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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
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燕刀一文字

「〈トンボ返し〉」

「ック!」


 肩から脇腹にかけて、大きな傷がついた。

 ギリギリで後ろに下がったお陰でそこまで深くはないが、ツィン自身の耐久は低めで、HPは6割程になってしまう。


「右に避けろ!〈炎弩〉」


 まだ目は見えないが、Fの言葉に従って右に移動し……体の左側が熱くなった。

 ……彼の炎魔法は、かなりスレスレな所を通過したらしい。

 目が見えない分、音に集中していたが、特に何も聞こえてこない。


「もういない?」

「ああ、戻っていったわ。お前も一旦下がれ」


 言われた通り、おとなしく下がった。

 目の方は、数秒目を擦ると、段々視力が戻って来た。


「粉に当たったら、目が見えなくなるみたい。気を付けて」

「分かった」


 目が見えなくなると、まともに戦闘できなくなるので、あの粉には絶対に当たらない様にしたい。


 さて、現在は互いに一旦引いて、膠着状態になっている。

 ユーとラウルは1対1を継続しているが、良くも悪くもその勝負は拮抗している。

 できればリムスの強化がある分、勝っていて欲しい所ではあるが、相手全体を動きにくくしているユーと、元から耐久寄りのラウルだから仕方ない。

 強いて言うなら、Fも攻撃していたラウルの相手はもう少しで倒せそうといった所だ。


「……流石に3対1は無理だから、Fはこっちの援護をして。あと、粉が来たら全部焼き尽くして」

「ああ、任せてくれや」

「リムスは演奏継続で。なんだかんだでありがたいよ」

「う、うん」

「……?」


 演奏中にしてはテンションが低いリムスが少し心配になったが、今は戦うのが先決だ。

 筋肉の人と眼鏡の人が同時に迫る。

 ツィンは[双透刀 シンテゑ]を構え、果敢に立ち向かった。



「〈トンボ返し〉」

「〈ツバメ返し〉」


 刀と刀が衝突し、火花が散った。

 これだけならさっきまでと同じだが……筋肉の人は、不格好な棍棒を持っていた。

 相手だって翔具を持っているのだ。

 それが凄まじいパワーで振るわれる。


「〈カブト割り〉!」

「クッ!」


 今度は後衛が近くにいるので、吹っ飛ぶ訳には行かない。

 受け止めている左手の刀を斜めに倒し、出来る限り受け流す。

 その間にも、眼鏡の人の刀を右手の刀で受け止め、


「〈ツバメ返し・麓恋〉!」


 六連撃で無理やり食らいつく。

 眼鏡の人は辛そうだったが……筋肉の人はその肉体で楽々受けた。

 そして棍棒を引き、渾身の力で突き出す。


「〈カブト突き〉!」

「っと!」


 ツィンは双刀をクロスさせ、その交差点で棍棒を止めた。

 まともに受けたことで吹っ飛ぶが、むしろ目論み通りだ。


「〈炎鳥〉」


 さっきから地味に粉を焼いていたFが、炎の鳥で直接攻撃した。

 眼鏡の人は避けたが、筋肉の人はまともに食らう。


「ナイス!」


 そして、相手が怯んでいる間にツィンは、左手の刀先と右手の柄をくっつけ……一本の長刀となった。


「[繋透刀(けいとうとう) シンテゑ β(ベータ)]」


 その長さは、シンテゑの前に使っていた長刀と同じくらいだが、その威圧感は比べ物にならない。

 ツィンは、それを長くなった鞘にしまい、抜刀術の用意をする。


「F!」

「はいよ。〈炎纏い〉」


 Fが刀に炎を纏わせ、火力を上げた。

 小回りが悪くなったと思ったのか、眼鏡の人と筋肉の人が突っ込んでくる。

 ツィンはタイミングを計り……機を見て抜刀した。


「〈燕刀一文字つばめがたないちもんじ〉」


 刀身を鞘に滑らせて加速し、横薙ぎに刀を振るった。

 軌道上には炎が残り、視界が紅に染まる。


「おあ!?」

(あぶ)ね!」


 二人はギリギリで止まり、なんとかツィンの刀を回避した。

 そして、彼女の懐に潜り込もうとした瞬間。


「〈返しの刃〉」


 【ツバメ】の能力で空気の刃が通り、二人の胴体が二つに別れた。

 光のポリゴンとなって消えていく。

 

「ふう」


 残ったツィンは、安心して溜息をついた。

 そして、まだやることは残っていると気合を入れ直す。


「Fはそのまま粉を抑え込んで。私はユーに加勢しに行く」

「了解!」


 Fやリムスと別れ、ユーと戦っている大ハサミ使いに斬りかかる。

 その攻撃はハサミで受け止められたが、あくまでこっちは二人。


「〈円盤〉」


 ユーの円盤を腹に入れ、それに怯んだ瞬間。


「〈燕刀一文字〉」


 元から削れていた相手を首ちょんぱした。

 この後、ラウルの相手を粉の人を人数差でゴリ押し、二回戦を突破した。

【カブトムシ】

筋肉

筋肉。筋肉。

真面目に言うと、自分の体重の数倍の物でも持ち上げられる筋力。


【チョウチョ】

鱗粉

粉の人。蝶の粉が目に入ったら失明する可能性があるから、気を付けてね。


【クワガタ】

ハサミ

ユーと戦ってた人。顎のハサミが元ネタ。


【ハチ】

槍強化

ラウルと戦ってた人。もはや登場してない。


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