122話 ゼニィーの早口
※悪霊=動き回る呪具
【グルルルルルルルルルルー】
「う、うわぁ…」
朽ちたグリフィン達は、今にも飛びかかりそうな感じで私を睨み付けている。いや、まじまじと見れば…皆、目が無かった!!
顔に目が嵌まっていない、目の部分が真っ黒なのだ。
まるで、ホラー映画を見ている気分です。
「「でも、悪霊って…何なの!?」」
「「い、生け贄って、どうゆう事なの!?」」
オロオロしながら言う私。
「ん~とね、悪霊と言うのはね…」
「…」(私)
ここで、ゼニィーの解説が入ります。
ゼニィー曰く-
悪霊とは、その名の通り霊体であり…その身体は、禍々しい怨念と魔力で構成されているとの事です。そして…悪霊は必然的に人々を襲う存在で、他者の魔力を生命力ごと奪い去る事で、その力を更に強大にしていく…
恐ろしい殺戮マシンだとか。
「…」(私)
あと、悪霊は皆
生前に強い未練を残しているみたいですが。
ミズナさんはー
村の皆を生き返らせたいと言っていた。
中々、無茶な願いですが、しかし…
それを闇の魔法 “アンデッド創成” で叶えようとしているのか。
だが、その魔法は誰かを生き返らせる魔法では無く…
只、亡骸を動かすだけの魔法である。
これは、一体…!?
「アンデッド創成という魔法はねえ~!!」
「強化すればする程、より生前に近い姿のアンデッドが産み出せるんだよ。また簡単な自我を持たせる事も出来ま~す!!」
「多分、それを『死者が蘇った』と勘違いしているのかもね~!!」
「「マ、マジで-!!」」
「悪霊の思考回路は、普通の人ならば吐き気を催す程に、酷く歪んでいるからね。その全てが、理解出来るものじゃないんだよ~!!」
「いや、そもそもね~!!」
「悪霊の存在目的は只1つだけ…魔力を掻き集めて、より強くなる事だけなんだ。たまに、その目的(魔力を掻き集める事)を、生前の未練と都合良く結びつけてくる輩もいるけど、ミズナさんもそのパターンだよね~!!」
「大切な人を蘇らせたい…表面的に、そう言っているだけでね~!!」
「実際は只の…」
-不気味な人形遊びをしている支離滅裂の化物らしい-
「…」(私)
そして、更に-
悪霊は霊体なので、物理攻撃は一切効かず、その他の魔法攻撃も殆んど効かないとか。
多少、効果が望めるのは…
光の魔法、精神の魔法、幽世の魔法みたいですが、それも生半可な威力ですと打ち消されてしまうみたいです。多分、光彩の指輪も効果は無いでしょうか。
そして、そしてー
最も恐ろしいのが攻撃で、使用する魔法は、主に生前に使っていた魔法みたいですが…どれも禍々しく強化されているとの事です。更にその上で、精神をねじ曲げて、一瞬で廃人にしてしまう程の強力な精神の魔法も連発してくるそうです。
竜もその姿を見れば-
恐怖で飛び上がり、一目散に逃げてしまうとか。
並みの悪霊でさえ…
カテゴリーで言えばC6に片足を突っ込んだC5…
これは、シックススターが率いる世界トップクラスの冒険者グループか、ゼニィーの煎餅グループ(自称、精霊軍団)での討伐が推奨される、非常に手強く厄介な相手らしい。
「弱点とかないの?」
早口で、解説するゼニィに聞く私。
「弱点は、ミズナさんのミイラかな~」
「「えええっ、ミイラ!?」」
「「ど、どうゆう事!?」」