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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
最終章 空海決戦
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決戦数時間前

 夏休みも中盤になった頃。

 いつも通りシロンがUAOにログインすると、騒がしい通知音が頭を揺らした。


「え、何!?」


 朝の目覚まし時計を止めるが如く、一瞬で通知の音を切った。

 内容を見ずに、とりあえずみんながいるであろう、UFOのリビングへと飛んでいく。


「こんにちはー」

「シロン!通知見た!?」

「え?」


 リビングでは、珍しくハイテンションなツィンを含めて、今いるメンバー全員がシロンの方に注目している。


「え、私なにかやっちゃった!?」

「やっぱり見てなかった……」

「だって、長い文章を読むのは苦手なんだもん」

「まあ、簡単に言うと……」


 ツィンによると、今回の通知は第六回イベントの告知だったらしい。

 今回のイベントの内容は、海陣営VS空陣営の大戦争。

 全ての魚VS全ての鳥。

 そして、その戦いの勝利条件は、敵の大将を倒すことで……大将は前回イベントの優勝者になる。

 あのタイマン大会の優勝者である、シロンが大将になるのだ。


「……?」

「つまり、次のイベントで最重要ポジションになるの!」

「わ、私が?」

「シロンが死んだら負けや」

「えええええええええええええ!」


 いつの間にか、超重要役職にされていた。


「どどどどどうにかならない!?」

「ピヨ(諦めろ)」

「面白そうじゃないですか」

「我が護衛隊隊長だ」

「それやりたいだけじゃん!」


 みんな他人事だと思って、まともなアドバイスをしてくれない。

 というより、護衛が楽しそうだといった感じだ。


「まあ、私たちが相手を近づけなかったらいいんだから」

「……ううん、ちゃんと責任は自分で持つよ」


 もう仕方ないと諦めて、覚悟を決めた。


 ちなみに、報酬は『夏休みキャンペーンが終わっても海に潜れる様になる』というもの。

 つまり、今回のイベントによって、このゲームの楽しさは倍くらい変わる。


「本当に責任重大じゃん」





 イベント当日開始数時間前。

 運営が設けてくれた、イベント参加者全員が集まり、大将の演説を行うとかいう、人によっては死にそうな場。


「ファイトです」

「大丈夫、たった一行だよ」

「うん」


 ハッシュとユーに励まされ、シロンは演説の台に上がった。

 広場には、今回のイベントに参加する数万人のUAOプレイヤーが集まっていた。

 この人たちの思いを全て背負うのだと再認識し、大きなプレッシャーが掛かる。


 ツィンからは、いつもクランで言っているように、『みんなでガンバロー』だけでいいと言われていたが……それだけではダメな気がした。

 自分の言いたいことを考えつつ、マイクを握る。


『あ、あー。今回の大将になったシロンです。よろしくおねがいします』


 若干声の音程に不安を覚えつつ、みんなの様子を確認すると……小さな子どもを見守る様な、優しい目でシロンを見ていた。

 少しづつ勇気と、言いたいことが沸いてくる。


『……私は、そんなに強くありません。前回のイベントでは優勝できましたが、この中も私に勝てる人は沢山います』


 これは本当。

 UAOにはかなりの相性が絡んでいて、例えば前に共闘したアンペルなんかには、音速の五倍の速度と鎧を貫ける威力の弾丸で、相当上手くやらない限りは勝てないだろう。

 同じように、幾ら大会で優勝していても、一対一で負けることは幾らでもある。


 それを踏まえて。


『ですから……弱い私を守ってください。お願いします』


 頭を下げた。

 言いたいことは言えた。

 静まり返る広場に、一抹の不安を覚えていると……場が一気に盛り上がった。


「私がシロンちゃんを守る!」

「いや、戦った俺からすれば、全然弱くないんだが……まあいいや」

「やるぞー」


 みんなの温かい声援に、力を貰ったシロンは改めてマイクを握り締め、


『みんなでガンバロー!』

「おおおおおおおおおおおおおおお!」


 いつもの言葉で(シメ)た。



 ちなみに、通知の最後に各大将の名前が書かれていて、

 Sky側の大将:シロン

 Sra側の大将:イグノ


 シロンは、イグノという名前に見覚えがあり……アンペルと一緒に戦った、デュオ大会の相手だった。

 あの引き分けになった人だ。


「……勝てるかなぁ」

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