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158話 残された声






「ワオオオオオオオオオオ~ン!!」


「ワオオオオオオ~ン!!」


 




「はい、お疲れ様~!!」

「ああ~今日は疲れたアア~!」


「うん、そうだね~!!」



私達は町の宿屋に泊まっていました。

リルさんから貰ったお金を有り難く使わせて頂いてね。



窓の外は-

もう、すっかりと暗くなっています。

椅子に座りながら、ダラダラと窓の外を眺める私。



「ファアア~ア…」



次第に-

眠くなり、大きなアクビをします。


それで気になる部屋の中ですが…

簡素なベッドや机や椅子くらいしか置いてない殺風景な部屋でした。まぁ、宿代は…格安の所を選んだので、仕方がないと思いますけどね。


泊まれるだけ、有難いです。


あ~あ、でもでも、ここサウスヴェルには…

有名な高級リゾートホテルが多数あるみたいなので1回は泊まってみたいですね。


いやいや-

いつも、野宿をしている私にとったら…

屋根があるだけで、そこはもう高級リゾートホテルと変わらないのですよ!!





「ハハハハハハ~!!」






「そうそう、イブ~!!」


窓辺に座りながら言うゼニィーさん。

手には、私が廃倉庫で人形から貰った…

古びた鍵を持っていました。



「どうしたの、ゼニィー!?」



そして…

ゼニィーは珍しく真剣な顔をしています。




「ボクは今…」

「廃倉庫で、不思議な人形を見た時の事を考えていたんだけどね…あれはトリック魔法だったと思いますよ~!!」


古びた鍵を見ながら言う、ゼニィー。



「ふ~ん…」

「トリック魔法って、何なの…!?」



「えっとね、トリック魔法と言うのはね~」







「…」(私)






ゼニィー曰く-


トリック魔法とは、あらかじめ特定の場所に魔法陣などを仕掛けておき、その発動領域内に誰かが入った時に、発動する魔法との事です。


このトリック魔法で…


一番、シンプルな例とすれば罠魔法であり、魔法陣を出現させて、その魔法陣に近づいたり…踏んだりした相手に魔法で攻撃すると言った感じですね。


そして、このトリック魔法は高位になればなるほどに…


発動領域は広範囲に広がり、更に発動させる対象も指定が出来るなど、より高度で複雑な仕掛けになるという。




「…」(私)



「あ~、そう言われてみれば…」

「私も、昔…畑をしていた時に、畑が荒らされない様に畑の周りとかに魔法陣を仕掛けていた事があったわね。指定した獣や害獣だけにしか、発動しない設定でね。だから…誰かが間違って、魔法陣を踏んでしまっても大丈夫なのよね~」


何か…思い出す私。


 

「そうそう、そんな感じだよイブ~!!」

「それで、あの廃倉庫の件で考えてみるとね-」





「…」(私)






その仕掛けの発動領域は-




サウスヴェルの魚港付近



俗に『徘徊人形の葬路』と呼ばれる一帯。



仕掛けの内容は-

幽霊か幻覚か分からない、得体の知れない人形が出現して、廃倉庫まで案内してくれる。そして、そこで古びた鍵を託すと言った感じでしょうか…



あと発動させる対象ですが-




「これは憶測だけど…」

「シックススターの人である可能性が高いかもね。町の人達には、鍵を託そうとしない事を考えるとね~!!」


「シックススターの人なんて、そうそういないからね~!!」



「ふ~ん、なるほどね…」

「じゃあ、シックススター級の強い人に鍵を託したかったのかしらね!?」



「うん、そうかもね~!!」



「へぇ…」


(私、全然弱いんだけどね)




「んっ、でもさ…」

「一部の町の人は、人形の姿を見ているのよ」

「町の人達にも仕掛けが発動しているんじゃないの…!?」



「それは…更に別の仕掛けがあったんじゃないかな~!!」



「別の仕掛け…?」



「これも憶測だけどね~!!」

「仕掛けた魔法陣を維持するのには、魔力が必要だからね。その魔力の補充は、他者から魔力を貰いながら行っていたんじゃないかな~!!」

「きっと得体の知れない人形を操って、魔力を貰えそうな人を探していたと思いますよ~!!」




「ふ~ん、そうなんだ…」

「凄い高度で、複雑な仕掛けね」



「かなり高位のトリック魔法だからね~!!」

「それで…港で誰かが行方不明になったり、殺されたりする話を聞く限りね…大方、他者の殺して生命力ごと魔力を奪い取っていたのかな~!!」




「「えっ、怖い!!」」




「まぁ、とりあえずね~!!」

「誰かに鍵を渡すと言う、本当の役目を終えたから、もう人形はいなくなるんじゃないかな~!!」



「そ、そうなのね…」

「でも、そこまでして、託したい鍵って一体何なのかしらね!?」


「凄く気になる」

「あっ、もしかして…」

「財宝が入っている宝箱の鍵とかかしら!?」



「さぁ、それは分からないよ~!!」




       

「ふ~ん…」




「フフフフ…」

「じゃあ、何の鍵なのか突き止めましょうか!!」

「魔術品オークションをブッ壊すついでにね!!」

   

「「ハハハハハハ~!!」」



それで鍵の事はさておき…

私は、それなりにテンションが上がっていました。

だって、明日はギルドに行くんですからね。

そこには依頼が沢山ある事でしょう。どんな依頼があるか、とても楽しみです。


あっ、そうそう…

それとリルさんが言ってましたが…ギルドには依頼の他にも、多種多様の仕事の紹介もしているとか。地球で言う所の、単発のバイトもあるみたいですね。魔術品オークションまで、まだ時間があるし、そうゆうのをやってみても良いかもね。


「ゼニィー!!」

「明日、待ちに待ったギルドに行くわよ!!」


「やっと、ギルドに行くんだね~!!」


「ええ、そこで沢山Gを稼ぐわよ~!!」


「それは楽しみだね~!!」




「「ハハハハハハ~!!」」

       

「「はい、カンパアアアア~イ」」


私達は、どこかで買った缶コーヒーで乾杯します。

明日に向けて、今日はこれを飲みながら終わりましょう。






          




     






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