作戦会議
6月の終盤。
第四回イベントのルールが発表された。
クラン同士の戦いで、メンバーから五人選出して戦うらしい。
《チーム・スカイマウス》のメンバーは、拠点のUFOに集まって作戦会議をすることになった。
司会のツィンが、雰囲気作りに着けた眼鏡を押し上げる。
「では、これより作戦会議を始めます」
「イエーイ!」
「ドンドンパフパフ!」
みんなが適当に騒ぎ出し、すぐにツィンがそれを静める。
やっぱりツィンの方がリーダーに向いてるんじゃ……。
そんなシロンを放って、会議は進行していく。
「まず、ある程度は選出パターンを決めておきたい」
「……どういうこと?」
「選出がシロン、ハッシュ、リムス、F、深淵とかだったら、攻撃を受けれる人が居なくて死ぬでしょ」
「なるほど」
まずは、ホワイトボードに名前と役割を書き込んでいく。
例えば、
シロン:特攻役
ツィン:壁兼攻撃役
ハルヒ:特化壁 ……
という感じで書いていく。
ツィンはそれを全員分書き出してから、腕を組んでそれを眺めた。
「受け役は二人以上は欲しいかな。あと、後衛も一人以上は居た方が良さそう」
「あ、シロンとリムスを同時選出したら事故ると思うわ」
「……だろうね」
強化シロンの超火力はロマンがあるけど、広範囲攻撃一つで止まるし、その時に動けるのが他の三人のみになってしまう。
それくらいなら強化アリ四人で動いた方が強い。
「ラウルのソーラーパネルを活かすのに、Fかユーがいたら相性良さそうだな」
「良く分かってんじゃねーか、ヒロ」
「そう!私とダーリンは相性良いんだよ」
「……それと同じくらいFもいいけどな」
同時に、相性が良いペアも考える。
その時、シロンがとある発言をした。
「そういえば、私とツィンも相性良いよ。なんか強い攻撃できたし」
「ああ……」
「どういうミーンですか?」
シロンが言っているのは、この前の火星のダンジョンで宇宙人に止めを刺した超攻撃だった。
あのパワーは、目を見張るものがある。
「凄かったよねー」
「……あー、あれね。誰とでもできるよ」
「え?」
ツィンは、あの異常な破壊力について調べた。
あれは合体技というらしく、攻撃がほぼ同じ部分に重なった時に発生して、数倍強くなる。
「……誰とでもできるの?」
「ま、まあ、即興でできたのは長年の付き合いがあったからだから」
「め、芽衣……(泣き)」
「ちょっと、リアルネーム出さないで!」
「なあ、ワイらは付いていけてへんのやが」
宇宙人との戦いを見ていない男子組には、何を言っているのか分からないようだ。
実演のために、ハルヒから殻盾を一枚貰い、
「「爆霊燕七覇」」
シロンの拳とツィンの刃が重なって、かなり硬いハズのハルヒの殻盾に穴を開けた。
やっぱり息が合うのか、直ぐに合わせることができた。
「まあ、こんな感じで凄い火力が出るのよ」
「そういえば……その、掛け声はなんなんだ?」
深淵の質問に、シロンとツィンは視線を外した。
冷や汗を流し、表情は硬くなっている。
「ピヨ(答えてよ)」
「ひ、必要なことなんだよ!」
「そうそう、息が合うんだよ!」
「掛け声を考えたのは……」
「「二人で視線で話し合って考えました……」」
あまりの恥ずかしさに、二人は顔が真っ赤になっていた。
リムスは笑顔になっていた。
そこに、深淵が考察を始める。
「なるほど、シロンの爆霊覇とツィンのツバメ返し・六連を合わせて、合計七連打……それで爆霊燕七覇か」
「キャー!」
「やめて!私たちのライフはもうゼロよ」
「ピヨ……(そんなんになるなら、やらなければよかったのに)」
倒れた二人を放って、他のメンバーも合体技を試し始めた。
またハルヒの殻盾が生産され、
「「エレクトリック・コズミック!」」
ユーの円盤とラウルの電気が同時に当たり、殻盾はぶっ壊れた。
気が合うのか、一発で成功させている。
「「音炎槍撃!」」
リムスとFが合体技と試してみたけど、一発では成功せず、2回目でやっと成功した。
音と合わせるのは難しかったらしい。
「うーん、やっぱり全員できる様にしておいた方が、勝率上がるよね」
「……合計で45通りですね」
「よし……やるか」
全員で合体技の練習をした。
技名にこだわる深淵とのペアが一番時間が掛かった。




