表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
49/76

三回戦

「ただいまー」

「お疲れ」

「イエーイ!」


 シロンら待機組は、出場したメンバーと順番にハイタッチしていく。

 実にいい音が鳴った。

 ひと段落してから、またツィンが反省会を開始する。


「……ピヨ(反省することある?)」

「ちゃんと詰めていった感じですけど」


 必死に考えてみるが……これといった反省点は思いつかない。

 だが、ツィンは思いついたみたいだ。


「いや、今回はちょっと選出が悪かった。まともに火力を出せるのが私とFしかいなかったから、私たちが初見殺しでやられるとほぼ詰んじゃう」

「でも、リムスのスピード強化とユーの弱体化は可能性を感じたよ?」

「ほら……ユーとラウルはほぼセットだから」

「ああ……」


 ということで、リムスとユーラウルは同時選出禁止になった。


 2回戦と3回戦の間には少し休憩時間があるので、虹色食材を食べてリラックスする。

 金星でゲットした餃子がジューシーで美味しかった。

 のど越しの良い虹色水を飲みつつ、次の選出を考える。


「次は誰が出る?」

「「はい!行きたいです!」」


 勢い良くユーとラウルが手を上げた。

 箸で摘まんでいた餃子を落としそうになり、ギリギリでシロンがキャッチする。


「私たちほぼタイマンしかしてない」

「チームプレイが醍醐味(だいごみ)なのに」


 相変わらず息ピッタリだった。

 彼らに指示を出したツィンも少し後ろめたいのか、それを支持する。


「じゃあ、ユーとラウルは確定で……後衛が欲しいから、ハッシュとFはどう?」

「オーケーです」

「よっしゃ、任せとき」

「あと、サブアタッカーが欲しいから、シロンでいい?」

「いいよ」


 三回戦:シロン、ハッシュ、F、ユー、ラウル

 相手のクラン名:《FANTOM(ファントム) BIRDS(バーズ)





 出場メンバーで特設フィールドに転移した。

 始まる前に、ユーとラウルが前に出て、ハッシュとFが一歩下がる。

 シロンはその中央に待機した。

 そして、相手は……


「あれ……どこかで見たことがある気がする」


 3人は見たことがないが、残りの赤い人とぼさぼさ髪は見覚えがあった。


「誰だっけ?」

「あれじゃないですか?ファーストイベントで二位と三位だった人」

「ああ!」


 相手は、第一回イベントで二位だった【不死鳥】のフレイドと、三位だった【陰摩羅鬼】のオーズだった。

 ちなみに名前と能力名は知っているが、能力の内容は全く分からない。


「よろしくお願いします」

「……(モゴモゴ)」

「こちらこそよろしく。お互いベストを尽くそう」


 シロンの声かけに、オーズはもごもごしていたが聞こえず、フレイドはイケメンな返しをした。

 何故かハッシュが笑顔になっていた。


『では、デュエル開始ィィィ!』


 いつもの透明な壁が消え戦いが始まった。

 癖で突撃しようとするシロンをハッシュが捕まえ、


「〈炎鳥〉」

「〈風独楽〉」


 先制で遠距離魔法を撃った。

 相手は、風のコマを……なんか宝石みたいなカクカクした体の人が、Fの炎は【不死鳥】のフレイドが受け止めた。

 カクカクな人にはダメージが入っているが、フレイドには全く効いていない。

 というか、炎はすぐに収まっていき……吸収された、という感じだ。


「……フレイドには効果がないようだ」

「ポ〇モンみたいなこと言わないで」

「不死鳥は死期が近づくと、火に飛び込んで再生するらしいですから……まあ、そういうことですね」

「そうなの?」

「火の鳥は教師の必修ですよ」


 最近解説役ポジになりつつあるハッシュが、その役割を全うした。

 とにかく、フレイドに炎魔法は効かないらしい。


「……ワイは何すればええんや」

「待機で。ハッシュ中心に攻めていこう」

「分かりました。〈風独楽〉」

「私も手伝う。〈円盤〉」


 ハッシュとユーが遠距離攻撃をしたが、カクカクな人が全て受け止める。

 金属みたいな体をしているからか、かなり耐久が高い。


 さて、相手はどう出るのか。

 相手の後衛である……金髪の人が右手を振り上げ、天を仰いだ。


「〈雷鳴〉」


 四方八方から白い雲が現れ、段々と厚くなっていき……やがて、黒雲となる。

 バチバチと電気のギザギザが走り、ゴロゴロと雷が鳴り始めた。


「……もう行っていい?」

「まだ二人もスキルが分からない人がいるけどいいや。行ってきな!」

「レッツゴーです!」

「分かった〈ゴーストジェット〉」


 ユーとハッシュの許可を得て、シロンは出発した。

 雲を引き起こしたと思われる人に突撃する。

 【陰摩羅鬼】のオーズが青い炎を飛ばすが、そのくらいでは止まらない。

 全て躱して、雲の人に突っ込もうとしたが……まだ能力が分かってない糸目の人が立ちはだかった。


「邪魔!〈爆霊覇〉」

「〈速く飛ぶ者〉」


 いつもので攻撃しようとしたが、ヒラリと躱された。

 無視して進むのもアリだけど、シロンは攻撃時に少しだけスキができてしまう。

 糸目の人はかなり速く、スキを晒すとやられてしまうだろう。


「〈風槍〉」

「〈霊纏い〉」


 糸目の人は渦巻く風の槍を振りかざし、シロンは防御しやすい様に手に霊力を纏った。

 高速で衝突し、槍を左手の霊力で受け止め、右手で攻撃するも躱される。

 オーズとフレイドの炎が飛び交っているが、それでも同等に渡り合うシロンは十分よくやっている。


「ごめん、雲の人を倒せそうにない!」

「分かった。こっちはこっちでなんとかする。ダーリン!」

「ああ。展開」


 そろそろ雷が降りそうな空を見て、ラウルが翔具のソーラーパネルを展開した。


「みんな、集まれ!」

「わー!」


 みんながソーラーパネルの下に集まり、雷を止める体勢をとる。

 ハッシュとユーは遠距離攻撃で相手を牽制し……遂に、雷が。


「〈神鳴り〉!」

「……頑張れ、ダーリン」

「うおおおおおおおおおおお!」


 ユーの声援を受けて、ラウルは気合を入れる。

 数割削られ、真っ黒になっても受けきった。


「ナイス!」

「……(ボフ)」


 何か言おうとした彼だったが、口から出たのは黒い煙だった。

 しかし、その雷のお陰で十分充電できた。


「一旦離れろ、シロン!」

「分かった」


 炎を掻い潜って、シロンは相手から離れる。

 糸目の人は追って来たが、さっきまでと同じく戦うのみだ。


「っし、俺に合わせろ」

「イエス!」

「やっと出番か」


 ラウルの最大火力に合わせて、ハッシュとFの魔法を放った。

 そして……技名はもう決めてある。


火鳥風電(かちょうふうでん)


 三人の合体技が、カクカクな人を襲う。

 火を吸収できるフレイドも、電気と風の混じった攻撃は受けられない……という予想だった。

 彼はカクカクな人とこっちの魔法の間に入る。


「え!?」

「吸収できるんか!?」


 フレイドが3人の魔法を食らい……炎は吸収らしきことをしたが、風と莫大な電気は吸収できていない。

 HPバーが凄い勢いで短くなっていき、ゼロになった。

 いつも通り光のポリゴンになって霧散する。

 だが、その瞬間。


「〈碧い炎〉」


 その光にオーズが青い炎を当て……フレイドが復活した。

 流石にHP全快とはいかないが、追加の炎で次々と回復する。


「……炎から復活する。伝説通りですね」

「あいつ無敵か!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ