147話 ヒーローの助け?
古びた倉庫の入り口-
私の目の前には、奇抜な組み合わせの4人が立っていた。
「おいおい、そこの君…」
「ここは立ち入り禁止ですぞ~!!」
まずは、豚の獣人が言う。
彼はシルクハットを被り、スーツで正装しています。そして、手には鞭を持っていますけど…猛獣の調教師でしょうか。
「「お前よオオオオ~」」
「「ここで何をしてたんだ、ええ!?」」
次に、筋肉質の男が言う。
その男の太くて逞しい腕には、堅気とは思えない入れ墨が彫ってあります。手には、歪な形をした刀を持っているし…
見た目はもう海賊の人です(汗)
「いけない子だね~!!」
「ほらほら、何をしていたのか正直に話してごらんよ。何もしないからさ~!!」
更に狼の獣人が、優しそうな笑みを浮かべて言う。
しかし、その笑みとは裏腹に…
大きな牙をギラリと、私に見せつけていた。
絶対、何かされそうな気がします(汗)
後の1人は、フードを被っていますが…
女性でしょうか、それも綺麗な-
「「おい、お前何か言えよオオオオ!!」」
「「!!」」(私)
これは、絶対に幻じゃないね!!
3人の怒鳴り声に、身が固まる私。
雰囲気的には…彼らはこの倉庫の所有者か何かでしょうか。勝手に、倉庫の中に入った私を咎めている。
((それなら、ちゃんと鍵を閉めとけよ!!))
と、とりあえず、勝手に倉庫に入った事を謝るか-
しかし、それを言って許してくれる様な連中には見えなかった。
とりあえず、誰か助けてよオオオオ(涙)
「フフフフ、何も言わないのか…」
「こりゃ、少しお仕置きが必要だな」
私は、どうするか迷っていると…
3人はニヤニヤしながら私を見つめます。
ヤバい、ヤバいよ~(汗)
あっ、そうだ…
こうゆうピンチの時は、アメコミだとスーパーヒーローが助けにくるんですよね。まぁ、スーパーヒーローは大袈裟だけど、漫画とかアニメだと、誰かが助けに来てくれる展開になりますよね。
そして、私は自然と-
怖い3人組の後ろに…隠れる様にいるフードの女性を見る。
改めて見ると…
彼女は、とても綺麗な若い女性でした。
フードを被っていても、美人さんだという事が分かります。
私は…彼女と、ふと目が合う。
あっ、私を助けてくれるスーパーヒーローでしょうか。そんな気がする私。私は目で『助けて!!』と合図を送ります。
しかし-
(プイ-)
目を逸らされました。
(((ガ~ン!!)))
「…」(私)
まぁ…スーパーヒーローなんて、アニメや漫画の話しですからね。スーパーヒーローは大袈裟だけど、アニメや漫画ではピンチの時に誰かが助けてくれるというのは、お決まりのパターンです。
しかし、これは現実だ-
現実は、ピンチの時でも誰も助けに来ない。
大抵の場合は、そのまま闇の中に消えていくだけです。
そう-
地球の頃の私の前にも…
生きていく事が、ピンチになった私の前にも…
結局、スーパーヒーローは現れなかった。
アメコミが好きで、スーパーヒーローが好きで…
飽きる程、読み漁っていた私。
いざ、現実に戻った時、現実にはヒーローはいない事を知り、幾度となく涙を流し傷心していたものです。
私は、また何を空想しているのでしょうか。
「ハァ…」
「イブ、イブ~!!」
「こうゆう時こそ、剣を構えれば良いじゃないの~!?」
落ち込んでいる私に、ゼニィーが言う。
「…いや、コイツらに剣で勝てるわけないでしょ。それに変に抵抗したら、罪人で捕まって、打ち首にされてしまうかもしれないわ…」
「いやいや…」
「これから、魔術品オークションを嗜む人が何を言っているの~!?」
ゼニィーは、呆れて言う。
(あっ、それもそうか…)
「まぁ、でも…」
「イブのその考え方も良いかもしれないね~。魔術品オークションの前までは、大人しくしていた方が動きやすいからね。それならば、謝って許して貰ったら~!?」
それでゼニィーは提案する。
「でも、謝った所で許してくれるかしら…!?」
「じゃあ、土下座でもしたら~!?」
「ゼニィー…」
「貴方には、プライドと言うものが無いの!?」
私はゼニィーに呆れながら言う。
「ボクも、一緒に土下座するからさ~!!」
「…」(私)
「「いやいやいや-!!」」
「「アンタは人から姿が見えないから、ダメージ受けるのは私だけだろオオオオ!!」」
怒る私。
「「そもそも、アンタが精霊の国とか…変な場所に電話をしなければ、こんな事にならなかったのよ。今頃は、晩ご飯を食べて、宿屋の温かい布団で寝ていた所なのに…アンタのせいで、予定が狂ってしまったわアア!!」」
「「コラアアア~!!」
「「ボクの故郷を変な場所って言うなアア-!!」
「「それだったら、地球ってなんだよ。そっちの方がずっと変な場所なんじゃないのオオオオ~!!」
「「地球を変な場所って、言うなアアアア-!!」」
「「ガミガミガミガミ-!!」」
「「ガミガミガミガミ-!!」」
私は、今まで溜め込んでいた思いが漏れ出してしまったのか…感情的になってしまいます。
しばらく、喧嘩をする私とゼニィーでしたが…
「何だ、コイツ…」
「頭がおかしいのか、面倒くせえな」
「それに良く見たら、ガキじゃねえか!!」
「つまんねぇ、つまんねぇ…」
「「おい、リル-!!」」
「は、はい!!」
「このガキの対応はお前に任せる」
「遠い場所にでも、連れて行って捨てておけ!!」
スーツを着たスタイリッシュな豚さんは、フードの女性に言う。
「そうだ、リルよ…」
「お前、弟子が欲しいと言っていたよな」
「コイツなんて、良いんじゃねえか!?」
更に提案する豚さん。
「ハハハハハ!!」
「そりゃ、面白れえなアア!!」
「「ハハハハハハハハハ~!!」」
「…」(私)
奇抜な3人組は、笑いながら闇の中に消えていきます。
ふふ~、何だかんだで切り抜けましたね。
まぁ、特に何かした訳ではないんですが…勝手にどっかに行ってくれました。ゼニィーをつねりながら、安堵する私…
「「!!」」(私)
「「もう、大丈夫よ!!」」
「「恐怖で気が動転しているのね!!」」
「「可哀想に…もう、大丈夫だから」」
3人の姿が消えると-
フードの女性は、急いで私の所に駆け寄り、言います。
酷く悲しそうな顔を浮かべながら。