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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
最終章 空海決戦
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てにっす

「よし、みんなでテニスしよう!」


 シロンは、10本のテニスラケットを抱えていた。

 全員でやるき満々である。


「突然だね……まあいいけど」

「えへへ、久しぶりにやりたくなってきちゃって。コートはもう借りてあるから」


 シロンは、中学校三年間、生粋のテニス部員だった。

 昨日アンペルと町を見ていた時に、ふとラケットを見かけてしまったのである。

 ちょうど今日は全員が集まれる日だったので、みんなでやることにした、


「ワイ未経験なんやけど」

「大丈夫、教えてあげるから」


 ってことで、町のテニスコートにみんなで行った。

 ゲーム基準なのか、現実よりも少し広いコートになっている。


 とりあえず、未経験でラケットすら握ったことがないリムスやFに、ラケットの振り方から教えていく。

 他の人たちは、飛びながらラケットを振る感触を確かめていた。


「Fは、もっとこう……頑張って!」

「……もうちょい具体的に教えてくれや」

「面の向きを合わせるのよ」

「そう!」


 ……教える気満々だったが、語彙力がないせいで、活躍をツィンに取られた。

 そういえば、テニス部時代も教えるのが下手過ぎて、真白だけ後輩の指導役をさせてもらえなかった気がする。


「リムス?」

「……僕、ダメみたいです」

「リムスー!カッコいいところ見せるチャンスやろ!?」

「運動は無理なんです……」


 さっきから、ラケットを振る度に、転んだり自分の頭にぶつけたりで、散々なことになっていた。

 逆にどうやるのか分からない。


「……もうBGMでも流しときますね」

「エ〇ヤでお願いします」

「はい【真達羅合奏団】」


 ハッシュのリクエストで、無限に剣を投影しそうなBGMが流れた。

 必殺技のお陰か、音質がいい気がする。


「じゃあ、最初は私とツィンで見本を見せるね」

「……うん」


 ラケットと同時に買ったテニスボールを取り出し、パワー特化で大きく上に投げ出した。

 頂点に行った所で、シロンも飛び上がって弾に追いつき、思いっ切りツィンのコートに叩きつけた。

 パァンと心地いい音が響く。


「こうなると思ってたよ!」


 打ち込まれたツィンは悪態付きつつも、落下予測地点へと走り、思いっ切りラケットを振りかぶる。

 どんなバウンドをするか分からないので、ノーバウンドでボールにラケットを合わせた。

 そこら辺の反応は流石だ。


「行けぇ!」


 余りの勢いに押し負けそうになったが……そこで二回目のラケット音が鳴る。

 ツィンは、ラケットを振りかぶった時に、【ツバメ】のスキルを発動させていたのだ。

 約二倍のパワーで、ボールを押し切った。


「やるね!」


 しかし、相手はシロン。

 一瞬で撃ち返されたボールに追いつき、思いっ切りラケットを振るった。

 またエグいスピードでボールが飛び……コート外まで吹っ飛んで行った。


「アウト」

「……ちょっと力み過ぎちゃった」


 主審のユーがアウト判定を出した。

 UFOの最新判定技術だが、必要なかったらしい。


「とまあ、こんな感じだよ」

「……まあ、リアルで超次元テニス出来るって考えたらアメージングですね」

「コート広いし、ダブルスにしよっか。やりたい人!」

「はい!俺やりてぇ!」

「ピヨ(アニキをボコボコにする!)」


 シロンのチームにヒロが入り、ツィンの方にハルヒが入った。

 そして、試合再開。


「行くぜ!【牽喰い倪り】」


 ヒロはボールを投げ、必殺の横蹴りでボールを飛ばした。

 普通は反則だけど……ローカルルールだからオーケーです。


「そっちがその気なら、こっちも使わせて貰うよ。【巣構築・美燕嶺徹】」


 ツィンがステータスを向上させる陣地を構築し、もう一度二回撃ちでボールを返した。

 またシロンがそれに追いつき、ラケットを振


「ピヨ(【ヒギョウ様】)」

「うっ!」


 体が上手く動かなくなり、ラケットの振りが遅れ……空振りになった。


「……これ、何点先取?」

「とりあえず四で」



 現在0‐2で、凄く負けている。

 あっちはサーブしたい構成でもないので、全部こっちからだ。

 

「挽回するよ。ヒロ、合わせて!」

「応!」


 ボールをトスして、シロンは左からラケットを振り、ヒロは足を振り上げた。


「「せーの!」」


 同時にボールに触れ、合体技を発動させた。

 二人のえげつないパワーが混じり合って、水平にボールが飛び……ツィンの首元を掠め……


「アウト」

「あー!」

「クソ、ツィンに当てたらセーフだったのに」

「こわ!」

「ピヨ(アニキ、ゲス)」

「レッドカード!」

「え?」


 余りの危険思想に、ユーが一発退場させた。

 多分ジョークで言ってたのに……まあ妥当か。


「誰かー私と組んでー!」

「フッ……とうとう私が出る時が来たか」


 シロン・深淵VSツィン・ハルヒ


「深淵、テニスできるの?」

「ほぼ初めてだが……鬼教官(ツィン)に一矢報いてやる」

「……何があったの?」

「あいつ、勉強を教える時は鬼だ。感謝はしてるが、それとこれとは話が別」


 どうやら、やる気は十分らしい。

 

「じゃあ、行くよ!」


 シロンは、もう一度ボールを大きく投げ……ハルヒの視線に妨害されたが、十分な威力のサーブを放った。

 空気を切る音がして、摩擦で少しボールが赤く染まる。


「ハルヒ、任せた」

「ピヨ(任された〈殻盾〉)」


 ボールの先に居たハルヒは、卵の殻で盾を作り、ボールを反射した。

 ……シロンはサーブを撃ったまま空中にいるので、さすがに追いつけない。


「深淵!」

「任せろ〈黄金律〉」


 彼女は、ラケットを金で伸ばし……明らかにツィンに向かって撃ち返した。

 だが、ツィンもシロンと同じく元テニス部。

 むしろ、大会の結果はシロンの倍くらい良い。

 深淵の中途半端な返しくらい、なんの苦もなく撃てる。


 そして、ボールが帰って来た方向は、またもや深淵。


「頑張れ!」

「フッ、任せろ。【魑魅魍魎☆百鬼夜行】」


 彼女の袖から、魑魅魍魎(ヘビとか妖怪)が這い出し……ラケットを支えた。

 無数の妖怪と共にラケットを振りかぶり、全員全霊でツィンに向かってボールを


「ピヨ(【ヒギョウ様】)」

「あ」


 ハルヒの弱体化でタイミングがズレ、またもや空振りになった。

 ……テニスで自由に相手を弱体化できるのは、強いということが分かった。


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