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144話 町並み






「ワイワイワイ-!!」  「ワイワイワイ-!!」



「ガヤガヤガヤ-!!」  「ガヤガヤガヤ-!!」




早速-

町の中に入った私は、人混みを掻き分けながら進んで行きます。石畳で舗装された綺麗な通りには、白を基調とした2~3階建てのお店がズラリと建ち並んでいます。飲食店やお土産屋さんとか…お店も沢山あって、とても賑わっていますね!!



所々にあるカフェテリアでは皆…優雅にコーヒーを飲んでいます。


アロハシャツを着た人も、チラホラと見受けられる。



お土産屋さんを見れば…入り口の看板に書いてあった謎のヤシの実のキャラクターのぬいぐるみを買っている人が結構いますね。只の変なキャラクターだと思ってましたけど、わりと人気なんですね。





「ワイワイワイ-!!」  「ワイワイワイ-!!」


「ガヤガヤガヤ-!!」  「ガヤガヤガヤ-!!」





んん~、やっぱり町中は人が多いです-!!




(おお、あれは!!)


私は人の流れをチラチラと見ていると、その中には獣人もいました。


彼らとは、久し振りに会いましたね。


獣人とは…

見た目で言うと、犬や猫などの動物が服を着て二足歩行で歩いているという感じでしょうか。


彼らは、獣人種と呼ばれる私達と同じ人間です。

この世界には、様々な人種がいますからね。サウスヴェルは大きな町ですから、色々な国や人種の人達が集まっているのですよ。



地球ではメルヘンの話にしか登場しない彼らですが、ここベオン星には存在するのです。いや~宇宙は、広いですね。






「…」(私)




んん~、それでどうしよう…


しばらく、私は町の景観と人混みに圧倒されていましたが、我に返ります。


だって、無一文ですから…


本当ならば、時間が夕方に近い今日は宿探しをして、宿が見つかったら、適当に外で夕食でも食べに行くという予定でしたが、大きく狂ってしまいました。


しかも、またゼニィーがいなくなっている。

迷子かな…何をしているんだアイツは(怒)



(まぁ、ゼニィーの事はほっといて…)



とりあえず、ギルドに行こうかな。

適当に依頼を受けて、お金を稼ぐしかないわね。それでギルドの場所が分からないので、誰かに聞いてみましょうか。





そう、誰かに…





(あの~、すいません…)





「ワイワイワイ-!!」  「ワイワイワイ-!!」


「ガヤガヤガヤ-!!」  「ガヤガヤガヤ-!!」






「…」(私)







私のか細い声は、雑踏の中に消えていく。

ちょっと、人に話しかけづらいわね。田舎と訳が違う。私は上京したばかりの若者の様にオロオロとしていると…





「イブ、イブ、見て下さ~い!!」


人混みの中からゼニィーが飛んでくる。



「あっ、ゼニィー!!」

「アンタ、またどこに行っていたのよ!?」


「100G見つけたよ~!!」

「やっぱり、大きな町だから落ちてると思ったんだ~!!」


ゼニィーは目を輝かせながら、100Gを持っていた。

いやいやいや-




「「ゼニィー、今すぐ交番に届けなさい!!」」


私はゼニィーに叫ぶ。



「えっ-!!」

「交番って、何-!?」



「!!」(私)


戸惑うゼニィー。

あっ、そうか…この世界には交番と呼ばれるものは無いんですよね。


じゃあ、落とし物はどこに届ければ良いんでしょうか。




「それは…どこで拾ったの!?」


「お店の床に落ちてました~!!」


「ふ~ん、とりあえず…」

「そこのお店の人に事情を話して、対応して貰おうかしら…!?」





「イブ、イブ…」

「それより、周りを見た方が良いよ~!!」


「えっ、周り…!?」






(クスクスクス…)   (クスクスクス…)


(クスクスクス…)   (クスクスクス…)


      



周りの人は、私の事を不思議そうに見ていた。

そして、クスクスと笑っている人もいる。


そうだ、しまったアアアアアア-!!

ゼニィーの姿は、普通の人には見えないのです。

ですが、私は普通に人前でゼニィーと話していました。


それはつまり-


道の真ん中で1人でブツブツ呟いたり、突然叫んだりしているのと同じですからね。


私は…気まずそうに、その場から退散する。


ううう~また、やってしまった。

とりあえず…ゼニィーが拾った100Gはお店の人に託そうかしら。私はゼニィーに案内して貰い、お店に行く事にする。











           ○













「「いらっしゃい、いらっしゃい~!!」」


「「さぁ、捕れ立ての魔魚が安いよ、安いよ!!」」


「「新鮮な魚介が揃ってるよ~!!」」


「「そこの奥さん、今夜のおかずにこの魚はどうですか~!?」」


「「沢山、買ってくれたら割引するよ~!!」」



((うわぁ、人が多い…))


私は、ギュウギュウの人の中を進んでいく。

ゼニィーの後に付いていくと…そこは港の市場でした。


時間は、もう夕暮れで-

辺りは次第に暗くなり始める。

お店や露店には、夜を照らすオレンジ色の明かりが付き始めていました。



そんな狭い通りには、お店の人の元気な声が響き渡ります。夜のお祭りの様に、活気が溢れていますね!!アメ横みたいな感じです。



皆…今夜の夕食の為に、買い物をしているんですね。


新鮮で、色々な魚介が並んでいる。


地球で、お馴染みの海老とかタコとかイカとかもありますし…それと見た事が無い魚も、チラホラとある。





「ワアアアアアアアアアアアア-!!」



「パチパチ-!!」   「パチパチ-!!」



       「パチパチ-!!」



「パチパチ-!!」   「パチパチ-!!」





       (オオ、凄い…)





あるお店では、マグロみたいな…いや、見た目はマグロと同じ、大きな魚の解体ショーをやっています。私は、それを少し見ていきます。




「ズバン-!!」   「ズバン-!!」



     「ズバン-!!」




店員さんは-

大きな包丁で、手際よく大きな魚を捌いていきます。大きな魚は、あっという間に食べ頃の大きさにカットされていく。見学している人達は皆…華麗な職人技に感動して、拍手をしています。


へぇ~、凄いわね!!

勿論、私も感動しちゃっていますよ。

拍手をしながら、感嘆の声を漏らす私。





そうそう、ところで…



「ゼニィー、あの魚の名前は何て言うの!?」


私は、ゼニィーに質問します。





(まさか、マグロじゃないわよね…?)





「あれはね~!!」

「マーナンテ・グロテスクっていう魚だよ~!!」


「「えっ、マーナンテ・グロテスク!?」」

「「なに、その感想みたいな名前…」」



「名前の由来はね~!!」

「昔、その魚を見た奥様達が『ま~、何て大きくてグロテスクな魚なの!!』と言ったのが、そのまま名前として定着したみたいだよ~!!」


「いや、本当に感想だったのね!!」




「…」(私)


まぁ、確かに…

魚をグロテスクって言う人も、いるかもしれないけどね。フフフフ、そして、そして-!!



「勿論、名前は略して-」







「「マグロ!!」」(ゼニィーと私)






私とゼニィーは、恒例の様にハモります!!







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