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141話 パーティ(後編)




カナタさんが発動させた『安らぎの匂い』のお陰で、巨大ゴブリンはフラフラとし始めました。


…というか、カナタさんは魔獣使役の魔法の使い手だったんですね!!



「バンビ、お願い!!」


カナタさんは、バンビさんに言う。




「ああ、分かった-!!」

「「氷の魔法 “氷結” 発動オオオオ-!!」」



バンビさんは-

すぐさま魔法を発動させる。

巨大ゴブリンの下の地面が凍り付きます。

ん~、バンビさんは氷の魔法の使い手なんですね。夏にかき氷が作り放題な嬉しい魔法です!!



「「ウゴオオオオオオオオオオ-!!」」


「「「ドシイイイイイイイイイイイ~ン!!」」」



元々、フラフラとしていた巨大ゴブリンは、ツルツルした氷の上でバランスを崩して盛大に尻餅をつく。大きな地響きが周囲に鳴り響きます!!


バンビさんは、すぐにまた魔法を発動-

巨大ゴブリンの周囲に、4本の氷の鎖が出現する。

そして、巨大ゴブリンの手足を氷の鎖で繋ぎ止めます。



凄い、巨大ゴブリンの動きを封じた!!





-さぁ、今だ!!-




バンビさんの合図で-

カナタさんは上昇気流にのった鳥の様に、宙高く飛び上がる。そして、そこから一気に急降下します。



凄い速さだ-!!


更に、身体をグルグルと回転させている。

ああする事で、限界まで剣速を増しているのです。




「「「ズバアアアアアアアアアアア-ン!!」」」




弾丸の如く-

凄まじい速さに達したカナタさんは、巨大ゴブリンを貫く様に斬り裂く。




「「「ズドオオオオオオオオオオオオオオ~ン!!」」」



巨大ゴブリンは首を斬られていた。

そう、急所です。急所を斬られた巨大ゴブリンは、力無く倒れた…そして、そのまま起き上がる事は無かった。



そう、討伐完了です!!





(へぇ…)


凄い、鮮やかな剣技…

その姿こそ、前世の私の姿そのものでした!!

私も頑張れば、今の動き…出来るかな!?


腰を押さえながら思う私。












           ○













「ハァハァハァハァ…」


「ハァアアアア~疲れた。お疲れ様…」



巨大ゴブリンを討伐後-

バンビとカナタさんは、疲れ果てて道端に座り込んでいた。私も含めて、3人は倒した巨大ゴブリンの巨体を見ながら、安堵していました。



「ハァ~、何とか倒せたな!!」


「ええ、ギリギリだったわね」


「私も(腰が)ギリギリだったわ!!」



「!!」(私)


…と、安堵したのも束の間。

カナタさんは、足を痛そうに手で押さえていました。



「カナタさん、大丈夫ですか…?」


「うん、大丈夫よ!!」

「巨大ゴブリンのトドメを刺した時に、着地に失敗してしまってね。ちょっと、足を挫いちゃったわ。でも、この程度の傷ならば…後で近くの自販木で回復薬を買えば、すぐに治るわ」



「あっ、自販木…」

「そ、そうなんですね…」



「回復薬ならば今、俺が買って来るよ」


バンビさんは、ふらつきながら立ち上がる。



「バンビ、もう少し休んでから行けば!?」

「私達は今、魔力切れの状態だからね」


「心配するな!!」

「歩いている内に、元に戻るよ」


「あ、有難う…」




「…」(私)


そうなのです。

自身の保有魔力を超えて、魔法を使い過ぎてしまうと、魔力切れと言う状態になり、少しの間…魔法は使えず、身体も上手く動かせない状態になってしまうのです。例えるならば、マラソンをした後は息切れを起こして、しばらく動けないよね。それと同じです(多分)



それと…


関係無いけど、仲が良さそうね2人。



私は、微笑ましい気持ちで2人を眺めていると…




「イブさんは、冒険者なの?」


カナタさんが聞きます。


「まぁ、そんな感じよ」

「え~と、お二人も冒険者なんですか!?」


「う~ん、ちょっと違うかな」

「俺達はだな…」





「…」(私)


バンビさん曰く-

2人は騎士志望との事です。

2人とも近くの村の出身で…今は、これから王都で行われる騎士試験に向かっている道中だったみたいです。



(ふ~ん、なるほど…)


騎士志望の2人が、騎士団での討伐が推奨されるC2の巨大ゴブリンを倒したとなると…これは、かなりの大金星ね。この事を騎士団に話したら、1発で試験に受かると思うけど。いや~、凄いわね!!

 


「才能溢れるナイスコンビね!!」

「尊敬するわ…」


「才能溢れるって…」

「ハハハ、お世辞でも嬉しいぜ、有難う!!」


バンビさんは言う。



「そういえば、イブさんの剣も…中々、凄いわね」

「見ただけでも分かるわ!!」

「凄い強い魔法が込められている事が…」


カナタさんは、私の剣を見ながら不思議そうに言う。



「でしょ!!」


(まぁ、性能なら最高クラスの350万Gの魔剣だからね!!)


(お金の力だよ!!)






「それで、結局その剣にするんですか~!?」





「…」(私)


カナタさんの肩に乗っているゼニィーが言う。



「まぁ、悪くはないわね」

「フフフフ、この剣…思い切って買おうかしら!!」



「ハァ、そうですか…」


ゼニィは、微妙な顔をしていましたが…

私は特に気にしません。というか結局、騎士は来なかったですね。



一体、どうゆう-






「「「「「ウゴオオオオオオオオオオオオオオ-!!」」」」」




「「「!!」」」(私達)



突然、背後から怒声が-!!


な、何事でしょうか…


ですが、何となく察しが。

恐る恐る振り返ると、討伐したはずの…

巨大ゴブリンが、怒声をあげながら起き上がっていたのだ!!


((マ、マジかアアアアアア))


そして、凄い怒っていた。これは…私が、魔獣使役の魔法『魔獣の気持ち』を使っているからではなく、誰が見ても怒っている事が分かる様な-




凄まじい鬼の様な形相だった。




「ウソ、どうして…」


「ど、ど、どうすれば…」


バンビさんとカナタさんは声を震わせながら、巨大ゴブリンを見上げる。



「多分、カナタさんの攻撃は急所から少しズレていたから、致命傷にはならなかったんだね。そして、攻撃された事に対して今、怒りが頂点になっている状態だよ~!!」


ゼニィーは言う。

な、なるほど…だが、しかしゼニィーの声は2人には聞こえません。そして、身動きが出来ないでいる。魔力切れを起こしている為か、それとも単純に恐怖の為か…


すぐに訪れるであろう、絶望に怯えていた。


このままだと、2人は殺されてしまう。

逃げ切る事は難しい。私が、何とかしなければ…



((そ、そうだ、剣を-!!))




私は、剣で迎え撃とうとするが…




「グキっ!!」



「うぎゃあ-!!」


「イブ、ちょっと大丈夫~!?」


ヤバい、腰が痛い…

多分、次に剣を振ったらぎっくり腰になりそう(泣)




「「「ウゴオオオオオオオオオオオオオオ-!!」」」



「「ちょ、ちょっと、待ってよ~!!」」



私のお願いも虚しく-

逆上した巨大ゴブリンは、勢い良く私達に襲いかかる。




((くそオオオオオオオオ-!!))








「ハァ…」




「「「ガキイイイイイイイイイイイ-ン!!」」」




私は、ため息と共に任意バリアを発動させました。バンビさんとカナタさんを覆う様にね。巨大ゴブリンは、必死になってバリアを叩いたり、噛みついたりしてますが…完全に無意味でしょうね。


私は腰を押さえながら、ゆっくりと巨大ゴブリンに近付く。そして、軽く拳を巨大ゴブリンに当てます。




「イブパ~ンチ(棒読み)」



「「「「「ドカアアアアアアアアアアアアア~ン!!」」」」」



巨大ゴブリンは-

青白い光と、凄まじい轟音と共に空高く舞い上がります。そう、ジャストミートです。


数百メートルは、吹き飛んだでしょうか。

綺麗な放物線を描きながら、遠くの林に墜落する。





「「「「「ドシイイイイイイイイイイイイ~ン!!」」」」」

          




((威力、強っ!!))





「ナイスショット!!」

「やっぱり、剣なんて必要なんいんじゃないの~!?」


ゼニィーは言う。





「…」(私)


私は拳を見つめながら、苦い顔をしていました。





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