一回戦
『第四回イベント、開催!』
毎度の如く、ホログラムのザ・バードがイベント開始の宣言をした。
もう分かっているルール説明を聞き、一回戦の選出を考える。
「どうする?」
「とりあえず、初戦は最高戦力で行きたいから……前衛にヒロとハルヒ、後衛にハッシュと深淵で、詰めにシロン。とかどう?」
「ええんやないか?」
「ピヨ(任せろ)」
一回戦メンバー:シロン、ヒロ、ハルヒ、ハッシュ、深淵
相手のクラン名
「あれ、どこかで見たことあるような……」
「サッカーの決勝戦で戦ったクランね。頑張りなよ」
「任せて!」
◇
一回戦に出場するメンバーは、特設フィールドに転送された。
たまに雲がある程度の青い空が一面に広がっている。
そして、少し離れた所にガラスの様な壁があり、その向こうに《フェアリーテイル》の人たちがいた。
バトルが始まったら壁が崩れるらしい。
「こんにちは!」
「久しぶりですね」
シロンが挨拶すると、あちらも笑顔で答えてくれた。
脳内で大会を振り返ったけど、相手のメンバーの中に、能力が分かっている人はいない。
逆に相手視点だと、シロンとヒロの能力は割れているだろう。
「ピヨ(こっちも能力がバレていない人にした方がよかったかも)」
「パワー型の二人ですから。ノープロブレムですよ」
「サッカーでは負けたけど、こっちでは勝たせて貰いますから!」
「うん、お互い頑張ろうね!」
両方が勝利宣言をして、ヒロとハルヒが前に出る陣形を組んでいると……透明壁の辺りに、ザ・バードのホログラムが現れた。
開始宣言は、彼がしてくれるらしい。
『では、始めます。デュエル開始ィィィ!』
ザ・バードが声を張り上げ、同時に透明な壁が粉々に崩れた。
引き止められているから、突撃はせずに機会を待つ。
まず、ヒロがベルトに触れ、
「「変身!」」
翔具の効果で変身した。
それと同時に、相手の一人も変身を宣言し、フィールドに二人の仮面戦士が現れた。
「……最も好きなライダーは?」
「電王だ。お前は?」
「W」
謎トークの後、二人は親指を突き出してグッドを表現した。
隣のハルヒがヒロを叩いて正気に戻す。
「ピヨ(個人トークは後にしろ。来るぞ)」
「ああ、ライダーは俺に任せろ」
突っ込んできた相手のライダーを、ヒロが迎え撃ち……ヒロが押し負けた。
ガッツリ火力に振って、それを強化するスキルを持った彼らしくない。
「援護する。〈宝石槌〉」
「ライダーのタイマンを邪魔するでない。〈プレゼント・黒〉」
深淵の宝石と、相手のお爺さんが投げたプレゼントボックスが衝突し、相殺された。
彼女は舌打ちして、金銀財宝を撃ちまくるが、凄い腕力で投げ出されるプレゼントに撃ち落とされる。
「うぜえ!」
「ははッ。メリークリスマス!」
「ナウは真逆の6月でしょ〈風独楽〉」
「……〈マッチョマッチ〉」
ハッシュの風のコマと、相手の両目が隠れている根暗そうな人の……マッチョなマッチが激突し、やはり相殺される。
後衛の実力は、五分五分といった所だろう。
打ち勝つために、シロンが【ヴィゾーヴニル】になって攻撃しようとしたが、
「やめろ!……男と男の―――ライダーとライダーの戦いに手を出すな」
「そうだ、お前らも無駄なことするんじゃねえぞ!」
「ちょっと、作戦と違うじゃん!」
「うるせえ!行こう!」
二人のライダーは、フィールドの端でタイマンをし始めた。
戦況はヒロの方が劣勢なのだが、仕方ない。
今のところ、何も出来ていないシロンは振り返って、
「……ねえ、突っ込んでいい?」
「NOです。まだ能力が割れていないのが二人もいます」
「とりあえず待機しといてくれ。……多分少しは戦況が動く」
「ピヨ(〈殻盾伍花〉)」
後衛のハッシュと深淵の前にハルヒが立ち、五枚重ねの殻盾で相手の飛び道具を防いだ。
その間に差し込む様に、ハッシュの風独楽と深淵の宝石が飛ぶ。
まだ能力が割れてない黒ずくめの人が無理やり受けたけど、耐久が高いタイプではないのか、結構削れた。
打ち合ったらこっちの方が有利だ。
それを知った相手は、迅速に打開策を打ち出した。
「〈プレゼント・青〉」
「〈マッスルマッチョマッチ〉」
空中で青色のプレゼントボックスと……マッスルでマッチョなマッチ(やけくそ)がぶつかり、大きな爆発を引き起こした。
こっちに損害はでていないけど、相手の姿は見えていない。
「吹っ飛ばせ、ハッシュ」
「イエス。〈大気の奔流〉」
ハッシュが、爆発でできた煙を吹き飛ばした。
相手に特に変わった様子は……
「一人消えてる!」
「どこいった!?」
相手の、白い着物を着た人が消えていた。
どこを探してもいない。
「ハッシュ、深淵、私の近くから離れないで」
「オーケー」
「ああ」
シロンの言葉に従って、周りにハッシュと深淵が集まった。
瞬間。
「待って、それ、私じゃない!」
「え?」
「は?」
背後から、シロンの声がした。
集まっていた方のシロンの口が、三日月の様に割け……急いで離れようとしたハッシュに針の様な槍を刺した。
顔色を変えた深淵が迎撃しようとするも、接近型ではない彼女では厳しく、やはり槍が刺さる。
本物のシロンはすぐに近づいて、最大火力を叩き込む。
「〈ゴーストジェット〉〈爆霊覇〉」
攻撃を食らった偽物のシロンは、白着物の人になった。
変身の能力だったのだ。
シロンにも針を刺そうとしたが、スピードが全然違う。
ヒラリと躱して、もう二発〈爆霊覇〉を撃ち、彼女のHPはほぼゼロになった。
彼女は、
「まあ、二人ってところかな」
と呟き……黒色のプレゼントボックスとマッチを取り出した。
【サンタクロース】
能力:プレゼント爆弾
【マッチ売りの少女】
能力:マッチ
天に登って行きました。
マッチョは全く関係ない。語感が良かった。
【ツル】
能力:変装
ツルの恩返し。




