宇宙円盤ユーフォス 試作機44号
シロン達は、待機組がいる観戦室に転移し……すぐに頭を下げた。
「ごめん、負けちゃった……」
「まあ、仕方ないよ」
少し残念そうにしつつも、優しい言葉でツィンが励ました。
他のみんなも、苦笑いといった感じだ。
「相性が悪かったんだよ。Fが使えなかったし」
「グハッ!」
「ピヨ(アレは相手がおかしいから……)」
「シロンが何回もフレイドを倒すし」
「ゔっ……」
「まあ、仕方ないね」
「止め刺しただけになっているぞ」
シロンとFは倒れていた。
二人とも虚ろな目をしており、息が止まっている。
「ちょ、二人とも生き返って!」
「はい、私は始祖鳥です」
「はい、ワイはフラミンゴです」
「意外と余裕あるな」
「よし、次は四回戦だね」
「まあ、三連続はアレやから、ワイは休みかな」
「……やっぱダメそ」
やはり、目の焦点が合っていない。
この二人程ではないが、ハッシュとユーラウルも中々憔悴しており、弄れもしない微妙な空気になっていた。
「と、とりあえずUFOに帰ろっか」
「チュリスターが待ってるぞ」
「……せやな」
重苦しい雰囲気のまま、UFOに帰っていく。
その間、軽く責任を感じていたツィンはこの空気を打破する方法について考えていた。
そして……一つの結論に辿り着く。
「デコレーションしよう」
「……何を?」
まだ虚ろな目のまま、無理やり高くしたツィンのテンションについていく。
彼女は、自信ありげに自分の企画を発表した。
「うちのUFOを盛り付けるのよ」
「……面白そう」
少しシロンの瞳にハイライトが灯る。
「お金は前のイベントで沢山稼いだからね。可愛いシールと綺麗な花、ポンポンに香水と……とにかく、飾り付けるの」
「やろう!」
遂にシロンがいつもの調子に戻った。
Fやハッシュも、顔がワクワクしているのが分かる。
「じゃあ、外装をしたい人」
「やろうぜ、リムス、F」
「あ、うん」
「任せとき」
ヒロがリムスとFを誘い、
「我も外装がいいぞ。黄金は太陽を反射してこそ輝く」
ついでに深淵が両手から金を出し、外装担当はヒロ、リムス、深淵、Fになった。
その他の、シロン、ツィン、ハルヒ、ハッシュ、ユー、ラウルの6人で内装を手がける。
「みんなで楽しもう」
「イエーイ!」×10
シロンがほんわかとした声で開始を宣言した。
◇
まずは、飾り付けのアイテムを町に買いに行った。
可愛いハートや星のシールなど定番の物から、ゲームにしかない宙に浮くオブジェや熱くない火などを買って行く。
「これとかどう?」
「ええ……」
シロンが持ってきたのは、身長の倍程もあるクリスマスツリー。
現在はクリスマスと真反対の6月である。
「ジングルベル♪ジングルベル♪鈴が鳴る♪」
「せめて七夕にしなよ……」
「そうだね。お星さまキラキラ♪」
「それ七夕ソングでしたっけ?」
「まあ、お金は沢山あるし。欲しい物は全て買うよ」
「イエーイ」
買い物かご一杯になったアイテムを収納し、町の上空に待機しているUFOの中に戻った。
外では、すっかり生気を取り戻したF達が、楽しそうに装飾していた。
「さて、どこから始める?」
「みんなでリビングからにしよう」
まずは、みんなが一番滞在時間が長いリビングの飾り付けをすることにした。
真っ先に部屋の中心に七夕の笹を添え、季節を感じさせる(6月終盤)。
壁と天井には星を多めに貼り付け、ユーとラウルが天の川まで表現した。
「後でみんなで短冊書こうね」
「そうだねー」
小さなUFOのオブジェを宙に浮かせ、取り外し可能なシャンデリアと、部屋の端にはクリスマスツリー……
「クリスマスツリー!?」
「それ買ってたの?」
「ジングルベル♪ジングルベル♪鈴が鳴る♪」
チリーン
リビングの装飾が終わり、次に通路の装飾を始める。
個人の部屋以外は、全て飾ることに決めたのだ。
まずは、自室のドアの周りに青い人魂を灯し、霊力や始祖鳥を示すものにした。
ついでに、余っている赤い人魂をFの前に設置していく。
「……ちょっと不気味だけど大丈夫だよね」
「あいつホラーとか嫌いだけどね」
他にも、ツィンの部屋の前は武将の鎧の様な物になり、ハルヒにはヒヨコの巣がある。
こんな感じで、部屋の主を象徴するオブジェをそれぞれ配置していった。
ユーとラウルの部屋はハートだらけの某種類のホテルみたいだったが。
「こんな感じかな」
ツィンと共にUFOを歩き、剥がれかけているシールを張り直したりした。
ほとんど全ての通路が飾られており、一気に煌びやかになっていた。
「ありがとね、ツィン」
「……親友でしょ」
「そうだね。……あ、あそこに星を置こう」
「うん」
室内の一番高い場所に、眩い光を放つ星を飾った。
「おう相棒、内装は終わったか?」
「うん。いいでしょ」
頑張って飾った内装を、外から入って来た深淵に見せつける。
「うむ、中々だな。だが、我々の外も凄いぞ」
「どれどれー?」
「フッ、付いてこい」
シロンは、深淵に連れられてUFOの外装を見に行った。
今までは銀色のボディに、黄色の半球が下にくっ付けられたスタンダードなUFOだったのだが、
「どうだ?」
「……わぁお」
そのUFOには、いたる所に大砲(偽)が仕掛けられ、凶暴な目らしきものがくっ付けており……一言でいうと、強そうなものになっていた。
さらに、ゲームならではのビームやライトのエフェクトが侵略戦争を思わせる。
……男3人と厨二病に任せエルべきではなかった。
「我々はこれを『宇宙円盤ユーフォス 試作機44号』と名付けた」
「それは予算が尽きたんじゃ……」
この後、UFOは他プレイヤーの間で『新しいイベントの伏線だ』と騒がれるようになったが、それはまた別のお話。
第三章はここまでです。もしよろしければ、ブックマークその他諸々お願いします。
……平均は知らないんですけど、うちはブックマーク60ちょいに対して、評価数人数が8人しかいないんです。
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