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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
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雪原定理

 あの戦いの後、ヒロの損耗が激しく、とてもボスに勝てる状態ではなかたので、一旦帰ることにした。

 そして、翌日。


「今度こそクリアするぞー」


 もう一度、火星のダンジョンに同じメンバーで挑んでいく。

 今度はプレイヤーと衝突することもなく、綺麗な凍土の中を進んで行き、


「GARI」


 身長の半分くらいの大きさをした、氷鳥のモンスターが現れた。

 翼まで氷でできていて、カクカクとせわしなく羽ばたいている。 


「ピヨ(いけアニキ)」

「いや……めちゃくちゃ冷たそうじゃん。触りたくねえよ」

「仕方ないな。我がやろう〈黄金砲〉」


 氷鳥に深淵の黄金が降り注ぎ、かき氷みたいに粉々になった。

 シロンが少し目を輝かせる。


「……落ちてる氷なんて食べんなよ?」

「わ、分かってるよ」


 今度は落とさない様に倒そうと心を決めて、ダンジョンを進む。

 しかし、それ以降モンスターが現れることはなかった。


「もうボス部屋じゃん! 何でモンスターは出て来ないの!?」

「食われたくねーんだろ」

「多分、虹色食材を貰えるだろうから、それで我慢しろ」


 万全の状態で、水色に輝く空間に入っていった。

 今回のボス部屋は、今までのだだっ広い空間ではなく、氷柱が所々に存在していて、少し動きにくそうだ。

 そして、その中央の氷が盛り上がり……氷の巨人が出来上がった。

 しっかりと翼がついていて、ガン〇ム感がある。


「これ、図体が大きい分ガ〇ダムの方が動きにくいんじゃねーの?」

「……ピヨ(そうでもなさそうだぞ。あとガンダ〇言うな)」


 氷巨人が、ゆっくりと腕を動かし……氷柱を透過した。

 相手は無視できるらしい。


「ずるくない!?」

「フッ、その程度で我らは止まらないだろ。……来るぞ、飛べ!」


 ゆっくりと腕を上げたかと思うと、思いっ切り振り降ろした。


ダァン!


 轟音が響き渡り、地面から尖った氷が生えてきた。

 深淵の声かけで高度を高くしてたお陰で助かったが、そのままだったら釘刺しだっただろう。


「今回は突っ込んでもいいよね?」

「ピヨ(氷柱に気を付けろよ)」

「やった!」


 曲がれない〈ゴーストジェット〉は使わずに氷柱を躱し、


「〈爆霊覇〉」


 氷巨人の右肩に、最大火力を叩き込んだが……その体格に見合った防御力と体力があるみたいで、1割も削れていない。


「硬!」

「ピヨ(スピードは低いけど、その他は高いタイプみたい)」

「……ハルヒ、受けは任せた。他3人で火力出すぞ。変身!」

「〈白金槍〉」


 深淵がワザと顔の辺りに白金の槍を撃ってヘイトを買い、深淵に向けられた攻撃をハルヒが受ける。

 そして、シロンとヒロが攻撃を加えていく構成。

 しかし、奴もそんなに甘くない。


ゴゴゴゴゴゴ


 口を開き、冷気を吐き出した。

 急激に温度が下がり、凍傷の状態異常になった。

 吐息は白くなり、肌は蒼くなる。

 ある程度耐久があり、変身の装甲があるヒロは問題ないが、シロンにとっては致命傷だ。

 

「やばい、死んじゃう!」

「ポーションで誤魔化せ」

「でも……もったいないじゃん」

「どうせこんなタイミングじゃなきゃ使わねーだろ」


 HPが危なくなったら、一旦冷気が届かない所まで離脱して、ポーションを飲むことになった。

 攻撃に集中できず、火力が落ちる。


「まあ、時間かければどうにかなるだろ」

「ピヨ!(おいバカアニキ、フラグ建てんな!)」

「……なあ、狭くなってないか?」

「あれ?」


 氷が透き通っているせいで、距離感が分かりにくかったが、少しずつ天井が下がっている。

 しっかりと時間制限がついている。


「ピヨ(変なフラグ建てるから……)」

「……うっせー、さっさと倒せばいいんだろ!?〈ライダーキック〉」

「〈爆霊破〉」

「〈白金槍〉」


 さらに攻撃が苛烈にして、ドンドン氷巨人を削っていく。

 このペースなら、削りきる方が早いだろう。

 人数は少ないが、トップレベルの攻撃力を持ったシロンがいたのが大きい。


「あと少し!」

「ッツ、下がれ!」


 あとほんの少しというところで、深淵の焦った声が走った。

 削りきった方が早いとも思ったが、彼女を信じてハルヒの所まで下がる。

 ヒロも同じく引いてきた。


「どうしたんだ?」

「……なんか凄いパワーを感じる」


 その言葉を裏付ける様に、氷巨人は腕を振り上げ……さらに温度が下がる感覚。

 雪まで振り始める。

 シロンがポーションをがぶ飲みし始めた。


「凍傷で死んじゃう!」

「……ピヨ(またこれをやるか)」


 ハルヒは、耐久が低いシロンと深淵を大きな卵の中に放り込んだ。

 元々、卵には温度を保つ効果がある。


「あったかいねー」

「そうだな」


 二人でホクホクと温まっていると、気温が戻って来た。

 ヒロが殻の傘を持って削りきったらしい。

 そして、ドロップアイテムは、[特能ツバサ]と……虹色の氷だった。


「今度かき氷食べようね」

「夏だし、丁度いいな」


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