楽しいダンジョン攻略
「SYAAA!」
洞窟の側面にある穴という穴からヘビ鳥が飛び出してきた。
どこからか白い盾を取り出したハルヒがヘビの攻撃を受け止め、
「ピヨ(おにい)」
「オラァ!」
横からヒロが蹴り飛ばした。
流石リアル兄妹、息が合った連携でヘビ鳥を倒していく。
すこし処理能力が足りてない気もするけど、その辺はシロンとツィンでカバーして、
「ッツ、こいつら多分無限沸きだぞ!」
「逃げよう!」
「ピヨ(私足遅いから逃げれない)」
「私に任せて!」
攻撃特化のシロンが、ハルヒを持ち上げて、
「とー!」
「ピヨー!(ワー!)」
思いっ切り進行方向に投げた。
「ツィンも投げよっか?」
「いらない」
ツィンが時々空刃を仕掛けて、見えないトラップがあるように見せていると、ヘビ鳥たちは追うのをやめてくれた。
「ふう……なあ、まだハルヒの姿が見えないんだが、どこまで投げたんだ?」
「……さあ?」
「曲がり道があればそこで止まってるんじゃない」
もう少し進んでみると、ツィンの予想通り、曲がり道に大きな卵が刺さっていた。
「おーい、大丈夫かハルヒ?」
ヒロが呼びかけると、卵が割れて……中からハルヒが出てきた。
「ごめんね、ちょっと投げすぎちゃった」
「ピヨ(ジェットコースターみたいで楽しかった)」
そう言って、シロンに張り付いた。
何だかんだでシロンにはなついている。
「……私の方に来てもいいんだよ」
「ピヨ(シロン姉)」
……シロンにはなついてる。
「さて、そろそろボス戦だし、お互いの能力を正しく把握したいんだけど……」
「能力晒すのはタブーなんだが……まあいいか。俺は【ヒクイドリ】で、足技の威力とスピードが上がる」
「ピヨ(私は【ひよこ】)。ピヨ(自由に硬い卵の殻を出せる)」
「教えてくれてありがとう。私は【始祖鳥】で……」
全員の能力を共有したところで、ちょうどボスの部屋に着いた。
「よーし、みんなで頑張ろー」
「「「おー(ピヨ)」」」
意気揚々とボス部屋に入っていき、中央に描かれた魔法陣みたいなのから出てきたのは……コブラ鳥だった。
「JAAAA!」
大きな咆哮が響いて、空気がビリビリする。
最初の攻撃として尻尾が振るわれ、ハルヒが殻で受け止めた。
小さい身体に対して、強かな子だ。
「ハッ!」
「オラァ!」
その止められている尻尾をツィンが切り付け、ヒロがキックした。
さらに、シロンはスピード特化で上に回り込み、
「とー!」
「JAAAA!?」
全力で殴り伏せた。
既にHPは2割ほど削れている。
そのまま、連続で殴ろうとしたけど、
ポス
「あ!」
間違えて、スピード特化の方で殴ってしまった。
もう結構なスピードになっているから制御だけで手一杯だし、連続で切り替えると、今どっちのステータスを使っているか分からなくなってしまうのだ。
慣れてきたらできるかもしれないが、今は一撃離脱の方が得意になっている。
「んー、難しい」
「JAAA!」
コブラ鳥が、再度咆哮を上げて……ボス部屋の穴から、多数のヘビ鳥が這い出してきた。
「シロンはヘビの対応しといて!」
「分かった」
一体一体丁寧に、一撃で殴り飛ばしていく。
ちょっと間隔があるお陰で、一匹ずつ殴り飛ばせば、被害なしでワンパンできる。
さて、コブラ鳥の方は……紫色のいかにもな液体を吐いてきた。
「JAAA!」
「止めろハルヒ!」
「ピヨ(任せて)」
ハルヒが、広めに殻を展開し、毒を防ぐ。
だが……殻は溶けてしまった。
「おい、もう一発来るぞ」
「ピヨ(カルシウム足りない)」
「任せて!」
ツィンが長剣を振るい……溶けた殻の破片を操って、毒の雨の中に安地を作り出す。
かなり慣れている動きだ、
「ナイス。カルシウム摂取しとけよ」
「ピヨ(もうやってる)」
ハルヒが牛乳を飲んで、カルシウムを摂取している間に、ツィンとヒロでダメージを与えていく。
時々シロンが一撃だけ殴っていくこともあり、あと半分まで削れた。
「この調子でいこう!」
「応! ッツ!?」
コブラ鳥の鱗みたいなやつが逆立って、蹴ったヒロの足に刺さった。
さらに、毒にまでなって……毒消しはいくつか持ってきているが、そこまで多くはない。
「すまん、俺あんまり攻撃できそうにない」
「ピヨ(役立たず)」
「辛辣!……いいぜぇ、やってやるよ。オラァ!」
一瞬攻撃を止めたヒロだったが、毒鱗をガン無視して蹴り始めた。
「毒なんかに負けねえ!気合とガッツと……その他諸々でなんとかなる!」
「ピヨ(それでこそうちのおにいだ)」
「……なにこの兄妹」
ヒロの頑張りもあって、残り3割までいき、もうほとんど勝確な訳だが、
「JAAA!」
急速にコブラ鳥が突進してきて……逃げ遅れたハルヒが捕まった。
とぐろの中心で締め付けられてしまい、完全に卵でガードしているけど、
ピシピシ
少しひびが入り始めている。
「ピヨ(私に構わずやって)」
「諦めんな!おにいちゃんがなんとかするから!」
「……具体的な解決策は?」
「……さっさと倒す!」
ただの脳筋だった。
だが、このままだと卵が割れる方が早い。
その時、卵の元にシロンが降り立って、攻撃特化で引っ張ってみるが、
「抜けないー!」
「ピヨ(私は放って、クリアに専念して)」
「ダメ、みんなでいい景色を楽しむの!」
そう言って、拳を握り締め、
「引いてダメなら、押してみる!」
とぐろの中に、卵を押し込んだ。
「え、なにやってんの?」
「多分中に空間があるから、押し込んだ。あと、卵は全面からの圧力には強い」
けど、実際卵が割れる音は聞こえず……成功したみたいだ。
そして、
「JAAA!」
コブラ鳥は倒れた。
空中からはひびだらけの卵が落ちてきて……
「ピヨ(ありがとう、シロン姉)」
「んー、いい子いい子」
ハルヒを可愛がりつつ、ボス部屋に空いた穴を通ってみると、
「うわー、綺麗!」
そこには、綺麗な青空に、花畑が広がっていた。
「おお、スゲー」
「ピヨ(来てよかった)」
「お菓子とか持ってくればよかった」
「持ってきてるよ!」
そう言って、シロンが取り出したのは……レジャーシートと大量のお菓子だった。
「い、いつの間に……」
「今日ちょっと遅れてきたでしょ。その時買っておいたの。みんなで食べよう」
「俺たちもいいのか?」
「ピヨ(いただきます)」
「おい!」
「どうぞどうぞ。ほら、ジュースあるから乾杯しよ」
「カンパーイ(ピヨ)」×4
景色とお菓子を十分に楽しんでから、ヒロとハルヒとフレンドになって、その日は解散した。
……作中でどうしても解説できなかった能力は、後書きで解説していきます。
読まなくてもOKです。
【ヒクイドリ】
能力:足技強化
低地の熱帯雨林に生息する鳥。
とさかと、喉元の赤い肉が特徴(見たい人は調べて)
普段は温厚だが、そのキックの威力は人を〇せるレベルで、世界一危険な鳥としてギネスブックに載ってる。
【ひよこ】
能力:殻ガード ピヨ語使い
みんな大好きひよこ。
一番周知されている卵だから、この能力。
殻の盾には自分のカルシウムを使う。