害獣討伐は殆ど騎士が行っているからのう…その様な依頼は少ないんじゃよ!!」



「ふ~ん…」


それじゃあ…

地球で言うとハローワークみたいな感じでしょうか。職業案内所みたいな感じ。




「とりあえず…」

「仕事をするにも依頼を受けるにもな…」

「ギルドカードの提示が必要なんじゃ。これはこの王国の法律で、しっかりと決められている事で…王国が国民を守る為にそうしているんじゃ!!」


「ギルドカードは只の仕事をしたり、依頼を受けたりする為のカードでは無い…身分証としても使われるとても大切な物なんじゃ。もし雇用主(依頼主)が、雇用者(依頼者)を不当に扱ったりした場合や…その逆に雇用者が、雇用主に対して危害や損害を与えたりした場合は、王国とギルドがその雇用主や雇用者に罰則を与える事になっておる」




「ふ~ん…」


つまり、仕事と依頼は…

雇用主と雇用者同士でトラブルが起きない様に、王国とギルドが仲介する事で見張っていると言う感じなんですかね。これはお互いに悪い事は出来ないですね。




「ギルドカードは受付で購入が出来るぞい…」

「価格は100万Gじゃ!!」






「ふ~ん、100万Gなんですね…」






「…」(私)







「「いや100万Gオオオオ!?」」

「「ええ、ちょっと高くないですか!?」」


突然のお婆さんの言葉に、私は驚愕する-

確かにギルドカードの材料である専用の魔石は希少で高価ですけど、そこまで高くなかった様な…値上がりしたのでしょうか!?



いやいや-

と言いますか、前世の私が健在だった頃は王国が無料で国民に配布してましたけど…国民でギルドカードを持っていなかった人は全くいませんでしたけどね。


(う~ん、これは一体!?)




「イブちゃん、どこかの村から出稼ぎに来た若者かいな!?」


「ヴェル王国は貧しい村も多いから、貧しさを抜け出そうと大きな町に出稼ぎに来る若者も結構いるんだよね。彼らは皆、ギルドカードを持っていないんだよ…」


「イブちゃんも、その内の1人なんだね」






「は、はぁ…」(私)





「まぁ、ギルドカードは100万Gですからね」

「そりゃ、貧しい村から来てるんなら…尚更100万Gなんて大金払える訳がないし、当然持ってる訳がないと思いますけど…」


当たり前の事を染々と言うお婆さんに…

私は頭を傾げながら言いますが、しかし-




「「んっ!?」」



「でも、それだとお婆さん…」

「ギルドカードが無いのならば、折角大きな町に来たのに依頼を受けたり働いたりする事なんて出来ないんじゃないんですか。出稼ぎなんて出来ないじゃないんですか!?」



お婆さんの話しが矛盾している事に気付いた…私は言う。




「いや、それは問題ないぞ!!」

「出稼ぎに来た彼らの場合はじゃな…」


「ギルドカードの提示が必要ないギルドとは別の職業案内所…通称アンダーギルドと呼ばれる所で、依頼や仕事を探す事が出来るのじゃ。依頼や仕事を紹介する点においては、ギルドもアンダーギルドもやってる事は全然変わらないんじゃぞ~!!」





「はぁ、そうなんですか…」



(アンダーギルドか…)


まるで、ギルドの下位互換の様な呼び方ですね。

ふ~ん、でもなるほど…

そこならばギルドカードの提示が必要は無いのですね。それじゃあ…私もそこで依頼とか仕事を探してみようかしら。


良い所があって良かったわ!!




「…」(私)





「「「!?」」」



いやいやいや-

ちょっと、待って下さい!!

つい先程、お婆さんが言いましたけど-

依頼を受けたり仕事をするには、ギルドカードの提示が必要じゃないんですか。それは王国の法律で厳しく決まっている事みたいですし…


アンダーギルドは、ギルドカードの提示は必要がないと言いましたけど…それって、この王国的には違法の事なんじゃ!?


私は頭が混乱します。






    

「全然、合法じゃぞ」





「えっ、そうなんですか!?」


お婆さんは…私の混乱を察したのかの様に言う。

そして、ゆっくりと私に近付いて来る。



(えっ、お婆さん…!?)





「そうそう…」


「依頼や仕事をする際はギルドカードの提示が必要である…この事はギルドカードを持っている者だけに適用される法律なんじゃよ。ギルドカードを持っていない者には適応されないのじゃ。だから、ギルドカードを持ってない者がアンダーギルドで依頼や仕事を探しても問題は無いんじゃよ。逆にギルドカードを持っている者が、アンダーギルドに行ってしまうと違法になるがな…」



「ええと」

「そ、それはつまり…」


(((どうゆう事なの、お婆さん-!?)))    






【そもそも…】






「法律とは人に適用されるのじゃ…」


「人ではない者には、法律は適用されない」

「ギルドカードを持っていない者…すなわち身分を証明出来ぬ者は、この王国では人として扱われない…いない存在として扱われる。例えるならば、その辺に落ちている石ころと同じ扱いなのさ!!」



(((ええええ、石ころっ!?)))





【【【【【そうだからなアアアアアアアア~!!】】】】】


【【【ギルドカードを持ってない者は雇用主から、どんな不当な扱いをされ様が、身を切り刻まれ様が、殺され様がギルドや王国は何も気にしない、全く助けない、1ミリも動かないのさアアアアアア~!!】】】


【【【出稼ぎに来た彼らの中で、無事にギルドカードの取得までたどり着くのは10人に1人と言われている。残りの9人は行方不明になっておるぞオオオオ~!!】】】



【【【【【ああ、残りの9人は一体どこに消えてしまったのかね~ハハハハハハハハハハ!!】】】】】




((ヒイイイイイイ、お婆さんどうしたの~!?))


お婆さんは突然、悪魔の様な口調と禍々しい顔で私に叫んだ!!


私はお婆さんの威圧に泣きそうになりながらガタガタと震えてしまいます。


それと気になる事として…

お婆さんはギルドの人混みのど真ん中で大声で叫んだのにも関わらず、周囲の人達は何も気にしてない様子でした…一体どうゆう事!?(泣)





「ああ、ごめんよ…」

「怖がらせてしまって、すまなかったよ」

「少しオーバーに言い過ぎたのう…」

「10人に1人は昔の話さ!!」



「今はそんな事ないぞ…」


「基本的に町の人達は出稼ぎに来た若者に対して、暖かく出迎えてくれるからのう。町の人達は皆…ギルドカードの購入費用を手助けしようと、積極的にアンダーギルドで仕事や依頼を提供しておる。じゃがだ…何かあった場合は本当に王国やギルドが助けないというのも事実だからのう…その事を利用して出稼ぎに来た若者を罠にはめようとする輩もそれなりにおる。だから…アンダーギルドで仕事や依頼を探す際は、怪しい仕事や依頼を選ばない様に注意が必要と言う事…なのじゃよ!!」



「そ、そうなんですね」


普通のお婆さんに戻って安心する私。

まだドキドキが止まりません。お婆さんの迫真の演技は凄過ぎます…



「ここのアンダーギルドに行くが良い」

「ここのギルドマスターは親身になって色々と相談にのってくれるぞい。そして、その人に合った安全な仕事や依頼を紹介してくれるぞい」



「あ、有難うございます」


お婆さんは私に地図が書いたメモを渡します。

私はジーっと地図を眺める。

お婆さん…とても親切ですね。

分からない事を色々と教えて貰い、感謝してます。




「…」(私)




「あっ、そうだお婆さん!!」

「もう1つ聞きたい事がありま…」



「「あ、あれ!?」」







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