チュー子の大冒険
某日 《チーム・スカイマウス》の面々は、リビングで遊んでいた。
いたる所でボードゲームや電子ゲームが行われており、みんな楽しそうにしている。
そんな時、ダン!と勢いよく扉が開き、
「ペット欲しい人!」
シロンの声が響いた。
「なんやそれ?」
「うちのマスコットになるような、可愛いー子を探しに行くんだよ」
「んー、ダーリンがいるからいいや」
「すまん、今ちょっと忙しいんや」
「ぼ、僕はいきます」
「ミーも行くよ」
と、いうことで地上にあるピポ弐アを、シロン、ツィン、リムス、ハッシュの4人で飛んでいく。
もう少し来てくれると思っていたけど、色々あってリムスとハッシュしか来なかった。
「それで……どうやってペットにするんですか?」
「そういうアイテムがあるの。今から取りに行くよ」
「レッツゴーです!」
いつも通り調べたツィンが誘導し、ピポ弐アのとある店を訪れた。
犬の模様が付いたエプロンを着た店主さんが出迎えてくれる。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは。ペットを飼えるアイテムって売ってますか?」
「あー、それなんですけど……」
シロンの質問に、店主さんは微妙な顔で答えた。
「今、丁度なくなっているんですよ」
「そうですか……」
一同が思わずうつむくと、それを遮る様に、
「素材があればすぐに作れますよ」
「何を持ってくればいいんですか!?」
◇
足りないアイテムである、[ライオン鳥の鬣]をゲットしに、ライオン鳥が出現する草原へと向かった。
「ライオン鳥って、どんな感じだろう?」
「ペガサスみたいに、胴体にちょこっと付けられてるんじゃないの?」
そんな雑談を交わしつつ、草原を散策していると……ライオン鳥が現れた。
その姿は異形なもので、顔の頂点、耳の辺りに羽の付け根があり……新しいパターンになっている。
「……なにあれ?」
「ライオン鳥……なのかな?」
「さっさと倒しましょう」
ハッシュは、緑色のおもちゃ風車を取り出した。
フッと息を吹きかけてそれを回転させ、
「〈風独楽〉」
風車を振るうと、風の独楽が打ち出され、目の前のライオン鳥を切り刻んだ。
風車は[玩風戯 ウィンドミル]といい、ハッシュの火力不足を補うための翔具になっている。
「わー、すごい」
「そうでしょう!」
「……でも、ドロップアイテムはなさそうです」
光のポリゴンになって消えたライオン鳥の跡には、何も落ちていなかった。
「……ドロップ率ってどれくらいなんだろう?」
「調べてみる……8%だって」
「低!」
「……散って探そうか」
大した強さでもなさそうなので、4人で散ってライオン鳥を探すことになった。
「……じゃあ、これを持って行って下さい」
リムスが3人に、ヘッドホンみたいなアイテムを渡した。
これは[隔送歌 デバリー]といい、話し合ったり、彼の強化音楽を遠隔で聞かせることができるようになる。
「スピード強化よろしくね」
「はい」
こうして、4方向に散っていった。
……流石にリムス1人では勝てないと分かり、途中からハッシュと合流することになるのだが。
とにかく、リムスの音楽と雑談を聞きながら、上空からライオン鳥を捜索し、
「GAOOO!」
「見つけた!〈ゴーストジェット〉〈鋭霊〉」
見つけた瞬間にジェットで近づき、新しいスキルを試そうと、手に纏った鋭い霊力で首ちょんぱした。
「ドロップは……なしかぁ」
まあ8%だから仕方ないと、飛び立とうとした時。
「TYUU」
可愛らしい声がした。
立ち止まって、膝まである草をかき分けてみると……手のひらサイズの可愛らしいネズミ鳥がいた。
色は明るいオレンジと白で、目が黒い点になっているのがいい。
「か、可愛い」
『どうしたの?』
「……ペット候補見つけた」
数十分後、ツィンが[ライオン鳥の鬣]を入手したらしく、アイテム作りの店で合流した。
「どう、この子」
「まあ、いいんじゃない?ハムスターに似てるし」
「クラン名ですからね」
ということで、シロンが見つけてきたネズミ鳥に、作ってもらった[飼い主の首輪]を付けてあげた。
心なしか喜んでる気がする。
拠点のUFOに連れ帰って、みんなにお披露目することにした。
「うちのマスコットキャラクターの、チュー子ちゃんです」
「……チュー子はないでしょ」
なんかペットとか、首輪とか引っかかる語が多いんですけど、設定上では喜んでいるということでお願いします。




