寂しい山脈の冒険(part7) ~星空を掻き分けてでも~
※夢と記憶は紙一重!?
悪夢と現実も紙一重!?
―貴方に伝えたい言葉がある―
―面と向かって、貴方へ―
「パアアアアアアアアアアアアアアアアアア―」
(ここは、一体…!?)
気付くと俺は、どこかの見知らぬ場所に佇んでいた。
そこには、素朴な木の家が建ち並んでいる。
どこかの村だろうか…!?
「ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ―」
爽やかで、涼しい風が俺に当たる。
空を見上げれば、雄大な雲がプカプカと流れている。
そして―
日差しが、とても強くて眩しい。だが全然、暑くは無い。
そんな、紺碧の空から燦々と降り注ぐ日差しは…何故だろうか。この場所が、とても天空に近い場所にあるのではないかと、俺に感じさせる。
この村?は、とても標高の高い所にあるのだろうか。
例えば、山の上とか。
(んっ…!?)
「ワイワイワイワイ…」
「ガヤガヤガヤガヤ…」
少し離れた開けた場所には、ワイワイと人だかりが出来ている。その人だかりの中には、凛々しくて格好良い姿をした何匹かのグリフィンがいた。どうやら…その人達は、グリフィンと戯れているのだろうか。
そして、チラホラと騎士の格好をした人達の姿も見える。
(テクテクテクテクテク…)
俺は、眩しい日差しに目を細めながら、自然とその人だかりに近付いていくと―
「ワイワイワイワイ…」
「ガヤガヤガヤガヤ…」
「「「!!」」」(俺)
(((イ、イブー!!)))
そこには、グリフィンを撫でている1人の女性騎士がいた!!
黒く細いポニーテールの髪をヒラヒラと風に靡かせながら―
その涼しげな顔をした女性は、イブであった。
俺は、目をマジマジと丸くする。少し離れた場所から見た彼女は―
とても、可憐で綺麗な女性であった。
そんな彼女は楽しそうに、他の騎士達と話していたが―
(チラ―)
ふいに、一瞬だけこちらの方を向いた。
そして、一瞬だけ目が合った様な気がした。
その瞬間―
俺の目には、涙が浮かぶ。
(((あ、貴方が―俺をここに呼んだのか!?)))
俺は、そう言おうとしたが…何故か、声が出なかった。
彼女は…また視線をグリフィンに戻すと、何かの用でもあるのだろうか。
忙しなくグリフィンに乗って、すぐに飛び立ってしまう。
そして―
その姿は、瞬く間に空の彼方へと消えていく。
(((ちょ、ちょっと、待ってよ、イブ―!!)))
(ちょっと、待ってえええ―!!)
○
「イブ、おはよ~!!」
「「ハっ―!!」」
目を覚ますと、そこは草原の上であった。
「チュンチュンチュンチュン―」
「ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウ―」
「ファアアア~ア…」
(ん~、空気が美味しいわ…)
爽やかで、涼しい風が私に当たる。
高地に生い茂る草原の上に、広がる紺碧の空からは…夢に似た眩しい日差しが、燦々と降り注ぎ、私を照らしていた。
「…」(私)
「ハァ…」
ゆっくりと、ため息を吐く私。
折角の面と向かって、話せるチャンスをみすみす逃してしまいましたね。私は、空にプカプカと浮かぶ雲を見ながら思う。
「本当にもう『ちょっと、待ってよ』じゃないよ。一体、今…何時だと思っているの~!?」
「もう、起こしても全然起きないんだからさ~!!」
ゼニィーは、疲れ果てた顔で言う。
「ゼニィー…」
「私…今、イブと会ったわ!!」
「はぁ!?」
「いや、貴方がイブでしょ。一体、何を言っているの~!?」
「まだ、寝ぼけているんじゃないの~!?」
ゼニィーは、呆れた顔で言う。
「…」(私)
「そ、それもそうね…」
私は…
少し神妙な気持ちになりながらも、我に返って言う。
あ~それはそうと、夢に出てきた…あの村ですが、前に行った事がある様な気が…
(う~ん…)
「「あっ、そうだ!!」」