表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

114/187

114話 鬼ごっこスタート?









     ―泣くなアアアアアアアアア!!―





    ―良いから早く、逃げろオオオオ!!―





         ―お前だけはー





     ーどうかー    ーどうかー



 


       ー生き延びてくれ―




       ―そして、生き延びて―





        ―生き延びて―





        ー生き延びてー





        ーイキノビテー










  【【【【【次はアイツらに、地獄を見せてやれ―!!】】】】】



   【【【【【そうだ、復讐だあアアアアアア―!!】】】】】



   【【【【【首を洗って、待っていやがれえ!!】】】】】



【【【【【ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ―!!】】】】】
















           ◇
















「ルンルンルンルンルンルン―♪」


「ランランランランランラン―♪」



私は、ミズナさんと似た様な歌を口ずさみながら、光の道を歩いていました。今日は、ゆっくりと村の宿で休んで…明日は、グリフィンに乗せて貰いたいわね。あっ、それでそうだったわ!!


ミズナさんに、今でもグリフィンの試乗体験はやっているのか、聞けば良かったですね。


まぁ…村に着いたら、宿屋の人にでも聞いてみましょうか。





「ルンルンルンルンルンルン―♪」


「ランランランランランラン―♪」




「ミズナさんの方が全然、歌上手いね~!!」


ゼニィーは、言う。


「「う、うるさいわね!!」」

「「それより、この光る虫は食べちゃダメだからね!!」」


「は~い、分かってますよ~!!」



私は、星屑の天蓋に観光をしている気分でウキウキしていました。

まぁ…スタンスとすれば、観光メインの旅ですからね。

しかし―



「アララ…」


光の道は、その内に終わってしまいました。

そして、その先には本当の道が現れます。その道は、一寸先も見えない漆黒の道です。とりあえず…ここらかは、ランタンの明かりを頼りに進んで行きましょうか。


まぁ、ミズナさんは…村には、歩いてすぐに着くと言っていましたので、10分くらいで着くでしょうかね!?



そんな事を思いながら、私は進んで行く―








      (テクテクテクテクテク…)





        ~1時間後~





「ガラガラガラガラガラガラ~!!」


「「イブ、イブ!!」」

「「ちょっと、大丈夫ですか~!?」」


「ハっ―!!」


((あ、危ない、危ない!!))



石コロが-

ガラガラと急斜面を転がっていく。

いや…急斜面と言いますか、殆んど崖ですね。そして、私はフラフラとして、崖から落ちそうになっていました。


時間は…


もう深夜の2時になっています。



「ごめん、ごめん!!」

「流石に、疲れと眠気でフラフラとしていたわ!!」


「ボクも、同じだよ~!!」

「てか、もう引き揚げる体力は残って無いからね。もし今度、崖に落ちたら、崖下で夜を過ごして貰うからね~!!」


「「もう…何回も言わなくても、分かっているわよ!!」」



…そうなのです。


私は、星屑の天蓋を出発してから、ゼニィーに耳にタコが出来るくらい、この事を言われていました。なので、気を付けているはずなんですけど、やっぱり…眠気には勝てませんね。気付けば、またフラフラとしながら歩く私。



「ファアアア~ア…」



それとなんですが…暗闇の道の唯一の目の保養であった星空ですが、次第に雲に覆われて、見えなくなっていました。今は、只々…暗闇の急傾斜の道をひたすらに歩いている苦行になっていました。






         「…」(私)






「ていうか、いつ村に着くの…!?」


私は、ゼニィーに聞く。


「いや、ボクに聞かれてもね…」


ゼニィーは、困った顔で言う。

そんな私達は、もう1時間近く歩いていました。



(ミズナさんは、すぐに着くと言ったのに一体、何故!?)


(ミズナさんが嘘を言ったとは、考えにくいですし…)


あっ、もしかして…山々に囲まれた壮大な環境で暮らす彼女にとったら、1時間くらい歩いて着く場所でも、それは『歩けば、すぐに着く場所』という認識なのでしょうかね。


山暮らしは、逞しいわね…


(具体的に、どれくらい歩けば良いのか聞くべきでしたね…)




「ハァ…」




「ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウ―」


暗闇から、ヒンヤリとする風が吹く。


(寒っ…!!)


(ブルブルブルブルブル…)





         「…」(私)





そういえば、そんな彼女ですが…半袖の白いワンピースとサンダルとか、それは夏の格好でしたよね。昼間なら、問題無いと思いますけど…夜は、山の頂上だけあって、それなりに冷え込みますからね。


私の服装も春先に着る薄手のものですから、風が吹くと少し震えてしまいます。



(具体的に、今はどれくらいの温度なんでしょうか…!?)


そう思った私は、ポーチから室温計を出します。





    『現在の気温』      『湿度』


     2℃           45%



   『熱中症危険度』     『洗濯物』


 それより、風邪を引くなよ!!   普通






「ワァオ!!」


想像よりも、寒かった!!

東京ならば、真冬の朝の様な寒さですね。厚手のコートと手袋とマフラーが必要な寒さです。ですが…私はそれ程、寒さを感じていませんでした。


これは、やっぱり…



「ボクのバリアは、高性能だからね~!!」

「不快に感じる寒さや暑さとかは、ブロックしてくれるよ~!!」


「へぇ…相変わらず、凄いわね!!」




「…」(私)





しかし、この温度で…


ミズナさんは、あんな格好で寒くないのだろうか。


絶対、風邪を引きそうですけど。





本当に、山暮らしは逞し―



       「「「!!」」」(私)


 「「「「ガラガラガラガラガラガラガラガラ~!!」」」」




「「「ギャアアアア―!!」」」


突然、山の上の方から何かが滑り落ちてくる。

私は、驚いて悲鳴を上げます。



「んっ、イブ…!?」

「やっぱり、また落ちたね~!!」


「ファアアア~イ…」

「イブの今夜の宿は、崖下で決定で~す…!!」


少し前を行くゼニィーは、あくびをしながら言う。



「「いや、私は落ちてないわよ!!」」


「あっ、本当だ!!」

「てっきり、足を踏み外して落ちたかと思ったよ~!!」


「「そんな、ポンポンと落ちないわよ!!」」

「「一体、何が―」」




     「「「「「!!」」」」」(私とゼニィー)





「な、何よ…これ」







―私の目の前には、グリフィンの巨体が横たわっていた。


近くで見ると、とても大きいですね。例えるならば、軽トラみたいな大きさと存在感です。それで危ない、危ない…もう少しで、軽トラの下敷きになっていた所でした。


そして、そのグリフィンはピクリとも動きません。

しかも、よく見ますと所々に怪我をしていた。

居眠り運転による事故でしょうか…!?



「「ゼニィー!!」」

「「このグリフィン…怪我をしているわ!!」」


「「ど、どうしよう…」」

「「とりあえず、何か手当てをしないと…」」


私は、急な出来事にオロオロします。




「いや…もう、その必要は無いよ…!!」




「えっ、何で…!?」






「…」(私)






―いや、そのグリフィンはもう死んでいた。


少し冷静になれば、すぐに分かった。

そのグリフィンの身体は、酷く腐っていて…所々、骨も見えている。

それは、素人の私にも明らかに死んでいると、簡単に判断が出来る程に。



腐り具合から見て…


死んでから、それなりの時間が経過しているのでしょうか。



(でも、可哀想に…)






   「ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウ―」






暗闇に染まる崖の道で、しばらく考え込む私達。


ランタンの薄暗い明かりは、グリフィンの亡骸をユラユラと揺らしていた。




「前に…山の上の方で死んだグリフィンの亡骸が、何かの拍子で滑り落ちてきたのかしらね!?」


「そう考えるのが、妥当かもね~!!」




        「…」(私達)




「とりあえず、村に着いたら…」

「村人達にこの事を伝えて、対応して貰おうよ~!!」


ゼニィーは、言う。



「そ、そうね…」


「じゃあ、村に行きましょうか」




私達はグリフィンの亡骸を背に、また村に向かって歩き出します。














   【【【グルルルルルルルルルルルルルル―】】】











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ