60話 さて今日の大物です
「ルイア…」
やっと、ルイアは私の事を思い出したみたいです。
「ハァハァハァハァ…」
私は…ヘロヘロと力が抜けて、地面に座り込みます。
しかし、ホッと一息ついたのも束の間―
「フっ…」
「やっぱり、イブね」
「えっ―!!」
ルイアは、そう言うと私に向けて剣を振るいます。
「「「ズバアアアアアアアアアアアア―ン!!」」」
「「「グロオオオオオオオオオオオオ~!!」」」
私が振り向くと、私達に猛炎を吐いた巨大サラマンダーが、今まさに私に飛び掛かり襲おうとしていた所で―
それをルイアの剣が、両断していた。
巨大サラマンダーは、叫び声と共に散っていきます。
「「ちゃんと、周りを見ないと駄目よ!!」」
「ル、ルイア、有難う…」
一瞬、焦りましたが…もう大丈夫な様でした。
私は、ルイアの差し伸べた手を掴んで起き上がります。
そうそうー
私は、無意識に全魔力を解放させて、ルイアを突き飛ばそうとしましたけど…元々の魔力が空っぽの私が、そうした所で威力はたかがしれていまして、ルイアは屍の山から転がり落ちる程度でした。まぁ…それが結果として、ルイアが思い出すキッカケ?になったみたいですけどね。
(それで、ルイアは結局の所…)
私と共に炎に呑まれていたのですが、ゼニィーがバリアを張って守ってくれていました。
ゼニィー、ナイスプレーです!!
私は、空をパタパタと飛んでいるゼニィーに向かって、グーサインをしました。ゼニィーも、そんな私を見ながら手を振っていた。
そして、私とルイアは久しぶりの再開を喜び合おうとしましたが―
「ゴオオオオオオ…」
「ゴオオオオオオ…」
「ゴオオオオオオ…」
「…」(私)
さっきから聞こえる…この音は、一体!?
まるで、地下で何かが激しく流れている様な不気味な音だった。
私は、キョロキョロと辺りを…いや、音がする地面を見渡します。
瀕死になった巨大サラマンダーが、復活する時に聞こえる音だと思いましたが…どうやら、違うのでしょうか。
【【【― 炎恨唱 ―】】】
「「「「「!!」」」」」(私とルイア)
気付くとー
私達と、少し離れた所にサルジャールが立っていました。
炎を纏ったフードの中の闇は、私達を一点に見つめながら、不気味な呪文を唱えている。
すると―
辺りに散乱していたサラマンダーやゴーレム兵達の亡骸が、悲鳴を出し始める。
【【【グロオオオオ~!!】】】 【【【ギャアアアア―!!】】】
【【【ヒイイイイ―!!】】】 【【【ウオオオオ~!!】】】
【【【グロオオオオ~!!】】】 【【【ガアアアアア―!!】】】
【♪】 【♪】
【♪】 【♪】 【♪】
【♪】 【♪】
【♪】
【♪】 【♪】
【♪】
【【【【【ハハハハハハハハハハハハハハハハ~♪】】】】】
【♪】 【♪】 【♪】
【♪】 【♪】
【♪】
【【【ルンルンルン~♪】】】 【【【ジャンジャン~♪】】】
【♪】 【♪】 【♪】
【♪】
【♪】 【♪】
【♪】 【【【楽しいアイツが地獄の底から殺って来る~♪】】】
【♪】 【♪】 【♪】
【【【今日は、何して遊ぼうか~♪】】】
【♪】
【♪】 【♪】 【♪】
【【【そうだ、今日アイツを丸焦げにして遊ぼうよ~♪】】】
【♪】 【♪】
【♪】
【【【だから、早く来て来て来て来て~♪】】】
【♪】 【♪】
【♪】
【♪】 【♪】 【♪】
【♪】
【♪】
【♪】 【♪】
【【【待ち焦がれて、黒焦げになった私のもとに―♪】】】
【♪】 【♪】 【♪】 【♪】
【♪】 【♪】 【♪】 【♪】
【♪】 【♪】
その血まみれた悲鳴は、次第に1つの旋律になり…
不気味な合唱になっていました。
皆、血をガブガブと吐きながら、楽しそうに歌っている!!
(((こ、これは、魔法なのか―!?)))
「「「!!」」」(私)
「「「「「ドドドドドドドドドドドドドドドドっ―!!」」」」」
「「「「「ガタガタガタカダガタガタガタガタガタ―!!」」」」」
直後、地面からする音はさらに大きくなり、地面が激しく揺れ出す―
「「しまった、イブ!!」」
ルイアはそう言うと、私を抱えて一気に飛び上がる。
ルイアの足は炎を纏っていて、強い上昇気流と共に、私達は町の宙を舞っていた。
「「「「「「「ドゴオオオオオオオオオオオオ―ン!!」」」」」」」
「「「「「グロオオオオオオオオオオオオオ~!!」」」」」
「「ウオオオオオ―!?」」
「「何だ、コイツうううう!?」」
私達がいた真下の地面から―
とても巨大なサラマンダーが、噴火する火山の様に飛び出してきたのです。大きさは、100メートルを余裕に超えているでしょうか。
魔獣といいますか、これは大怪獣です!!
全身に炎を纏った体表は、オレンジ色の眩しい光を放っている。
そして、その光以上に真っ赤に輝く禍々しい赤い目が…
一直線に私達の事を睨みつけていた。
「「あれは、超巨大サラマンダーだ!!」」
「「竜と同じ危険度のC5(カテゴリー5)の魔獣だ。だか、その厄介さと強さは、竜を軽く凌ぐぞ!!」」
私達は、近くの建物の屋上に舞い降りる。
少し離れた場所から見ますと…改めて、その巨大さが分かる。超巨大サラマンダーの前では、普通のサラマンダーが只のトカゲに見えてしまう(巨大サラマンダーは、イグアナです)
ルイア曰く、C6(カテゴリー6)に片足を突っ込んだ魔獣らしい。
サルジャールが、辺りに広がる大量の屍肉…
主にルイアが斬り倒した敵の屍を使い、地底の奥深くからこの魔獣を誘き寄せたとの事です。
「ゴクンっ」
(流石に、ヤバそうですけど…)
「一応、ボクのバリアの対応範囲内だけど、攻撃を喰らいすぎるとバリアにヒビが入る事もあるから、気をつけてね~!!」
ゼニィーは、ビビりながら言う。
「…」(私)
そういえば…サラマンダーって、水が弱点だったわよね。
私も、焦ってアタフタします。
「「アイツの弱点は、水よ!!」」
「「ゼニィー、今すぐ蛇口から水を汲んできてっ…いや、消火器を持ってきて!!」」
「「えっ、消火器って何…!?」」
「あそこまで、巨大になったサラマンダーに、もはや水という弱点は存在しない。たとえ、海に突き落とした所で、その炎は消える事はないだろう」
ルイアは、言う。
「えっ、ウソ…」
「そうだ、アイツ…足が凄い遅いわよね」
「走って、逃げましょうよ!!」
「それも、無駄だ!!」
「超巨大サラマンダーは、通常のサラマンダーの遅い動きとは真逆で―その動きは、火山の噴火で噴き上がる爆炎の如く、凄まじく俊敏だ。一度目をつけられたら、地の果てまで追いかけて来るだろう」
「じゃ、じゃあ…ど、どうするの?」
私は、更にアタフタする。
しかし、ルイアは―
火の粉が雨の様に降る町で
銀色の髪を揺らめかし凛として
超巨大サラマンダーだけを見つめていた。
「それは、決まっているだろう」
「それは、イブ…お前が昔、飽きる程やっていた事だろう」
「「「「「華麗に斬って、倒す。それだけだ―!!」」」」」
「「「「「グロオオオオオオオオオオオオオ―!!」」」」」
「「「「「ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ―ン!!」」」」」
―ルイアが、そう言った瞬間に超巨大サラマンダーは、私達に向かってミサイルの如く突っ込んでくる!!
「「さっきは、遅れをとっただけだ!!」」
「「今は…今までで、一番調子が良い感じがするぞ!!」」
「「何でも、出来る気分だアアアア―!!」」
ルイアは、そう言うと白く眩しい剣を構えた。
―火の魔法 奥義 業火旋風竜―
ルイアは、横に大きく剣を振るうと巨大な炎の竜巻が発生する。
凄まじい高熱の突風が、上空に向かって吹き荒れる。
「「「「「ドドドドドドドドドドドドドドドド―!!」」」」」
「「「「「グロオオオオオオオオオオオオオ~!!」」」」」
ルイアの発生させた炎の竜巻は、突っ込んでくる超巨大サラマンダーの猛炎を蹴散らし、更に巻き込んで空高く押し上げた。
―空高く舞う、超巨大サラマンダー!!
「「!!」」(私)
以前、ルイアに火の魔法の奥義を見せて貰った事がありましたけど、これは…同じ奥義でも全然、次元が違います。マッチ棒の火と、火山の噴火くらいの違いがあります。実際に、超巨大サラマンダーは火山の噴火に吹き飛ばされた様に、空高く舞っていました。
そして、それでいて―
「この中…全然、熱くないね。あと、吹き飛ばされないし~!!」
ルイアが発生させた竜巻が吹き荒れる中を、ゼニィーが言います。
私とゼニィーは、竜巻のど真中にいました。
ゼニィー曰く…
バリアがあるから、防いでくれている訳ではないとの事です。これは、ルイアが私の所に竜巻の影響がいかない様に、魔法を上手くコントロールしているかららしい。
((大胆でいて、なんて繊細!!))
((凄い、凄すぎるわ、ルイア!!))
ルイアは、自身が発生させた竜巻に吹かれて、宙を舞っていた。
縦横無尽に吹き荒れる風の中を、ルイアは進んでいく。
そして…その先には、超巨大サラマンダーが見える。
―火の魔法 奥義 業火纏い―
ルイアの剣は、巨大な炎を纏い―
「「「「「ズバアアアアアアアアアアアアア―ン!!」」」」」
ルイアは、空中で超巨大サラマンダーの首を一刀した。
「「「討伐完了だアアアア!!」」」
ルイアは宙を舞いながら、私にグーサインをして伝えた。




