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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
最終章 空海決戦
69/76

主人公VS主人公

「まずは一回戦突破!」

「よしよシ」


 一回戦突破を祝って、二人でハイタッチした。

 パチっと景気の良い音が鳴る。


「凄かったー。ねえ、あのバイクって何?」

「私の鱗器ダ。……こっちだと翔具って言うんだったケ?」


 名を[電走駆 エレクトリックBIKE]といい、遠距離魔法型のアンペルが、相手と距離を取る為に生み出した鱗器だ。

 昔は結構活躍していたけど、必殺技が出てからは撃ちだされてばっかになった。


「ところで……次の試合遅くない?」

「んーっと……二回戦の相手は相打ちで、次は三回戦からになるらしイ」

「ラッキー♪」


 ……別にシロンは戦闘狂などではない。

 ただ食べ物のために大会に出ているだけに過ぎないのだ。


「じゃあ、待機時間何すル?」

「……リンゴ!」

「ゴールデンレトリーバー」

「ば!? ば、ば……バッチ!」



「ドッグ!」

『ピンポンパンポン。シロンさんとアンペルさん、第四会場にお集まり下さい』

「グレビーシマウマ……なんか呼ばれてないカ?」

「いそげー!」

 

 二人でしりとりに熱中していると、いつの間にか対戦準備が整っていた。

 足が遅いアンペルを引っ張って、最速で会場へ向かう。


「ギリギリセーフ!」

「学校で言うとチャイムと同時くらいだけどナ……」


 そう言って、少しやつれたアンペルは顔を上げ……今回の相手を見て目を擦った。

 同じく相手の二人も目を擦っている。


「どうしたの?」

「……相手が知り合いだっタ。……っていうか、同じクラン ダ」

「え!?噂の!?」


 アンペルが手を振り、相手もそれを振り返す。


「よし、あっちの男の能力は超スピードで、女の方は高機動と再生力ダ。即死させない限りは復活すル」

「……容赦ないね」

「私は男の方に二戦二敗してるから、お前がそっちと戦ってくレ」

「分かった」


 いつもの如くザ・バードが中央に出現し、開始宣言をする。


『デュエル開始ィィィ!』


「【RALGAN】」


 開始した瞬間にアンペルが女子の方に銀の弾丸を撃ち、躊躇なく腹を撃ちぬいた。

 必殺技を発動させる前に頭を撃ちぬきたかたが、さすがの距離に狙いを外した。


「【不老不死海月ノ異名】」

「ッチ」


 聞いていた通りの再生力で、腹の穴が直ぐに塞がり……中学生くらいだった見た目は二十歳くらいまで成長した。

 右手に魚のぬいぐるみを携え、回避運動をとりながらアンペルに接近する。


「そう簡単にはいかないカ。【RAILGAN】【RAILGAN】」

「効かないよ」


 黄色の線が腕を吹っ飛ばし、喉を貫いたが、すぐに再生してしまう。


「……本当に大丈夫?」

「一撃で貫けばいいんだから、これでも有利な方ダ。それより男の方を頼んだゾ」

「分かった!【古代凱装羅骨】」

「【終焉まで続く加速アクセラレーション・エンドレス】」


 アンペルのことは置いておいて、自分のことに集中することにした。

 必殺技を発動させて骨の鎧を纏った。

 そして、相手は……凄まじいスピードで空中を泳ぎ出す。

 さっきの合体人間以上のスピードで、霊力のジェットを使った状態よりも少し速い。


「はやっ!〈ゴーストジェット〉!」


 無いよりはマシだとジェットで加速し、真正面から超スピードで衝突する。

 そして、二人が交差する瞬間。


「〈爆霊覇〉」


 猫の手を突き出し、霊力を流し込もうとしたが……身の捻り一つで躱された。

 そして、カウンターの拳が骨の鎧に入り、少しよろける。

 しかし、パワーはあまりないのか、ダメージはほとんど入らない。


「……硬いなぁ」

「〈霊爪〉」

「っと!」


 霊力の爪で反撃しようとしたが、その速度で通り抜けられ、攻撃は空を切った。

 どうやら、相手はスピードを活かしてヒット&アウェイでジリジリとこちらを削る気らしい。


 そして、二回目の交錯。

 今度は当たりやすい様に、最初から両手の霊の爪を取り出し、広範囲攻撃を実行する。


「これなら避けれないでしょ!」

「甘い!」


 相手は……躱すのではなく腕を掴んで抑え込んだ。

 少しは掠ったが、ほとんどダメージは入らない。

 どうやら、耐久もそこそこあるらしい。


「よっと!」

「うぅ」


 腕を抑えたまま足で蹴られた。

 押さえつけられている腕を、パワー差で押し切ろうとしたが、また逃げられてしまった。


 今のところ、一方的にやられている。

 何故こうなっているかというと……圧倒的経験不足だ。

 これまで、シロンは圧倒的スピードで戦ってきた。

 お陰で、同速はあっても、自分より速い相手とは戦ったことがなかったのだ。


「ディアー助けてー!」

「アンペルだヨ!悪いがこっちも余裕がない!【RAILGAN】」

「〈喰縫(くほう)〉」


 相手の少女は、脇腹を貫いたレールガンを無視し、魚のぬいぐるみを伸ばしてアンペルに襲い掛かった。

 口を開いたぬいぐるみがアンペルに迫り、それを彼女はレールガンで破壊するが、体と同じくすぐに再生する。

 中々カオスなことになってるが、五分五分といった状況。

 こっちに手を出す余裕はなさそうだ。


「分かった自分でどうにかしてみる。何かエネルギー切れ?してるみたいだし」

「……?待テ!」


 相手(男)は、さっきまでずっと同じ速度で泳いでいたのに、今はシロンから離れた場所でゆっくりと動いている。

 あのスピードで動くには、何か制限があるのかもしれない。

 チャンスだと接近する最中、背後からアンペルの忠告が聞こえてきた。


「減速しているなら気を付けロ!奴のそれはチャージ行動ダ!」

「バラすなよ!」


 近づく度に、段々と気温が高くなっている気がする。

 それは、相手の拳に熱が溜まっている証拠。

 彼は、赤く輝く右腕を携え、再び加速した。


 アレはヤバい!

 三度目の衝突。


「〈霊爪〉」


 霊力の爪をクロスし、相手の攻撃を防ぐ体勢をとった。

 しかし……チャージした熱拳は止まらない。


「〈紅蓮拳〉」

「ッツ!」


 霊の爪は砕け、拳が迫ってきた。

 ギリギリで霊爪を使って、腕をずらしたお陰で致命傷は避けれたが、直撃した部分の鎧は剥げ、拳が体に入る。

 体勢は崩れ、追撃が来ると不味かったが、相手は慎重なのか、駆け抜けて距離をとった。

 もう一度食らうと不味いため、熱を溜められる前に接近して叩こうと思ったけど、スピードの差は埋まらない。

 ガン逃げされると、どうしても追いつけない。



 また熱がチャージされ、周りが温かくなってきた。

 アレだと、さっきみたいに掠っただけでも、やられてしまうだろう。

 ……じゃあ、やることは一つだ。



 四回目の激突。

 相手の赤光の拳が迫るが……軌道は単調右ストレート。


「〈紅蓮拳〉!」

「とお!」


 相手の右腕を、左腕で防いだ。

 左腕の鎧はもげ、凄い勢いでHPバーが短くなっていくが、そのほんの少しの時間でやることがある。

 さっきから、相手はずっと正面から突撃して来た。

 なら……そこにトラップを仕掛ければいい。


「〈クラッシュハート〉」

「ッグ!」


 相手が来ると思われる場所に、霊力の腕を置いていたのだ。

 そして、全ての霊力をそっちに回し、最速で相手の心臓に手を伸ばした。


 心臓を潰された相手も、HPが減っていき……相打ち。


「よろしく、アンペル」

「頼んだぞ、ファニー」


 二人は、ほぼ同時に消えていった。




「……あっちは相打ちになったらしイ」

「じゃあ、こっちも決着を付けようか」


 黄色のラインが飛び交い、ぬいぐるみが喰らいつく。

 先に相手を捉えたのは……相手の方。


「〈喰縫〉捕まえた!」

「うワ!」


 魚のぬいぐるみに噛まれて、引き寄せられる。

 そして、アンペルをグルグル巻きにして拘束した。これで手は動かせない。


「終わりだよ」

「……ああ、お前がナ」


 アンペルは……二本の足に、バイクを乗せていた。

 バイクに電気が通い、甲高い音が鳴る。


「二本の棒と金属があれば撃てるんだ。【RAILGAN】」

「ッツ、〈紅撃〉!」


 相手の紅色に輝く抜き手がアンペルの心臓を貫き、撃ちだされたバイクが相手の頭を吹っ飛ばした。

 まさかのこっちも相打ち。



「……え、これで終わり?」

「引き分けだしナ……。こんなことそうそう無いと思ってたんだガ」

「まあいっか。次はどこ行く?」

「……とりあえず、お前のファッションセンスをどうにかしよウ。どうせその幽霊みたいな服しか持ってないんだロ?」

「え、どうして分かったの?」


 こうして、二人は服屋へと向かった。


 ……あんまりクライマックス感ないけどもうすぐ完結します。


 【マグロ】

 加速

 普段は遅いけど、最高で時速80くらい出せる。

 急に加速して網にぶつかったりするので、養殖が難しかったりする。


 【ベニクラゲ】

 不死身

 老いで死にそうになると、若返って生き残る。

 その性質から、不老不死クラゲ(ウミガメとかに食われると死ぬ)とも言われる。

 空想上の生物にも思えるが、現実にいる生物。

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