突撃
空海決戦が始まる時。
特に作戦などは定めず、各クランで自由にやってもらう予定だ。
「勝てるかなぁ」
「大丈夫。なんとかなるよ」
シロン達、《チーム・スカイマウス》のメンバーは、遥か上空にいた。
詰められた時に、連携が取りやすいように見知ったメンバーで固めてある。
そして、相手の本陣は海底にあるらしい。
こっちが上から始まる分、少し有利かな?
ちなみに、大将の位置情報はバレるので、隠れたりはできない。
開始時間が迫り……本陣に、最前線の様子を見ることができるモニターが出現した。
結界で包まれた海面を挟んで、鳥人間と魚人間が睨みあっている。
こう見ていると、壮大な映画みたいだ。
「おー、凄い」
シロン達は、画面を食い入るように見ていると……海面にザ・バードと、ザ・フィッシュが現れた。
今回は合同のイベントなので、二人で開始宣言をするらしい。
『そろそろ始めます。デュエル開始ィィィ!』
『そろそろ始めるよ。デュエル開始ィィィ!』
二人の叫び声で、海面に張られていた結界が解除され、決戦が始まった。
すぐに多くの人が必殺技を発動させ……
「【顕幻・セイレーン】」
「【顕幻・リヴァイアサン】」
「【顕幻・海坊主】」
Sea側は、怪物達が最前線に並んだ。
UAOの中で、【顕現・〜】というのは、その生物になる必殺技のこと。
例えば、【顕現・ドラゴン】だと、発動させた本人はドラゴンになる。
もしかして……相手は統制がとれてる?
「ひ、怯むな。撃て!」
「【接着粘着汎弩】」
「【The power of God】」
「【王水 NOCl】」
「【音響指高破膜】」
最初は遠距離一撃必殺の打ち合いになったが……相手は、怪物達の影に隠れたせいで被害は少なく、こっちは結構集まっているせいで、数十人が一気に持ってかれた。
しっかり作戦を立てて行動している、あっちが有利だ。
「え、ヤバくない?」
「ノープロブレムです」
シロンは不安になっていたが、ハッシュは何故か余裕そうである。
「……どうして?」
「こっちには、頼りになる戦士がいるじゃないですか」
「【フェアリー戦士 ファイアレッド】」
「【フェアリー戦士 ウォーターブルー】」
「【フェアリー戦士 ランドイエロー】」
最前線に、3人のフェアリー戦士が現れた。
そして、それぞれが魔法を放つ!
「〈メラバーン〉」
「〈バケットレイン〉」
「〈アースエンジャー〉」
モンスター特攻能力により……相手の怪物達は跡形もなく消し飛んだ。
強固な壁が一気に無くなり、焦った相手に、攻撃をしていく
「【鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス】」
「【鉄扇・嵐の舞】」
「【グランドクロス T セイントオーヴァー】」
これまでの不利を覆す様に、十数人の魚を倒した。
不利を悟ったのか、一旦体勢を立て直すために、相手は一旦引いていく。
追撃しようと、こちらが前に出た瞬間。
「突撃ィィィ!【ワン ヒット ピアー】」
「【影の王国の住人】」
「【WHITE・DEATH】」
フェアリー戦士達が厄介だと思ったのか、特攻要因が突撃し……3人ともやられてしまった。
まあ、アレだけやれれば十分だろう。
相手の殿を冷静に倒しつつ、前線を上げていく。
「【バード×キャット】」
「【一撃必殺針】」
……数人は持っていけたが、どこか違和感がある。
例えば、『初めから下がるつもりだった』とか。
シロンが、嫌な予感を抱いていると、
「第二陣、行きます!【顕幻・タニファ】」
「【顕幻・レヴィアタン】」
「【顕幻・栄螺鬼】」
第二陣の怪物達が現れ、再び壁を成した。
こちらにも【顕幻・~】系の怪物はいるが、特に考えずに単独でいるため、囲まれてやられてしまい、有効活用できていない。
「【水地雷・氷の型】」
「【バクテリア アクティベーション】」
「【Διαφανείς μέδουσες】」
至る所で氷化する爆弾が爆発し、水を飲んだ人々が毒に苦しみ、透明だったクラゲに刺された。
どうやら、相手は撤退する最中にトラップを仕掛けていたらしい。
やっぱり、仕組まれたものだった。
トラップで混乱が起こり、その隙を相手の前線部隊が刺す。
こちらの前線は瓦解し、大きな人数差がついた。
「ダメ、人数差と戦意で押し切られてる。このままだと、残り10分くらいでこっちの本陣まで来るよ!」
ツィンが、絶望的な現状について報告した。
ちゃんと作戦を立てていた、相手が偉かった。
「ツィン……打開策ない?」
「……一つだけ。クラン決戦システムって知ってる?」
「何それ?」
クラン決闘システムとは、逆転用の救済システム。
大将にのみ使え、一定範囲内に相手の大将がいると、両方の大将とそのクランメンバー以外の干渉を受けない結界が展開できる。
大きな人数差があっても、大将にさえ近づければクランVSクランまでに縮められるのだ。
運営によると、大将の二人が同じ10人のクランリーダーなので、このシステムが採用されたらしい。
「つまり……相手の本陣まで行ければ、10VS10にまでできる」
大将であるシロンが最前線に出なければならない、捨て身の戦法。
だが、ここから勝つにはそれしかないのだ。
シロンは、即決した。
「行こう、海底まで。みんな、力を貸して」
「付いてくよ」
「しゃーない。行こか」
「ピヨ」
《チーム・スカイマウス》の全員が揃い、翼を羽ばたかせた。
本陣の近くに残っていた人たちも束になり、一つの集団になった。
「目指すは一点突破!《チーム・スカイマウス》の全員を、一人も欠けることなく、相手の本陣まで送り届ける!」
「おおおおおおおおおお!」
「うわ、なんだこいつら!?」
「大将がいるぞ!打ち取れ!」
「その白い奴だ!【スターレイス ж スイレータス】」
「【ヒギョウ様】」
「【鱗粉破片粉粉目潰】」
「【ウォール オブ プラチナ】」
弱体化や防御系能力を使って、少しでも危険を減らしつつ、脇目もふらずに海底に向かって降りていく。
「逃すな、打ち取れ!【ロスト アサルト】」
「【ROCKET ALTER STAND】」
やっと入水して、残り半分といった所で、シロンの装甲が剥がれ、HPバーが少し短くなった。
それでも、シロンは味方を信じて進むしかない。
「大将にダメージ入ってるぞ!」
「守れ守れ【絶対防護ノ障壁】」
「【ワールド ワンダー ワットレット】」
必殺技が飛び交い、先頭のシロンはドンドン傷つき……
「【絶対切断 鋏】」
残り少しといった所で、ついにシロンの首が飛んだ。
相手の方は湧き上がったが……こちらは止まらない。
相手の魚達が湧き上がっているとシロンの死体は変貌していき……いかつい男になった。
「【王武返志】」
やられたシロンは、オウムの偽物。
大将の位置が分かると言っても、アバウトな場所しか分からないので、それを利用して、偽物を矢じりに立てていたのだ。
「本物はどこだ!?」
「もう時間ねえぞ!」
そう、もう相手の大将までほとんど距離がない。
「【ウォール オブ アルカトルズ】」
最後に壁を作られたが、シロンはようやく必殺技を発動させ、
「【古代凱装羅骨】〈霊爪〉!」
霊力の爪で壁を破り……Seaの大将、イグノを発見した。
もうこの距離は、結界を発動できる距離。
「「クラン決戦結界、機動!」」
二人の大将の間から、四角い結界が広がっていき、クランメンバー以外は押し出される。
《チーム・スカイマウス》の他のメンバーも、ほとんど傷つかずに結界内に突入し、絶望的な盤面を10VS10にまで持っていけた。
「勝つよ!」
……みんな、オウム覚えてるよね?
相手の全てをコピーするやつよ?
現在Sky240pt Sea196pt




