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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
第四章 超インフレ編
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地球防衛軍

 ハッシュが死んで決着がついたので、決闘場の結界が解除され、戦いが始まる前の状態に戻った。


「勝った!」

「ルーズ……やはり人が相手だと出力が足りませんね」

「お疲れー」


 シロンは喜んで飛び回り、ハッシュは落ち込みつつも敗因を分析した。

 ハッシュの戦術に問題はなかったが、相手がシロンだと相性が悪い。


 観客席にいたユーが降りてきて、水を渡してくれた。


「次はどうする?」

「ウィナーのシロンとユーでどうぞ」

「ありがと」


 今度はハッシュが観客席に座り、ちょこんと座った。

 そして、シロンとユーは距離を取る。


「ハッシュ、デュエル開始の宣言をして!」

「はいはい。デュエル開始ィィィ!」


 シロンとユーの決闘が始まった。

 制限時間もなく、使い得なので初手から必殺技を発動させた。

 体中から骨が這い出し、硬い鎧が身を固め、全身から霊力が溢れ出す。


 そして、ユーも必殺技を使う。 


「【地球侵略軍 侵攻開始】」


 彼女は、ポケットから手のひらサイズのUFOを取り出し、空中に浮かべた。

 自立して移動し始め、ユーの頭上に行ったかと思うと……そのUFOは急激に巨大化した。

 某猫型ロボットのビッグライトを当てられた様な挙動で、大きな貨物船くらいのサイズになる。

 そして、UFOの底が開き、ユーが搭乗した。


『さあ、始めよう!』

「……負けないよ!」


 拡声された彼女の声が響き、シロンは気圧されつつも大きな声で答えた。


 先に動いたのはUFO。

 機体の側面から幾つか砲門が開き、ビーム銃が出てきた。


『ファイアー!』

「〈ゴーストジェット〉」


 一斉に光線が放たれ、シロンはそれを霊力のジェットで避ける。

 照準を変え、次々と光線が襲い掛かるが、アクロバティックにそれを躱す。

 そして、UFOに憑りつき、


「〈爆霊覇〉!」


 霊力を叩き込んだが……あまり削れない。

 シロンは知らないのだが、爆霊覇の原理は相手に莫大な霊力を注入して、キャパオーバーで爆発させるものになっている。

 なので、霊力が通らない無機物にはあまり効かない。

 さらに、透過してしまうから〈霊界の招き手〉も効かない。

 端的にいうと、シロンは無機物と限りなく相性が悪いのだ。


「まだまだ!〈霊爪〉」


 直接霊力で殴るスキルを使い、UFOの壁を破るのに成功した。

 しかし、


『左側面破損 防御重視の形態に切り替えます』


 ユーの声ではなく無機質な機械音声が響き、すぐにシロンが破った壁は修復された。

 内部に突入して、中にいるであろう本体を叩くつもりだったが、これでは中に入れない。

 ただ、防御を固めるためか、ビーム銃は引っ込んでいた。


『ビーム停止 攻撃手段として、宇宙生命体を投下します』


 機械音声の後、底に穴が空き……タコみたいな奴や、火星にいた宇宙人みたいな奴など、大勢の地球外生命体が放たれた。

 それらがシロンに襲い掛かって来る。


「UTYUUU!」

「〈霊界の招き手〉」


 的確に霊力の手を操り、脳か心臓らしき重要臓器を片っ端から握りつぶしていく。

 時々攻撃が当たることもあったが、鎧が弾いてくれるのでダメージは入らない。



 無限かの様にUFOから出てくる地球外生命体だったが……そのお陰で底の穴は空きっぱなしになっている。


「〈ゴーストジェット〉」


 霊力のジェットで地球外生命体を躱し、爆速でUFO内に突入した。

 中は普通の通路と変わらない……地球外生命体で満たされていなければ。


「UTYUUU!」

「〈霊爪〉!」


 外の奴が攻撃してくるのを無視して、正面の敵をただただぶっ飛ばす。

 ユーは、おそらくUFOの指令室にいる!


「〈ゴーストジェット〉」


 どうせ地球外生命体からはほとんどダメージが入らないので、ジェットに霊力を全振りし、無視してUFO内を突き進む。

 もう後には引けない。




「よく来たね、シロン」

「結構ギリギリだけどね」


 途中から地球外生命体が強くなり、鎧を貫いてダメージを受けることも増え、HPは残り3割くらいで減ってしまった。

 必殺技を使ってなかったら、もう何回死んでいるか分からない。

 ……少なくとも四桁は下らないだろう。


 だが、シロンは生きてここまで来た。


「終わりだよ、ユー」


 拳を突き出して勝利宣言したシロンに対して、ユーは回転するイスをクルクルと回し、シロンの前で止めた。

 彼女の手には……一つの赤いボタンが握られている。


「これなーんだ?」

「ッツ!〈ゴーストジェット〉!」


 シロンは急いで霊力のジェットで接近したが、ユーの姿は一瞬で消え去った。


「え!?」

「UFOには、脱出装置が仕掛けられてるものだよ。あと、爆弾も♡」


カチ ドカーン!


 外に転移したユーは、握っていたスイッチを押し、シロンごと自分のUFOを爆発させた。

 削れていたシロンに耐えれる訳もなく、HPが全損した。


「たーまやー」


 勝者、ユー。





「負けちゃった」

「修復は有限だから、外から殴り続けられたら撃墜されてたのに」

「それか、外から思いっ切り霊力の腕を伸ばせば、届いたかも知れませんね」


 ハッシュが決闘場に降りてきた。


「じゃあ、次はミーとユーですね」

「いいよ。全勝してあげる」


 バチバチと火花を鳴らし始めた二人を置いて、シロンは観客席に移動した。

 自分が負けたユーに、ハッシュはどう対抗するのかと期待しつつ、開始の宣言をした。


「よーい、ドン」

「【フェアリー戦士 ウィンドグリーン】」

「【地球侵略軍 侵攻開始】」


 ハッシュがフェアリー戦士に変身し、ユーがUFOを呼び出し搭乗する。


『地球外生命体投下開始』


 今度は初手から大群の地球外生命体がばら撒かれ、ハッシュに襲い掛かる。

 彼女は、冷静に風車を回して……


「〈エアカッター〉」


 ザザザザザザザザザザザザザザザン


 弱い魔法のハズの風の刃が、地球外生命体のほとんどを真っ二つにした。

 さらに、UFOに大きな切り傷がつく。


「え……え?」

「行きますよ、〈アトモプレッション〉」


 小さく圧縮された風の爆弾がUFOに着弾し……なんとワンパンした。

 煙を上げて墜落していく。


「あの辺ですかね?〈ブリーズビーム〉」


 追い打ちに、風のビームがUFOごとユーを貫いた。

 シロンの時とは比べ物にならない威力である。


「……私の時は手加減してたの?」

「ノー。フェアリー戦士は人が相手だと本気が出せないんですよ。地球の敵とかだと、特にダメージが上がったり」


 ……解説いらないよね?

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