135話 イブの夢(前編)
※この話は本編とあまり関係ありませんが、一応本編です。流しながら、読んで下さい。
「「オリャアアアアアアアア-!!」」
「「バコオオオオオ-ン!!」」 「「バコオオオオオ-ン!!」」
「「バコオオオオオ-ン!!」」 「「バコオオオオオ-ン!!」」
俺は、月光が照らす薄暗い森の中を無双していた。
闇の中から次々と現れるゴブリンの群れ-
それを、俺は爽快なパンチで次々と夜空の星に変えていた。
森の中には、ゴブリンが吹き飛ばされる音が鳴り響く!!
「「バコオオオオオオオオオ-ン!!」」
(フフフ、最高の気分だ-!!)
それで、俺は一体何故こんな所にいるのかと言うと…
魔物に捕らわれたお姫様を助け出す為に、この深い森の奥にある、古城に向かっている所なのだ!!
「ハァハァハァハァ…」
「ハァハァハァハァ…」
進んでいく内に、目的地である古城に辿り着いた。
大きな月夜の下にある、その建物の周りには、コウモリがバサバサと飛んでいる。そして、至る所に十字架が立てられていた。まるで…お化け屋敷だね。このお城に、お姫様が捕らわれているのだ!!
「「「バアアアアアアアアアアアア-ン!!」」」
俺は、入り口の大きな扉を思い切りパンチをして、吹き飛ばす!!
エントランスに入り、長い廊下を駆け抜けると…
そこは、大広間に続いていた。
「…」(俺)
埃を被り…
錆び付いたシャンデリアは、永遠にこの場所を照らす事は無いだろう。遠くの窓ガラスから漏れる月明かりだけが、漆黒に包まれた広間をウッスラと照らす。
「ポタポタ…」 「ポタポタ…」
「ポタポタ…」
「ピチョオオオオオオ~ン」
俺は、恐る恐る広間の中を進んでいく。
足元にある絨毯は、濁った赤色に染まっている。
しかし、これは絨毯の色では無く、流れ落ちた血の色だ。
呪われたレッドカーペットの上を歩く俺。
そんな俺に、声援を贈るかの様に…
生気を全く感じない、沢山のおぞましい影達が温かく出迎えてくれていた。
「…」(俺)
大広間には-
魔獣の屍が沢山、転がっているのだ。それもまだ死んで間もないのか…屍からは冷えきっていない鮮血がポタポタと滴り落ちる。
鳥肌が立つ光景だ。
その屍の中には、竜の屍もあった…
竜を実際に見るのは初めてだが、いや流石にデカイな!!
だが、気になる事があるとすれば…この世界で無類の強度を誇る、その牙と爪は、根本からボロボロに砕け散っていた。一体どんな力が加われば、ここまで砕け散るのだろうか…!?
【血に染められた道を歩く者よ…】
【待っていたぞ-】
【1000人の願いを叶えれば、我が大罪は赦される…】
「「!!」」(私)
突然、何者かの声が聞こえる。
そして、俺の目線の先…
大広間の真ん中には、古びた鎧が立っていた。
どうやら、その鎧が話しているみたいだ。鎧が持っている剣はボロボロに錆びている。鎧も同じ様に錆びていて…所々、腐食している。
ほんのちょっと押しただけで、バラバラに分解してしまいそうな鎧とも言えない、朽ち果てた鎧であった。
(ゴクン-)
-だが、それは見た目だけの話しである-
アイツだ…
アイツが…最恐の鎧を纏ったアイツが、それを噛み砕こうとした竜の牙を、切り裂こうとした竜の爪を粉々に砕いたのだ!!
【お前の逢いたい人は、ここにはいない…】
【今はもう生まれ変わって遠い宇宙の彼方にいる】
【逢いたいならば、我が鎧に触れる事だ】
【そうすれば、流れ星にして、そこまで送ってあげよう。どれ程の時間を要し、肉体が朽ち果て様が…】
【いずれ魂だけは、その場所に辿り着くだろう…】
【では、始めようか-】
【【【お前が、念願の1000人目なのだアアアアアア-!!】】】
【【【【【ハアアアアアアアアアアアアア-!!】】】】】
【【【ピカアアアア-!!】】】 【【【ピカアアアア-!!】】】
【【【ピカアアアア-!!】】】 【【【ピカアアアア-!!】】】
あれは、ブラッドゴブリンソルジャーだ!!
大罪人の怨念が集まって産み出されたと言われる魔物…別名、鎧の悪魔とも言われているC6ドストライクの魔物だ!!
鎧の悪魔は-
禍々しい掛け声共に、周囲に大小様々な魔法陣を発現させる。同時に魔法陣は、目が眩む程の強烈な青白い光を放つ。
あの魔法陣は、恐らく闇と防壁の超高位魔法-
-極大怨讐反射魔法陣だ!!-
魔法陣に与えた衝撃は、軽く何百倍以上にもなって跳ね返ってくる。つまり魔法陣に、ちょっとでも触れただけで、凄まじい衝撃が襲い掛かり、身体は一瞬に消滅してしまうだろう。
いや、それとも流れ星になって、宇宙の彼方まで吹き飛ばされてしまうだろうか。だが問題は無い!!
「「オリャアアアアアアアア-!!」」
「バリイイイイイ-ン!!」」 「「バリイイイイイ-ン!!」」
「「バリイイイイイ-ン!!」」 「「バリイイイイイ-ン!!」」
俺はパンチで、魔法陣を叩き割っていく!!
反射魔法陣は、瞬きする間だが、衝撃が跳ね返ってくるまでの間にタイムラグがあるのだ。なので、跳ね返る前に、魔法陣を叩き割ってしまえば良い。
まぁ-
こんな力技は、大地を割る程のパンチ力がないと出来ない芸当だけどね。俺のパンチ力ならば、何も問題は無い。
俺は瓦を割るかの如く、爽快に魔法陣を割っていく!!
瓦を割る最中-
間違って、蹴り飛ばした小石が魔法陣に当たると、凄まじい衝撃波を周囲に放ちながら、空に向けて発射されていく。多分、あの小石…宇宙まで飛んでいくかな。
少しでも割るの失敗したら、ああなっちゃうね。
一応、気を付けながら割っていく俺。
「「オリャアアアアアアアア-!!」」
「バリイイイイイ-ン!!」」 「「バリイイイイイ-ン!!」」
「「バリイイイイイ-ン!!」」 「「バリイイイイイ-ン!!」」
【【【【な、何いいいいい!!】】】】
そして-
俺は、全ての魔法陣を叩き割り、鎧の悪魔の目の前にいた。俺は、鎧の悪魔の前で力強く拳を構える!!
「「流れ星になるのは、お前の方だ!!」」
「「そして、俺の逢いたい人…助けたい人はここにいる!!」」
「「「お前を倒した先に、その人は待っているのだアアアア-!!」」」
「「「「「バコオオオオオオオオオ-ン!!」」」」」
【【【【【ウギャアアアアアアアアアアアアアアア-!!】】】】】
俺は、よく分からない事を叫びながら、渾身のアッパーを鎧の悪魔にお見舞いする。鎧の悪魔は、天井をぶち抜けて、空の彼方に消えていく。別に魔法を使わなくても、流れ星になれるんだよね!!
鎧の悪魔を倒すと-
埃と錆だらけのシャンデリアの汚れが、キラキラと光の結晶になりながら剥がれ落ちていく。同時に、オレンジ色の眩いシャンデリアの光が大広間を照らした。
「あっ…」
大広間の先には、更に扉をあった。
その扉は、ありとあらゆる豪華な装飾が施されいる、とても立派で大きな扉であった。
そして、少しずつ開き始める。
「「「ガコオオオオオオオオオオオオ-ン!」」」
今、扉が開かれる。
扉の先に、あるものとは一体…!?