112話 星空×2
「キラー」 「キラー」 「キラー」
「キラー」 「キラー」
「キラー」 「キラー」 「キラー」
「キラー」 「キラー」
「へぇ…とても、綺麗な場所ね」
私は…そろそろ、野宿しようかと思っていた矢先に、その場所に到着していました。時間は、24時過ぎになろうとしています。陽が一番高く昇り、力強く輝くのが正午の様に―
24時の正子の星達はー
夜の中で一番力強く、輝いている様に見えました。
(昨日…見ました、満天の星空よりも綺麗ですね)
そして、更にその輝き以上に―
「サアアアアアアアアアアアアアアアアア―」
(テクテクテクテクテク…)
少し冷たい風が私に当たります。
それも…そのはずです。
ここは、山の頂上なのですからね。そして…私は水辺に向かって、草花が咲き乱れる野の上を静かに歩いて行きます。
― 天魔の山脈 星屑の天蓋 ―
私の目の前には、大きな湖がありました。
その湖面は…満天の星空を惜しみなく盛大に反射させています。私の目の前に広がる景色は、夜闇に浮かぶ幾億千万の星の輝きだけでした。他には、何もありません。これは、なんか…星空が2個あるような感じですね。
単純に言いますと、星空の綺麗さが2倍になった感じです。
それは
まるで、銀河の中にいるみたいです。
「ふ~ん…」
これは、本当に自然だけが作り出した景色なのでしょうか。
誰かが不思議な魔法で、加工しているのではないのかしら!?
とても幻想的な景色過ぎて、そう感じてしまいますね。
―私は、しばらく景色を眺めていました。
「へぇ~!!」
「ここが、星屑の天蓋なんだね~!!」
「あっ、ゼニィー…」
ゼニィーも起きたらしく、私の横をパタパタと飛んでいる。
「ねぇ、良い所でしょ!?」
「今が一番、良い時間に来たんじゃないかしらね!!」
私は、自慢気に言う。
「うん、そうだね!!」
「中々、綺麗な景色だね~!!」
「フフフフ…」
「そうでしょ、そうでしょ!!」
「でも…綺麗過ぎて、逆に不気味だね~!!」
「えっ、何で…!?」
「…」(私)
(まぁ、確かに私もそう感じている所がありますけど…)
その綺麗な銀河の中に―
足を一歩でも踏み込んでしまえば、そのまま宇宙の彼方へと消えてしまいそうな…そんな、不気味さも漂わせている。
…と言いますのも、その湖面はまるで、本当の鏡ではないかと思わせる程に、星空を鮮明に映していました。不自然な程に、異様な程に、背筋がゾクっと凍る程に―
(私が以前に来た時も、こんな感じでしたっけ…!?)
「…」(私)
(かなり、昔の記憶なので…ハッキリとは覚えてはいませんけどね)
「サアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―」
「ルンルンルンルンルンルン―♪」
「ランランランランランラン―♪」
「相変わらず、寂しい場所ね…」
パーシャの町がまだ栄えていて、サウスヴェルとの往来も盛んだった頃は、この星屑の天蓋は…絶景スポットとして、それなりの人が見に来ていたんですけどね。今は、誰もいません。
…なんか、無性に人が恋しくなってしまうわね。
私は、そっと草原に座り込みます。
「ハァ…」
「ルンルンルンルンルンルン―♪」
「ランランランランランラン―♪」
―少し離れた場所から、歌声が聞こえる。
ゼニィーが、向こうの方で歌っているのでしょうね。ですが…その声は、とてもゼニィーの声とは思えない程に美声でした。これは、意外ですね!!
「それで、今日はここで野宿ですか~!?」
「「「!?」」」(私)
ゼニィーは、私の隣で言う。
「えっ、ゼニィー…!?」
「…」(私)
「アンタ、意外と歌が上手いのね~!!」
私は、色々と何かを押し通して言う。
「いやいや…」
「ボクは、何も歌っていませんけど!!」
「歌っているのは、あの人じゃないの~!?」
「あの人…?」
「ルンルンルンルンルンルン―♪」
「ランランランランランラン―♪」
水辺から、歌声の主が近付いて来ます。