……恋の結末
「やった、勝ったよ」
「お疲れ」
「ナイスです」
「ワイは信じとったぞ」
「さっきまで、『もう終わりやー」とか言ってたくせに」
先にやられて戻っていた《チーム・スカイマウス》の面々は、最後の戦いに勝って戻って来たシロンを、拠点にて迎えた。
どうやら、中継を息をのんで見守っていたらしく、シロンに優しい言葉をかける。
そのまま、今回のイベントの祝勝会を開始した。
20歳を超えている、ヒロ、ハッシュ、ユー、ラウルの四人組が、シャンパンの蓋を飛ばし、Fはパンっとポ〇チの袋を爆発させる。
ハッシュはヘタクソな癖にレースゲームの用意をし、シロンは冷蔵庫を開けてジュースを……
「ジュースがない!」
「えー。シロン、勝ってきて」
「任せて!」
「ワイはコーラで」
未成年組からリクエストを受け、シロンはUFOから飛び出して、下のア肆ネルの町に降り立った。
行きつけのスーパーに突入し、爆速で注文の物を買って行った。
そして、UFOに戻ると……居間には誰もいない。
「みんなー?」
ちょっとしたホラー感に不安になりつつも、他の通路に出てみると、すぐに全員が見つかった。
みんな、何かを見つめている。
「どうs」
「ピヨ(静かに)」
「ビークワイエット」
何をしているのか聞こうとすると、ハッシュに手早く口を塞がれた。
声を発せないまま、みんなの見ている方を見ると……ツィンとリムスが向き合っていた。
「【火設炎操・字】(小声)」
Fが小声で火を出し、文章を形どった。
『リムスの奴、イベントの前に この戦いで勝ったら、告白するって言っとったんや』
こんなボテボテなフラグが建ってるのに、良く勝てたな。
つまりここは……告白の現場。
すぐにシロンも胸がトキメキ、静かに見守ることにした。
頑張れリムス!
「……それで、話って何?」
リムスが、中々切り出せずに黙り込んでいると、ツィンから話し出した。
「あ、あ、えっと、何も」
彼は、少ししどろもどろになり、何もないと言いかける。
シロン達傍観者が目を見開き、さらに注目していると、リムスは拳を握り締め……何もしていたいのに、演奏しているような表情になった。
「ええぞ!」
「ピヨ(黙ってろ)」
うっかり声を上げたFを、ハルヒが黙らせる。
そして、注目は再び二人へと向かった。
「どうしたの?」
「……ツィンさんに、伝えたいことがあります。
好きです、ずっと前から好きでした。僕と付き合ってください」
リムスは、大きく頭を下げ、そう言い放った。
それに対して、ツィンは……彼女にしては珍しく、顔を赤くして動揺している。
これは……どうだ?
ツィンの口が、開き、
「……ごめん」
何故か、背景に桜が見えた気がした。
……リムスの顔を見ることができない。
だが、まだツィンの言葉は終わっていなかった。
「少し、考えさせて」
リムスはポカンとして、
「はい。前向きに検討して下さい」
とだけ返した。
見ているだけのシロンの胸も高鳴り、先の展開が気になる。
後でツィンに突撃レポートしようと決意した。
「よし、逃げるぞ」
「バレてるって」
ラウルの掛け声で、一斉に逃げ出そうとしたが、どうやら勘が良いツィンにはバレていたらしい。
ユーの光学迷彩があったのに……。
「ほら、パーティーの続きでもしよう」
「う、うん。そうだね」
みんなで居間に戻って、パーティーの続きをする。
途中でツィンを連れて、パーティーを抜け出した。
彼女も何の話をするのか分かっているのか、人が居なそうな、UFOの円盤上で町を見下ろしながら会話する。
「それで……どうするの?」
「何が?」
「例の件だよ」
シロンがニヤニヤしていると……ツィンは諦めたように喋り始めた。
「うーん、本当にどうしようかなー。良い人なのは知ってるし、面白いけど……ちょっと頼りがいがないんだよね」
「ああ……。でも、ツィンは引っ張っていくタイプじゃん」
「確かに。……私、真白より先に彼氏を作っちゃうかもね」
今度は、ツィンがいい笑顔になり、シロンに質問を返した。
「真白の恋はどうなのよ?」
「全然進まないよ。サインは持ってるんだけどねー」
「……そういえば、アンペルが副会長はUAOをやってるって言ってたよ」
「え?」
一瞬、シロンの頭は真っ白になった。
弄ろうとしていたのに、いつの間にか弄られる側に変わっている。
そして、ツィンは、最後に爆弾を投下した。
「イグノだって」
「え?」
……私たちの物語は終わらない
ツィンの返答は、ご想像にお任せします。
最後までご愛読いただき、ありがとうございました。
ちなみに、考えたスキルの数は、SeaとSky、使わなかったのも合わせて、150個程です。……機会があったら、この記録に挑戦してみてね。
絶対にこんな形式でスキルを考えない方が楽だよ。
あと、Universal Sky and Sea Onlineの元ネタは、デュエマの「ユニバ―サル・鮫・アンド・シー」というカードです。
初期ではUSOのつもりだったけど、いつの間にかずっとUAOって書いてたから、もういっかってなった。
来週くらいから、新シリーズを掲載します。
VRMMOではなく、ファンタジー系の重めな感じになると思いますが、気が向いたら見に来てあげて下さい。
では、機会があれば【纏神 神が降りてきた世界(仮)】で会いましょう。




