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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
第四章 超インフレ編
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日曜朝8時30分

『第四回イベント、開催』


 色々買い過ぎて、後処理がとても難しかった文化祭が終わり、久しぶりにゆったりとネットを見ると、イベントの告知があった。

 いつも通り月末にやるらしく、ルールはプレイヤー同士のタイマン。

 一対一の決闘だ。


 真白は、ウキウキしながらUAOにログインした。

 UFOの自室に入り、鏡に映った幽霊の様な自分の姿に少し驚く。

 しかし、よく見たら可愛げがあったので、そのままリビングへと向かった。


「ハロー」

「久しぶり、ハッシュ」


 リビングには、ほとんどの《チーム・スカイマウス》メンバーが生活しており、談笑がよく聞こえてくる。

 そして、大きな机ではツィンが深淵に勉強を教えていた。


「どう?」

「まあ、平均より少し上くらいかな。でも、今からやれば十分射程圏内だと思う」

「ここはどうするんだ?」

「点Aと点Dを繋いで、二つの辺と間の角に繋げれば……」

「なるほど」

「……」


 自分も力になれるかと深淵の手元を覗き込んでみたが、彼女はシロンには分からない問題を解いていた。

 ……これなら心配なさそうだ。

 ツィンと一対一の練習をするつもりだったが、彼女は今手が離せないらしい。

 他の誰かとしようと思い、一番近くにいたハッシュに話しかけた。


「ねえハッシュ、次のイベントの練習しない?」

「ああ、タイマン大会でしたね。オーケーです、ボコボコにしてあげますよ」

「何々?」


 ハッシュと共に決闘場に行こうとしていると、近くで遊んでいたユーもやって来た。

 しかし、いつも一緒にいるラウルがいない。


「ラウルはどうしたの?」

「仕事。私の為に頑張ってくれているの」

「惚気はストップです!さっさと行きますよ」


 目を輝かせたユーをハッシュが引っ張って、今度こそ決闘場へと向かった。





「さて、一対一の練習でしたね」

「うん。まだあんまり慣れてないから」

「誰からする?」

「「「……ジャンケン!」」」


 シロンとハッシュは握った手を出し、ユーはピースの手を出した。


「ああ!」

「じゃあ、最初はミーとシロンで」

「負けないよ!」


 シロンとハッシュは分かれて決闘場に立った。

 そして、シロンは開始と同時に突撃出せる体勢をとり、ハッシュはカラカラと風車を回す。


「ユー、デュエル開始の宣言を!」

「デュエル開始ィィィ!」

「【古代凱装羅骨】」


 必殺技を発動させ、体から骨の鎧が這い出してきた。

 これで、シロンは激硬の外装を纏い、霊力が覚醒した最強の状態になる。

 そして、それを見たハッシュも必殺技を発動させた。


「キュルンキュルン! フェアリーパワーチャージ完了! 変☆身」

「……え?」


 風車を回して頭上に掲げ……彼女は光の絹に包まれた。

 裸体の様に体のラインが強調され、緑色の光が纏わりついて服を変えていく。

 下から、黄緑のブーツ、フリルのあるスカート、純白の手袋、髪飾りがつき、風車の持ち手が杖の様に伸びた。

 その姿は、日曜の朝に放送されていそうな、女の子のヒーロー。


「【フェアリー戦士 ウィンドグリーン】参上!」

「……ハッシュって何歳なの?」

「20代前半とだけ言っておきましょう」

「ちなみにプリ〇ュアは見てる?」

「当たり前じゃないですか。サンデーでも八時起きですよ」



 ……さて、両者変身を終えて、強化状態で相対する。

 皮肉にも、シロンが外装を纏っているのも相まって、モンスターVS少女戦士の構図になっている。


「ジャスティスは勝つんですよ」

「こっちもヒーローっぽいでしょ〈ゴーストジェット〉」


 霊力のジェットで一気に距離を詰め、第三の腕を伸ばして心臓を掴み取ろうとしたが、あっちのステータスも強化されているのか躱された。

 第三の腕はほぼ透明だが、目を凝らせば見えなくもない。


「こっちからも行きますよ。〈ブリーズビーム〉」


 ハッシュは風で加速して第三の腕を躱しつつ、風車をシロンの方に向け……緑色のビームを放った。

 シロンはジェットの向きを調整してビームを躱したが、鎧の端っこにビームが着弾し、綺麗な穴が空いた。

 外装を突破する攻撃は持っているらしい。


「ドンドン行きますよ〈ブリーズビーム〉」

「〈ゴーストジェット〉」


 連続で緑色のビームを放つが、気を付けていれば問題ない。

 風車の真正面から出てくるのも分かっているので、軌道も読みやすい。

 それを見たハッシュは、風車の一羽を手に持ってステッキごとクルクルと回し、


「やっぱり拘束が先ですかね〈ストーム〉」


 シロンの近くに乱気流を作り出した。

 凄まじい大気の勢いに引き込まれそうになりつつも、そのパワーで無理やり脱出しようとしたが、打ち込まれたビームを避けようとした時に巻き込まれてしまった。


「これでエンドです。〈アトモプレッション〉」


 ハッシュが高速で回転する風車から、風の爆弾を作り出した。

 高い密度で濃縮されており、キーンと甲高い音を鳴らしている。

 弾速は遅いが、シロンは今乱気流に飲まれていて、上手く動けない。


 しかし……そう簡単にシロンはやられない。

 さっきからずっと出していた第三の腕を引っ込めて、足に霊力を集中させた。


「〈ゴーストジェット〉」


ブウウウウン


 爆音を鳴らしながら、全力のジェットで乱気流から脱出した。

 驚愕した表情を浮かべるハッシュにそのまま接近し、拳を振りかぶった。


「〈凱正拳〉」


 霊力は全て足に回していたので、腕の鎧で殴りつける。

 吹っ飛ばされたハッシュは体勢を整えながら、風車を手で回そうとしたが、シロンはそれを掴んで止めた。


「あッ!」

「〈凱霊脚〉」


 ジェットを操って横腹を蹴り、ボキボキという音がしてハッシュはやられた。

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