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怪しい町の冒険(part2) ~質問(前編)~

※宝具はどこにあるでしょうか…?








「アナタの名前は、何て言うの…!?」


「私の名前は…山、いやイブです」


思わず、地球での名前を言いそうになる私。




「じゃあ、アナタの歳はいくつなの!?」


「え~と、160歳…」

「いや、じゃなくて35歳…じゃなくて20歳です」


どの歳を言うか、迷う私。

色々と設定された歳がありますので…

因みに35歳は、地球にいた頃の私の歳ですよ。



 




「ギルドカードは持っているの!?」





「ギルドカードですか…」



「…」(私)


私のギルドカードは、星が6つも刻まれているシックススターだからね。シックススターは、世間からは英雄の上の存在と呼ばれています。


この事をリルさんに言ったら…


凄い驚かれる。いや、その前に信じて貰えないでしょうね。なので、今はとりあえず…



「いや、持ってません」



私はモジモジしながら言います。




「そうなのね…」

「お金は持っているの!?」



「いや、持っていません」


これはハッキリと言う。




「じゃあ、住んでいる所はどこなのかしら!?」


「え~と、東京の板橋区です」


「「えっ、板橋区ってどこ!?」」


「あっ、間違いました…」

「え~と、この辺です!!」



「そ、そうなのね…」

「イタバシクか、聞いた事が無い地名だけど…」

「じゃあ、家族とかはいるの!?」


「親とかは…?」

 


「…」(私)


また言葉に詰まる私。

う~ん、この身体…イブの実年齢は160歳なので、流石にイブの親御さんはもう生きてないですよね。イブの両親に関しては、殆んど記憶に残っていませんでした。


ですが、もしかして-


キャロットさんも、魔法薬で人間の寿命を突破して生きていましたから、必ずしも死んでいるとは言い切れないかな。なので、今はとりあえず…




「多分、いません…」



「「えっ、多分なの!?」」

「そ、そうなのね…」

「う~ん、困ったわね」



私の曖昧な返答に、困っている様子のリルさん。

フフフ、困っている顔も凄い美人ですね。


ですが…私は、わざとリルさんを困らせている訳ではありませんよ。






「ザアアアアアアアアア-!!」





部屋の窓からは-


魚港の滲んだ灯りが、ポツポツと見える。

先程の雷雨はピークを越えたみたいですが、まだ外は雨がパラパラと降ってそうですね。


今日は、町中で野宿をしようとしていましたから…

ここに来られて、ホっと一安心です。


安堵しながら、外の景色に目線を向ける私。




「…」(私)




そんな私は…


今、どこにいるのかと言いますと。

リルさんの部屋にいました。リルさんは、私が迷い込んだ人形の倉庫で出会ったフードを被った女性ですよ。


フードを取った彼女は-

黒髪のショートヘアーで顔立ちもとても良く、スタイルもモデルの様に抜群な容姿端麗の美人さんです。最初、見た時は…女優さんが映画の撮影をしているかと思いましたからね。



そして、更に驚いた事に何とリルさんは騎士みたいです!!…そういえば、この世界に来てから現役の騎士に会うのは初めてですね。


なので、ちょっと感動。



それで先程は…


魚港の関係者や、ここサウスヴェルにある大きな商会『トコナッツ大商会』の人達と一緒に、魚港周辺の見回りをしていた所だったみたいです。

そして、リルさんに助けられた後、私は…リルさんが暮らしている騎士宿舎の彼女の部屋まで案内されていました。



そこで、リルさんから色々な質問を受けていたのです。




(ふ~ん…)



部屋はログハウスみたいな感じで、壁や床は薄茶色一色の木で作られている。部屋の広さは、普通のアパートの1室分位でしょうか。

騎士の宿舎だけあって、建物の外観や内装はホテルの様に豪華ではありません。部屋の中も、簡素な机とか椅子とかベッドとか…必要最低限の物しか置かれていない殺風景な部屋です。


ですけど、ですけど…



んんん~、良い香りがしますね~!!






「イブ、緊張しているの~!?」



深呼吸をしている私に、ゼニィーは言う。

そんなゼニィーさんは、窓際にぬいぐるみの様に座っていました。


私はコクりと頷く。

だって、地球の頃の私は女性の部屋に入った事なんてなかったからね。自然とドキドキしてしまう(汗)




「イブ、イブ~!!」

「リルって言う人、多分…何も伝わってないと思うよ~!!」



(うう~、そんな事を言ったて…)


私は目線で、ゼニィーに助けを求める。



「ハァ…!!」

「じゃあ、適当に『近くの村から出稼ぎに来た若者です』とでも言っておけば。あと『お財布もどこかに落として、困ってます』もね~!!」



(あ~、それ良いね)


私はゼニィーに言われた通りに、リルさんに言います。





「なるほど、そうだったのね!!」




「…」(私)


リルさんは、納得したみたいです。



「それは大変だったわね」

「しばらくの間は、私の部屋を使っても良いけど…」


「えっ、良いんですか!?」

「有難うございます!!」


リルさんは優しいですね。

これからの宿をどうしようかと困っていましたけど…

これで問題は解決でしょうか。




「コンコン、ガチャン-!!」



「リル、ドップス様から電話よ」

「んっ…アラ、可愛い妹さんね!!」



私がウキウキしていると、別の女性騎士が部屋を訪ねてくる。



「い、妹じゃないわよ!!」


リルさんは照れながら、否定している感じでした。


「電話なのね!!」

「イブさん、ちょっと待っていてくれる」


「は、はい…」

「分かりました」



「…」(私)


そう言って、部屋から出ていくリルさん。

電話と言えば…宿舎の入り口に黒電話が置いてありましたけど、その事でしょうか。電話は共用みたいですね。まぁ、地球みたいにスマホがある訳では無いですからね。



「宿が見つかって、良かったね~!!」


ゼニィーは言う。


「そうね…」

「ゼニィー、私…リルさんとパーティを組みたいわ!!」


「「えっ、パーティーですか!?」」


驚くゼニィーさん。



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