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怪しい町の冒険(part4) ~サーラちゃん~





「あの~もしかしたら、メイド希望の方ですか!?」


可愛らしいメイドさんは、聞いてきます。


「はい、そんな感じです」


「やっぱり、そうなんですね!!」

「私はサーラと言います。このドップス邸でメイドをやっている者です。どうぞ、宜しくお願いします!!」


可愛らしいメイドさんは言う。

彼女はサーラさんと言うんですね。

そんなサーラさんですが、背丈は私と同じ位の150cm前半で、髪は茶髪で、瞳もブラウンの外国風の美少女です。とても可愛い…


「私はイブと言います!!」

「あの~サーラさん、歳はいくつなんですか!?」


「14歳です」


「わ、若いですね…」



          

「…」(私)




「サーラさん…」


「は、はい、何でしょう?」





「「私の事をお姉様と呼んでも良いのよ!!」」


「「ええええ、お姉様ですか!?」」



私は、サーラちゃんの両手を握り締めながら言う。


「お姉様って、アンタね…」

「前々から思ってたけど、イブって家族の愛に飢えてるんですか~!?」


横で見ながら、苦い顔で言うゼニィーさん。

でも、私は気にしません。



「ハハハハ、有難うございます、嬉しいです」

「イブさん、ではこちらへどうぞ!!」


そんなサーラちゃんも、私の突然のノリに嫌そうな顔を見せずに笑顔で応えてくれる。見た目も優しそうですが、中身も優しそうな子ですね。


そして、私は手招きをされながら、いざ屋敷の中へ-




     

(一部省略)




「「「おおおお-!!」」」



「キラキラ-」   「キラキラ-」



「キラキラ-」   「キラキラ-」




屋敷の中は、とても豪華絢爛です!!

まず、大きな玄関を潜り抜けると、コンサートホールの様に開放的なロビーが目の前に広がります。床はピカピカの大理石です。天井から降り注ぐシャンデリアの光に当たり、白と黒の斑模様がキラキラと輝いています。



壁には…


甲冑や絵画や動物の剥製など、様々な芸術品が惜しみもなく飾られている。その中でも特に目立つのは、玄関から入って真後ろの頭上にある大きなステンドグラスですね。お姫様の様な女性の姿が、カラフルに光輝いていす。


ん~と、あとそれから…

所々、観葉植物が置いてあるのも良いですね。

南国であるサウスヴェルの風情を感じさせる。


流石は貴族の館-


贅の限りを尽くした超高級ホテルの様な造りです。





((はぁああ、凄いお屋敷だな…))




「やぁ、お待ちしてましたよ!!」

「イブさんですよね!?」


そして-

ロビーの中央にある漆が茶色く煌めく木の階段から、コツコツと大理石の心地よい音を響かせながら誰か降りてくる。



その人は…



私を待っていたかの様に出迎えます。





「私は、この屋敷の主でありますドップスと言います」






「…」(私)



か、彼がドップス伯爵か…


この王国有数の大きな町、サウスヴェルのトップに君臨するお方だ。私はその肩書きに押されて、身体が一瞬固まってしまいます。




「あの小さいオジさん中々、強い魔力を発しているね~!!」


私の隣で、ゼニィーは言う。

魔法使いとしても、結構な実力者なのでしょうか。

その高い魔力も相まってか、中々の威厳を感じさせます。



「私は、イブと言います…」



「アナタの事は、アンダーギルドのマスターから聞いてましたよ。とても有能な若者が、そちらに向かったので、是非面倒を見てやってくれとね!!」



「そ、そうなんですね…」



アンダーギルドのマスターって、あの親身じゃないオジさんの事でしょうか。派手にお店の壁を吹き飛ばしてしまったので、恨まれているのかと思いましたけど、どうやら私の受ける依頼に快く協力してくれたみたいですね。



結果、オーライ!!


それで…

ドップス様は、私と同じ位の背丈の男性でした。

チョビヒゲを生やして、全身を黒く煌めくスーツを着こなしている。私は、しばらく同じ目線で彼を見つめていますと…




(ジイイイイイイ~)



「あの~、何か言いたい事でもあるんでしょうか?」


ドップス様は苦笑いして言う。




「あのギルドマスターの主人は、ギレン君の昔からの友人でね…」


「ギレン君、君もイブさんに自己紹介をしたまえ」


ドップス様は、隣にいる大男に言う。

その大男は、白髪のオジさんで顔には至る所に傷跡があります。そして、鋭い眼光で私の事を睨み付けている。



「ドップス様-」

「私はもう彼女が玄関に入る前に、自己紹介をしましたよ」



「「えっ、そうなの!?」」

「「い、いつの間に…」」



驚くドップス様。

はい、そうなのです!!


私がサーラちゃんの手招きで屋敷に入る時に、背後から音も無く、ギレン執事長から『初めまして』と声を掛けられたのです。

本当に…近付く音や気配が全く無かったので一瞬、忍者か暗殺者かと思い、心臓が止まりかけましたけどね(汗)


あとギレン執事長は、顔も怖いので。




「ハハハハ、相変わらず行動が早いね…」

「こちらは私の秘書でもあり、この屋敷の執事長でもあるギレン君だ。見た目は怖いけど、気さくなオジさんだから、困った時はいつでも頼りなさいね」



「は、はい、分かりました」



「では、イブさんはこれから…」

「そうですね、しばらくはサーラさんと一緒に行動して、仕事を教えて貰いなさいね。そうそう、サーラさんの部屋は2人部屋で、今は1人だったんだよね。ついでに部屋も一緒で良いかもね」



「はい、分かりました」(サーラちゃんと私)



「じゃあ、メイドの仕事は早速、明日からですので…これから、宜しくお願いしますね」


「はい、宜しくお願いします」





「コツコツコツコツ…」




そう言って、ドップス様とギレン執事長は屋敷の奥に消えていきます。


ふ~ん、とりあえずサーラちゃんと同じ部屋なのね。やったね!!


私は早速、サーラちゃんに案内されて、サーラちゃんの部屋に向かいます。







            ○







「ふ~ん、ここがですか…」


私はサーラちゃんの部屋、いやこれから私達2人の部屋になるであろう場所に来ていました。もうすっかり日が落ちて暗くなった窓の外には、ライトアップされた煌びやかなドップス邸が見えます。



どうやら…

メイド達は、ドップス邸の隣にある宿舎で暮らしているみたいですね。それで部屋は、安そうなベッドや小さな机と椅子が置いてあるだけの…無駄な物が一切、置いてない殺風景な部屋でした。


先程の風景と、違いがあり過ぎる…

でも、現実に戻って来た感じがしますね。



「イブさん、このサイズなんてどうでしょうか!?」


「へぇ、可愛いですね~」


そんな私は、まずは明日から着るメイド服の試着をしていました。メイド服を着た私は、自分で言うのもあれですが、可愛さが数段とアップしている感じがしますね。サーラちゃんにも、引けを取らない可愛さです。



そう、地球にいた頃は-


写真なんて、履歴書の証明写真しか撮る気にならなかった私ですが…


この姿なら、いくらでも自分の写真を撮りたい気分ですね。う~ん、この世界にカメラがないのが残念です!!




「「明日からメイドとして頑張るぞオオオオ~!!」」


「「立派なメイドになってみせるわアア~!!」」



サイズがピッタリのメイド服が見つかり-

私はやる気に燃えながら言います。



「いや、魔術品オークションの事はどうするんですか~!?」


ゼニィーは困った顔で言う。

あっ、そうでしたね…








       



      


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