第三回イベニリアン
『第三回イベント、開催』
五月も終盤、第三回イベントの告知があった。
今回は、前回までの戦闘系イベントではなく、お祭りが開催されるらしい。
夏祭りならぬ、梅雨祭りといったところだ。
『イベントでの売上は、後で100倍されるので、出来るだけ頑張って下さい。ご健闘をお祈りします』
ザ・バードの告知が終わり、ワクワクしながら拠点のUFOにログインした。
他のメンバーは全員揃っていて……シロンは最後だった。
「ごめん、遅かったかな?」
「いや、ほとんどラグなかったから大丈夫や」
「そっか。よかった」
みんなが座る席の前にあるホワイトボードの隣に立って、話始める。
「えっと、みんな知ってると思うけど、一週間後くらいに、第三回イベントのお祭りがあります」
「ピヨ(楽しそう)」
「へへ。ダーリンと一緒にお祭り周りするんだ」
「はいはい。静かに!」
騒ぎ出したメンバーを、ツィンが諫めた。
「やっぱりツィンの方がリーダーに向いてるのでは……」という思考を打ち切って、会議を進めていく。
「遊ぶのもいいんですけど、やっぱり出店もしたいと思うんです」
「せっかくだしな」
「フッ……稼いでやるか」
概ね肯定的な意見で進行していくが、
「それで……どういう店を出店します?」
「……」
次の議題で、会議がストップした。
こういう場合、あんまり意見が出てこないのが《チーム・スカイマウス》なのだ。
だが、それを破る者も存在する。
「……じゃあ、凄くカッコいい詠唱屋とかどうだ」
「なにそれ?」
「例えば、シロンの〈霊破〉を使う前に、『我らが先祖の霊力よ、今こそ力を示したまへ。彼の者を内側から撃ち滅ぼせ〈霊破〉』にする」
「……それ誰が考えるの?」
「みんなで考える。なんならお客さんに即席で作れるようになるまで、練習s」
「あー。なんか料理でもしよっか!?」
「演奏できますよ!」
クラン名と同様に、深淵の意見を皮切りに、意見が出始めた。
みんなで出来ることを出し合って、選択肢を広げていき……
「なんかの大会をするのはどうだ?」
ヒロが、一つの意見を出した。
「例えば?」
「……この飛べる世界でサッカーとか楽しそうじゃね?」
「そうなります?そうなっちゃいます?」
「ピヨ(私やったことないんだけど)」
「まあ、なんとかなるやろ」
と、いうことで、《チーム・スカイマウス》の店(?)は異能サッカー大会に決定した。
◇
「必要な物は、使うサッカーボール、ゼッケン……それと、会場の申請とか、広報用のポスターもしないと」
ツィンが、必要な物や、必要なことを纏め、
「じゃあ、買って来まーす」
「後で割り勘するから、ちゃんとレシート持って帰ってきてね」
「はーい」
シロンが……特に急ぐ意味もないが、全速力で買い出しに行く。
会場の申請は、いつもの印象からは考えられないが、ハッシュが得意だと言って請け負い、
「ハルヒちゃん、絵、上手だね」
「ピヨ(えっへん)」
「まあ、俺の妹だし」
「ピヨ(アニキの美術の成績2だったろ)」
「おい、何で知ってんだよ!?」
ポスターはハルヒが作った。
中央にサッカーボールが入ったトロフィーが設置され、大きな文字で「その足で栄光を掴み取れ」と、それっいぽことが書かれている。
なんとなく引き込まれるデザインだ。
そんなこんなで、テキパキと適材適所に準備を進めていくと……準備は割とすぐに終わった。
イベントまで、まだまだ時間は残っている。
「よし、練習するよ!」
「……今考えると、自分たちが運営する大会に出場するってどうなの?」
「ほとんど雇ったNPCにやってもらえばいいので、ノープロブレムです」
《チーム・スカイマウス》出場!




