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118話 1番良い家…それとも悪い家? 






「イブ、見つかったよ~!!」



「…」(私)


しばらくして、ゼニィーが闇の中から戻って来ました。



「谷底に落ちてなくて、本当に良かったよ~!!」

「ボクの探索能力は凄いでしょ~!!」


自慢気に言うゼニィー。






「…」(私)




「あの~、凄いのは分かったから…」

「助けて下さい」


瓦礫の下敷きなった私は言う。




「本当に、いつも何をやっているの~!?」

「もう困った人だね~!!」


ゼニィーは、呆れた顔で言います。


「う、うるさいわね!!」

「これは、不可抗力よ…てか、そんな事より早く身体を引っ張って、ここから引きずりだしてよ~(泣)」



「いや、流石に無理だよ!!」

「瓦礫は、何百キロあると思ってるの~!?」


「え~、じゃあ私ずっとこのまま!?」



「こうゆう時はね…」

「風船バリアを使えば、簡単に瓦礫から出られるよ~!!」





    「「えっ、風船バリアー!?」」





「うん、風船バリアはね…」





「…」(私)




風船バリアとはー

身体の表面にピッチリと張られた体表バリアを、少しだけ膨らませる事が出来る体表バリアの応用技との事です。そして、その内部から膨らむ…膨張する力は、とても凄まじいとか。



それは、つまりー


風船バリアとは、何かに拘束された際に、その拘束から逃れる為に使うそうですね。例えば…鎖でグルグル巻きにされても、これで鎖を引き千切る事が出来るらしい。手錠をかけられても、同じ様に。



内側からの圧力に耐えられなくなった拘束具は…


ラムネの様に簡単に、粉々に砕け散るそうですね。





「それで、頭の中でね~」

「体表バリアを膨らませるイメージをすると、発動が出来ますよ~!!」



「な、なるほど…」



私は早速、その様にイメージしてみます…


すると、地面と瓦礫にガッチリと挟まれていた私でしたが、そこに少し隙間が出来ました。瓦礫が、少し持ち上がった感じですね。


それで…


その隙間から、何とか這い出る事が出来ました。




「ハァハァ…」


「やった、出られた…」



疲れ果てながら言う私。



しかし、休む間も無くー


ウカウカしていると、またグリフィンに見つかってしまう。

また、隠れる場所を探さないと、適当にどこかの廃屋に…



「そういえばだけど~」


「指輪を探している時に比較的、綺麗な家を発見したんだ~!!」

「そこに隠れますか!?」


ゼニィーは提案する。



「そ、そうね。案内宜しく」


私は即答して、ゼニィーの後をついていきます。














           ◯


     










 「「「ビュウウウウウウウウウウウー!!」」」




  「「「バサバサバサバサバサバサー!!」」」









「今なら、大丈夫だよ~!!」


「わ、分かったわ!!」




「ハァハァハァハァ…」


強風に髪を靡かせながら、どこかに進んでいく私。




    

    【グルルルルルル…】  【グルルルルルル…】



    【グルルルルルル…】  【グルルルルルル…】





周りには、朽ちたグリフィンがウロウロと歩いている。


それに


見つからない様に廃屋の影に隠れながら…



見つかったらー

今度こそ、谷底に落とされてしまいそうな感じがした。

てか…体表バリアがあっても、竜巻(風)に舞い上がってしまうのですね。勿論、上空から墜落した際の衝撃は防いでくれましたが…体表バリアの透過基準がイマイチ掴めないわ。




「ほら、何をしているの、早く、早く~!!」

「今なら大丈夫だから、道を渡ってごらん!!」


向こう側で呼ぶゼニィー。



「今、行くわ!!」


廃屋の影から、別の廃屋の影に決死の移動です。


こうして、隠れながら少しずつ移動していきます。






         「…」(私)





ゼニィーの先導が無かったら、あっという間に見つかってるわね。朽ちたグリフィン達は、ゼニィーの姿が見えてないそうなので、とても助かります。


そう何故、見えないのかはー


ゼニィー曰く『アンデッドの心は、腐り果てているから』だそうです。


精霊は、心が綺麗でないと見えませんからね。

まぁ…私的には、アンデッドにも腐っても心があった事に驚きですが。



あと、これは思い出した事になりますが…

グリフィンの嗅覚は、犬並みに鋭いのでした。

例え、私の姿が見えていなくても、匂いで一瞬に居場所が分かってしまう程に。


どこに隠れていようが、関係無く。






強風なので、私の匂いが飛んでしまっているのか…



それとも、朽ちたグリフィンには



嗅覚自体が備わっていないのか…










         「…」(私)









「着きましたよ~」

「このお家で~す!!」




「へぇ…」




考えている内に、私はとある廃屋に到着する。

外観は、とても綺麗な廃屋ですね。

これならば、絶対に崩れる事は無いでしょう。






      「ギイイイイイイ-」




       「ガチャン-!!」




鍵が壊れた扉を開けて、中に入る私。

家の中は、勿論ですが暗闇に包まれている。



「パチン-」




ランタンを灯すと-


薄暗い室内は、埃に覆われた家具達が当時のままでしょうか…


生活感が溢れる感じで置かれていました。



食器棚の中には、当たり前の様にお皿やコップが置かれている。

机の真ん中に置いてある花瓶には、触ったら砂になってしまいそうな枯れ果てた花が数輪入っています。そして、汚れていますが…刺繍が凝った絨毯も敷いてありますね。




少なくとも…この廃屋も80年は放置されていると思いますが…


想像した室内よりも、格段に綺麗でした。



掃除したら、お洒落なログハウスになりそうですね。






「ふ~ん…」






そして…


1番は何より、隙間風が全然入って来ない事です。

家の中も、何となく暖かい感じがしました。


外が凍る程に寒かったですからね!!



とりあえず、安堵する私…


頑張って、ここまで移動した甲斐がありました。




もしかしたら、この村で1番良い家なのかも!!






      (ゼニィー、ナイス!!)





私は、そんな事を思います。




















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