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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
36/76

愛は人を動かす

 イベント二日目。

 店であるサッカー大会は昨日の内に終了しているので、今日は自由行動になっている。

 まず最初に、イチャイチャしながらユーとラウルのカップルが出ていき。

 次に、文句を言いながらもヒロに付いていくハルヒ。

 あと、ハッシュと深淵もどこかに行った。


「シロン、一緒に回る?」

「えっと……ごめん、先約があって」

「へー、誰と?」


 ツィンに誘われたが、とある計画のために断った。

 しかし、嘘が下手なシロンに何かを察したのか、ツィンが詰めるよる。


「ワイと回るんや、な!」

「そうそう!」


 そこに、Fがヘルプを出した。

 彼が計画の首謀者なので、当然ともいえる。


「……じゃあ、3人にする?」

「あー、ごめんなツィン」


 Fがシロンの肩を抱き寄せ……シロンが恥ずかしそうな顔をした。

 まるで付き合っているかの様に。


「こういうことやねん」

「……(顔真っ赤)」

「……そっか。なら1人かな?」

「じゃ、じゃあ!」


 今まで空気だったリムスが、いきなり音程を外して大声を出した。

 3人の注目を浴び、さらに緊張した彼だったが、ツィンの背後からニカっとしたFに気付いて、一旦深呼吸し、


「僕と……回りませんか?」

「んー、まあいいかもね」


 ツィンを誘うことに成功した。





 前方を並歩するツィンとリムスを、背後からシロンとFが尾行する。

 計画とは、「ツィンとリムスをくっ付けてしまおう」というもの。

 どうしても奥手になってしまうリムスを、Fが後押しするために計画し、自分の恋愛事情を知られたシロンが便乗したという感じだ。


「……ねえ、どうやって手助けしたらいいのかな?」

「さあ?なんかあったらでええやろ。どうせリムスはなんかやらかすわ」


 そんな会話をしていると……りんご飴を買っている間に、何かアクシデントがあったのか、リムスが挙動不審になった。

 しきりにメニューを開いたり、ポケットを漁ったりしている。


「ん!なにかあったみたい!」

「やっぱな!」

「……でも、何があったんだろう?」

「……りんご飴に塗るハチミツが無かったに違いない!」


 Fは、ごく自然にハチミツを取り出し、


「リムス、受け取れ(小声)」


 耳が良いリムスに一声かけて、ハチミツを投げた。

 彼はそれを受け取り、店の人に渡したが……笑って返されてしまった。

 代わりにツィンが、少し溜息をつきつつお金を渡す。


「あー、金がなかったんか」

「ちょっと待って、ハチミツ持ち歩いてるの?」

「当然や。一個いるか?」


 ハチミツを食べながら、尾行を継続する。

 次に彼らが訪れた店は……ペットショップ。


「UFOで動物でも飼うんか?」

「……私も買いに行っていい?」

「後にせい。まずはツィンの好きな動物を教えるんや」

「そうだねツィンの好きな動物といえば……」


「ハムスターだね」

「兎やな」


 シロンとFに意見の相違が生じた。


「え、そうなの?」

「一昨年くらいの年賀状に書いとった気がする」

「……それって干支の動物だからじゃない?」

「あ、そっか。ほんならハムスターやな」


 急いでリムスにメッセージを送り、ツィンがハムスターが好きなことを伝えたが、


「あ、返信来た!」

「なんや?」

「……店にハムスターがいないらしい」

「はぁ!?」

「……鳥しかいないって」

「もうそんなん焼鳥屋に改名しろよ」

「なんで焼くことになってるの?」


 あんまり良いペットが居なかったらしく、何も買わずに出ていった。

 後からシロンも入店してみたが、変な改造手術でも受けたのか、ゴツゴツしたデカい鳥しかいなかった。

 売ってる人の趣味が分かる店だった。


 店に入らず、一途に尾行を続けていたFと合流し、リムスの手助け(?)を継続する。

 次に行ったのは……タコ焼き屋。


「出番だよ、関西人!」

「任せい、タコ焼き屋歴10年の極秘ソースを授けたる」


 茶色いソースを取り出して……今度はなんの声かけもせず投げつけ、


「うわ!?」

「え……大丈夫?」


 リムスの頭に当てた。

 急いでFの腕を引っ張って物陰に隠す。


「何やってんの!?」

「いや……タコ焼きと聞いた瞬間に血が湧き上がっちまった」


 謎の関西人プライドを発揮させただけだった。

 バレていないかと、そーっと物陰から覗いてみるが……どうやらギリギリセーフみたいだ。

 2箱づつタコ焼きを持って、店回りを継続する。


「良かった、バレてないみたい」

「ああ……追うぞ」


 彼らは、しばらく何かを話しながらタコ焼きを食べ……急に走り出した。

 シロン達も走って追い、狭い路地を曲がった所で……腕を組んでこっちを向いたツィンがいた。

 その背後で、リムスが手を合わせて、謝罪を表現していた。


「……奇遇やな、ツィン」

「それで誤魔化せると思う?」

「……すみませんでしたー」×2


 シロンとFは、一斉に頭を下げた。

 頭上から溜息が聞こえてくる。


「ちなみに、いつから気付いてた?」

「ハチミツ出した時」

「一瞬やん……」


 Fは、ガックリと膝から崩れ落ちた。


「で、どうしてこんなことしたの?」

「……ストーカーをやってみたかったんや」

「はぁ、まあいいや。タコ焼きいる?」

「いるー」


 結局4人で祭りを楽しみました。


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