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66話 反撃








          【チャリ~ン…!?】






【あら、やだ。私、今…小銭を落としたかしら?】




「ガサガサガサガサガサガサガサガサ…」



カコシは、攻撃を止めて…しばらく、辺りの草原を探し始める。






「ガサガサガサガサガサガサガサガサ…」



【困ったわね…草原だと、見つかりにくいわね】






             【…】






             【…】






【いや、そもそも、草原に小銭が落ちる音は響かないわよね】




【【!!】】


【【いやいやいやいやっ―】】

【【というか、そもそも私、小銭なんて持ってないわよ!!】】




      


    【【【ハっ、私は一体何をオオオオ!!】】】





カコシは、我に返って言う。








「「あれは銭の魔法の幻の奥義 “貴方、今…小銭を落としましたよ” だアアアア!!」」



この魔法は、小銭を落としたかもしれないと相手に錯覚させて、攻撃を打ち消す技です。



「「凄い、凄いよ!!」」


ゼニィーは、目を輝かせて言う。





(なんて、発想がくだらない技なの…)



ルイアは、呆れ顔でそう思っている感じがした。






「イブが、この魔法を使ったの~!?」


「ふっ、私じゃないわ。まだ、ちゃんと出てくる前になのにね…闘いたくてウズウズしてしているのかしら!?」



カコシの周りには、5つの巨大な魔法陣が浮いていました。

そして…今度は、私が空に向かって、高々に片手を突き立てます!!









     

      ― じゃあ、今度はこっちの番だ!! ―









「「「「「「「「「「バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―ン!!」」」」」」」」」」


「「「「「キラララアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―ン!!」」」」」




直後―


私の周りに凄まじい魔力が渦巻き、私の周囲一帯が黄金色に煌めく。

その爆誕した魔力は、カコシが超高位魔法を発動させる為に、剣先に集約させた魔力を軽く上回っている事でしょう。そして、ヘリコプターが飛び立つ瞬間の如く、私の周囲には暴風が吹き荒れて、猛毒の雨を吹き飛ばした!!




「「「「「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ―!!」」」」」





         【むっ…く、来るわね!!】





カコシは、巨大な剣を構えて迎撃態勢に入る。私が集約した魔力の圧迫感は、カコシが警戒して身構える程であった。その魔力は、今…5つの巨大な魔法陣に分け与えられる!!







      ―さぁ、出てこい。5匹の犬の英霊達よ―








「「「「ワオオオ―ン!!」」」」 「「「「ワオオオ―ン!!」」」」




        「「「「ワオオオ―ン!!」」」」




「「「「ワオオオ―ン!!」」」」 「「「「ワオオオ―ン!!」」」」





それぞれの魔法陣から、青白い光を放つ巨大な犬が出現して、空高く吠えます!!




【【【なっ、この魔獣はアアアア!?】】】


【【【コ、コラッ、止めなさああい!!】】】




「「「「「ピシャアアアアアアアアアアアアア―ン!!」」」」」


「「「「「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!」」」」」



そして、けたたましい咆哮と共に白雷が降り注ぎ、異空間全体を震わせる!!



万雷の拍手の如く降り注ぐ雷は―


先程の攻撃で広範囲に散ったカコシの猛毒を、瞬く間に雲散霧消させた。





          【くっ、よくも―】





「「「「「ピシャアアアアアアアアアアアアア―ン!!」」」」」


【【【【【ウギャアアアアアアアアアアアアア~!!】】】】】




「「「「ビリビリビリビリビリビリビリビリビリっ!!」」」」




ワンちゃんの魔法を阻止しようとしたカコシに…

巨大な矛の様な雷が直撃する。

カコシは、ビリビリと痺れている!!




「「あれは、光と雷の超高位魔法 “女神の白雷大矛” だアア!!」」 

「「この広範囲に雷を降り注ぐ魔法と言い…通常攻撃が、すでに超高位魔法級だ。この魔獣は、一体何なんだアアアアアアアア!!」」


ゼニィーは、熱狂しながら言う。

ゼニィーの解説の熱気も、頂点に達していました。




この光属性の雷は―


闇の魔法の打ち消したり、弱体化する効果があると言う。

現に、雷の直撃を受けたカコシの鎧は、細かいヒビが入っていました。


これは、鎧の強度が落ちているのでしょうか…?








  【【【くっ…こんなヒビ割れ、すぐに修復出来る…】】】





          【のかなぁ…?】





「ジロジロジロジロジロジロ…」(5匹のワンちゃん達)



10数秒で、周りの掃除を終えた5匹のワンちゃん達は…


今度は、魔法陣の中心にいるカコシをしっかりと見定めていた。そのワンちゃん達の目は、まるで『修復している余裕なんて…あるんですか?』と言っている感じがした。そして、カコシは『これは、流石にまずいんじゃないか…?』という空気を察していた。







           ((そう、私は―))







果ての魔法で “魔獣召喚の魔法 通常召喚” を強化していました。






    ― 魔獣召喚の超高位魔法 果ての咆哮 ―





この魔法で異界から、この5匹のワンちゃんの英霊を召喚したのです!!

このワンちゃん達は、あらゆるものを噛み砕いて食べてくれます。特に大好物なのは、呪薬らしいです。そして…趣味は、悪魔を追い回す事らしい。




「…」(私)




私が普段…召喚が出来る魔獣は、魚や小動物くらいですが。

この果ての魔法のお陰で特別に、その技を極めた―

更に、その先の姿を見る事が出来ました。



本当ならば…



一体、どれくらいの修行を積んで、魔法を極めれば、この魔法を使える事が出来るのでしょうか。そして、あとですが…使った際の反動も気になる所でありますが、今は置いとく事に。







「「「「「ピシャアアアアアアアアアアアアア―ン!!」」」」」


「「「「「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!」」」」」






「う~ん…」


降り注ぐ雷を眺めながら、私は悩んでいました。



「名前は、どうしましょうか…?」



「犬が5匹いるから…そうだっ!!」

「5犬ジャー(ゴケンジャー)にしましょう!!」


私は、召喚したワンちゃん達をそう呼ぶ事にしました。




「そのネーミングセンス、安直すぎない…?」


ゼニィーは、言う。




「…」(私)



貴方に言われたくないわよ、ゼニィー。

まぁ、私は子供の頃に戦隊物の特撮が好きで、よく見ていたからね。

ちょうど、5匹いるし、それっぽい名前にしてみました。



本当は1匹ずつ、名前を考えたいのですが…

今は、時間がありませんでした。





だって、召喚時間は3分ですから!!


行きなさい、ゴケンジャアアー!!







   【【【【【ウオオオオオオオオオオオオオ―!!】】】】】


  「「「「「「「ガッキキキキキキキキキーン!!」」」」」」」




カコシが振った巨大な剣を、1匹のワンちゃんが喰らいついて受け止めて―その隙に、他のワンちゃん達がカコシに喰らいついて、カコシの身体をどんどんと削っていきます。



ワンちゃんが―





1匹ですと、劣勢でした。

カコシの力が上回り、負ける可能性が濃厚でしょう。



2匹ですと、互角でした。

カコシの力と拮抗して、消耗戦が予想されます。

なので、召喚時間内に決着をつける事は不可能でしょう。



3匹ですと、優勢です。

ワンちゃん達がカコシの力を上回り、召喚時間内に勝てる可能性も高いです。しかし、黒く蠢く全てのカコシを掃除する事は難しいでしょう…



4匹ですと、圧勝です!!

カコシの力を圧倒して、3分という短い召喚時間内であっても確実に勝てるでしょう。そして、黒く蠢く全てのカコシもほぼ完璧に掃除が出来るでしょう!!









          そして、5匹揃えば―









「「「1ミクロンもルイアが作った呪薬を残さず、喰らい尽くしな!!」」」







  「「「「「「「ガッキキキキキキキキキーン!!」」」」」」」





カコシもー


必死に抵抗しようとしますが、5匹の阿吽の呼吸の如く華麗な連携は、出来立てでまだ動きが慣れていないカコシを軽々と翻弄させる。しまいには、5匹のワンちゃんの動きに全く付いて来れなくなっていた。



気付けば―


カコシの身体は、もうボロボロだ。




「準備運動が、足りなかったんじゃないの…?」


私は一歩も動く事は無く、カコシに言います。




【【【【【まさか、こんなはずじゃアアアアアアアア!!】】】】】

【【【【【これは、一体何なのよオオオオオオオオ―!!】】】】】


【【【【【【【クソがアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア~!!】】】】】】】



カコシはもう一度、超高位魔法を発動させようとする。

ボロボロになった大きな剣の切っ先に、また禍々しい光が集まっていく。そして、その攻撃の標的は、ワンちゃん達では無く―



私であった。


すばしっこいワンちゃん達は…攻撃が当たらないので、召喚主である私を標的にしたのでしょう。







            「フフフフ…」


   「まるで、追い込まれた小動物みたいな単純な考えね!!」






「「「じゃあ、こっちも行くわよー!!」」」

「「「はい、合体!!」」」



5匹のワンちゃん達は、1つに合体して―


更に、巨大なワンちゃんになった。


そして―


両者は、真っ正面からぶつかる!!








「「「「「「「「「「ヴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―ン!!」」」」」」」」」」











             「…」









             「…」









             「…」









カコシは―




振りかざす巨大な剣ごと、その身体を大きく噛み砕かれていた。


身体には、ポッカリと大きな穴が開いて…徐々に、その身体が崩れ始めていく。







  「「「「「「「パアアアアアアアアアアアアア―」」」」」」」





     「キラ…」  「キラ…」  「キラ…」





       「キラ…」   「キラ…」





    「キラ…」   「キラ…」   「キラ…」






そして…



カコシが捌けた空は明るくなり、異空間の闇夜に光が差し込んでいた。




それは―



燃え盛る戦火の灯火では無く、まるで…



朝陽の様な、柔らかく暖かい光でした。






黒く蠢いていた猛毒のカコシは、草原の草々に滴り落ちる水滴に変わり、差し込む光を止めどなく、終わりなく…色々な方向に反射させて、キラキラと煌めいていました。






「ヒュウウウウウウウウウウウウウウウ―」



(う~ん、とても爽やかで気持ち良い風ですね…)




草原を吹く風は、まるで朝一番に吹く風の様に、新鮮で清々しい空気を運んで来ます。




私は、そんな風を全身に浴びながら―



軽やかなスキップをして、草原を行く。





      「ルンルンルンルンルンルン―♪」



      「テクテクテクテクテクテク…」







           「…」(私)






          (そうそう…)



私は…さっきまで、ここで何をしていたのでしたっけ?






「!!」(私)



そうです。カコシに完全勝利したのでした。




「はい、清算(討伐)完了で~す」




私は特に喜ぶ事は無く、澄ました顔でそう言った。














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